サステナビリティ

環境保全と自然共生社会の構築

化学物質管理や環境に関連する法令遵守を図るとともに生物多様性の保全活動を推進しています。

基本的な考え方

人や地球にやさしい製品、工程づくりに向けて化学物質の選定、管理の強化を図るとともに、ISO14001に基づき国内外の法規制や顧客の基準への対応など環境管理の改善を図っています。

また、生物多様性に向けた里山整備、ビオトープの設置、干潟などの保全活動に取り組んでいます。

環境負荷物質の管理・低減

製品含有化学物質管理

製品含有化学物質の管理を強化するため、国内外の法規制物質、自動車メーカーの自主規制物質に当社独自の規制物質を加えた物質を対象として、管理を行っています。また、欧州REACH規則※1、欧州RoHS指令※2の動向を見据え、規制改正後、速やかに対応できる体制を整えています。さらに各国自動車メーカーからの製品含有化学物質の情報提供要請に対応するため、化学物質をグローバルで一括管理する仕組みの構築とシステム開発を行い日本、中国、タイ、ベトナムなどで活用しています。今後も未展開拠点へ順次導入していきます。

  • ※1 化学物質とその安全な使用・取扱・用途に関する法律
  • ※2 電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限指令
■各地域の化学物質規制
各地域の化学物質規制
  • ※3 自動車用部品・材料などに含まれる環境負荷物質の使用制限指令
  • ※4 高懸念物質

環境負荷物質の低減

生産工程では、塗料や離型剤の水系化、塗装工程のコンパクト化、塗着効率の向上などを行い、PRTR※5対象物質やVOC※6を低減しています。

また、VOCの低減事例を現地・現物で情報共有し、低減活動を進めています。

  • ※5 化学物質排出・移動量届出制度(Pollutant Release and Transfer Register)
  • ※6 揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)

■PRTR対象物質の排出・移動状況

■VOC 排出量・売上高当りVOC 排出量(指数)※7

国内連結
  • ※7 売上高当りVOC排出量(指数)は基準年を100とした場合の数値
豊田合成(株)
  • ※7 売上高当りVOC排出量(指数)は基準年を100とした場合の数値

地域とつなぐ自然共生活動の推進

当社グループは、2050年までにみどりのノーネットロスとして、工場面積分のみどりを復元することを目標に設定しています。その実現に向けて「地球上の命の源である水で活動をつなぐ」をスローガンに、山での里山づくり、川での外来種駆除やビオトープの設置、海では干潟の保全を進めています。

また、トヨタグループ、行政、NPOなどと連携し、自然共生活動の充実を図っています。

2050年に向けた長期目標の設定

当社の工場面積は、59ヘクタールであり、建設にあたっては環境へ十分に配慮しているものの、少なからず自然を壊しており、2050年までに同じ面積のみどりを復元するという目標「みどりのノーネットロス」を設定し、活動を推進しています。

■みどりのノーネットロスの実現

工場建設等で無くなった緑を、
自然共生活動で蘇らせる

みどりのノーネットロスの実現
■みどりのノーネットロスの実現に向けた活動
みどりのノーネットロスの実現に向けた活動
■~地球上の命の源である水で、活動をつなぐ~
里山づくり「樹守の里」

2019年度に木曽川上流に位置する岐阜県美濃加茂市の山林を借り下草刈り、間伐することで豊かな里山づくりを推進しています。

里山づくり「樹守の里」
ビオトープづくり

2018年度に造成が完了した平和町工場のビオトープの生物調査を実施し愛知県生態系モニタリング指標種である5テーマ、5種類が確認でき徐々に生き物が定着しはじめています。

ビオトープづくり
事例

工場の調整池をビオトープ※8

2018年11月、平和町工場(愛知県稲沢市)にある雨水の調整池※9を活用した、ビオトープの造成が完了しました。工場の調整池をビオトープ化することは全国的にも珍しく、愛知県内では初の取り組みです。

ここでは、絶滅が心配される希少生物を育成する環境として整備し、「ジーンバンク(遺伝子の銀行)」としてナゴヤダルマガエル・ニホンメダカやトウカイタンポポなどの種を他団体に供給するほか、近隣の小学生向けの学習の場としても使用する予定です。

これらの活動は、オールトヨタ自然共生ワーキンググループ、尾張西部生態系ネットワーク協議会※10と連携して進めていきます。

  • ※8 ギリシア語のビオ(生命)とトポス(場所)を合わせた言葉(英語:biotope)で、多様な生物が生息できる環境のこと。
  • ※9 住宅地や工場などに設けた窪地。集中豪雨時に一時的に雨水を溜めることで、局地的な氾濫を抑える機能を持ちます。
  • ※10 愛知県下に9つある協議会のひとつで、2016年11月に設立。尾張西部地域のNPO法人、学校法人など45団体で構成され、尾張西部地域の生態系ネットワークの形成活動を行っています。

