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04 IE生産技術部 めっき生技室 2008年入社 荻須 絵里奈 Ogisu Erina

めっき加工における良品生産の確率を高め、
技術者としてのレベルアップをめざす。

新しい分析方法の開発は、
挑戦しがいのある仕事。

樹脂めっき工法は、不導体であるABS(※)などの樹脂の表面に触媒をつけ、電気が流れるよう導体化処理を行う前処理工程と、銅・ニッケル・クロムなどの多層膜を形成する電気めっき工程によって成り立っています。

樹脂製品を製造する稲沢工場のめっき工程では、めっき液が入っためっき槽に、フロントグリルやバックドアなどに成形した樹脂を浸漬させ、電気を流すことで表面に金属を析出させています。
使われるめっき液は工程ごとに異なり、それぞれが多様な薬品で構成されています。
仕様を満たした良品を生産するには、各薬品の成分を分析し、日々管理しなければなりません。
管理を怠ると、未析出や必要な光沢感が失われるなどの不具合が発生します。

そこで私の業務は、めっき液を安定的に管理できるよう、分析精度を高めつつ新しい分析方法を開発すること。
現場で分析をスムーズに行い、めっき液を適切に管理できれば、それだけ良品生産の確率が高まります。

品質確保のために行う分析方法の開発は、終わりのない世界だと感じますが、常に知的好奇心がくすぐられますし、技術者にとって挑戦しがいのある仕事だと断言できます。

※アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)よりなる合成樹脂。

分析技術を先回りして開発し、
不具合の本質を見抜く。

めっき液の析出機構は複雑で、添加剤の働きや金属の析出メカニズムなど、いまだに解明されていないことが多いのが現状です。
そのため以前は、不具合が起きてから対策立案に着手してきましたが、今後は、めっき液を常に適切な状態に保つための分析技術を先回りして開発し、不具合を未然に防止することが求められます。

めっき液の薬品成分が常に管理値に収まっていれば、仮にその状態で不具合が起きても、電流値や攪拌条件、手順の組み立て方など、めっき液以外の製造要素に改善点があるのではないかと推測しやすくなります。

めっき加工に取り組む際、まずはめっき液自体が完全でないと不具合の本質は見えてきません。
抜本的な対策を考案するためにもめっき液の適正管理は必須であり、クオリティコントロールの要だと言えます。

さらに