  • ニホンタンポポ ニホンタンポポ
  • ニホンメダカ ニホンメダカ
  • ナゴヤダルマガエル ナゴヤダルマガエル

藤前干潟クリーン活動に参加

2018年10月、従業員とその家族が、ラムサール条約※11で登録された愛知県名古屋市の藤前干潟の堤防に台風などの影響で打ち上げられた、大量の発泡スチロールやペットボトルなどのゴミを拾う生態系の保護活動を行いました。また、ゴミを鳥や魚が食べ命を落としている現状を知ることや、普段入ることのできない干潟に生息している生き物(カニ、トビハゼ、シジミなど)を観察することで、環境について考えるきっかけづくりの場にもなりました。この活動は、毎年、地域の方やNPO団体と協力して進めています。

  • ※11 水鳥の生息地となっている湿地の保全・再生に関する国際条約。1971年にイランのラムサールでの国際会議で採択。
  • 平和町工場/日本 2009年11月植樹
  • 平和町工場/日本 2016年5月植樹

オオキンケイギク※12駆除活動に参加

2018年6月、愛知県みよし市で行われた特定外来生物「オオキンケイギク」の駆除活動に参加し、約1トンのオオキンケイギクを駆除しました。この活動は在来植物種の保護を目的とした県の呼び掛けで、地域の方と協力し、オールトヨタ自然共生ワーキンググループも参画して取り組んでいます。

  • ※12 観賞用として海外から輸入されたが、繁殖力が強く、在来種を駆逐してしまうため、近年は特定外来生物に指定され、栽培や販売などが禁止されている。

宮城県の伊豆沼・内沼で生態系保護活動を実施

2018年10月、当社グループの豊田合成東日本(株)の従業員と家族が、宮城県北部の伊豆沼と内沼の過剰に繁殖したヨシの刈取りなど生態系の保護活動を行いました。伊豆沼・内沼は30種類以上の水鳥が生息し、ハクチョウやマガン、マガモなど渡り鳥の越冬地でもあることからラムサール条約※11に登録されています。その生態系を守るため毎年、現地の環境保全財団※13と協力して、活動を進めています。

  • ※13 公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
  • 平和町工場/日本 2009年11月植樹 散策路整備の様子
  • 平和町工場/日本 2016年5月植樹 ヨシの刈取り

工場周辺の生き物マップの作成

2020年度は、国内の工場周辺の生き物を調査しマップを作成しました。自然と共生する工場を目指して、今回作成したマップを活用して、外来種駆除の活動や希少種の保全など生態系の保全を進めていきます。

また、従業員教育も行っていきます。

順法/環境「異常・苦情ゼロ」活動

法令遵守はもちろん、環境異常・苦情を発生させないために、専門部署による定期的な環境点検を行い、維持管理に努めています。また、リスク対策として、環境保全ワーキンググループを開催するなど未然防止活動を行っています。さらに他社で発生した不具合事例を解析し、国内外関係会社を含め同類設備の点検などを行い、未然防止につなげています。2020年度は、環境異常の発生はゼロ件でした。

PCB含有機器の適正処分と保管

有害で難分解性のPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物は、2027年3月末までに処理しなければならないことが法律で定められています。当社では2006年度からPCB含有機器の適正処理に向けた社外委託処理を進めています。2020年度までに896台の処理を完了しました。

未処理の低濃度PCB廃棄物も、早期に処理を進めていきます。完了するまでの間は、流出や土壌汚染の恐れがないよう、PCB特別措置法に基づく適正な管理を行っています。

区 分 種 類 処理台数 処理重量
高濃度PCB廃棄物
(PCB濃度:5,000mg/kg超)
安定器・
電力コンデンサなど
802台 6.9t
低濃度PCB廃棄物
(PCB濃度:0.5~5,000mg/kg)
変圧器・
電力コンデンサなど
94台 80.3t
  • 内部環境監査/稲沢工場 PCB廃棄物の処理

土壌・地下水の保全

過去に洗浄剤で使用していたトリクロロエチレンなどの有害物質による地下水汚染の監視と浄化に取り組んでいます。また、観測井戸を各工場に設置し、有害物質や油脂類による土壌・地下水の汚染がないことを定期的に確認しています。

事業所 対象 対策状況
春日工場 地下水 浄化中
(敷地外からの汚染の可能性もあるが積極的に浄化)
稲沢工場 地下水 過去、使用実績のない物質が検出されたことから、
測定結果のみ定期的に行政へ報告
※2010年以降は、基準未満(2012年度で行政報告終了)

もったいない点検

2018年から資源の無駄を排除するために、工場を点検し是正処置するもったいない点検を定期的に実施しています。

2021年度からは点検に生産技術部門も加わり、生産工程から発生する端材や廃材の置き場を中心に環境担当の役員や各工場のトップが点検を行い、分別の徹底状況やリサイクルに向けた改善の検討を行っています。

  • もったいない点検/稲沢工場 もったいない点検/稲沢工場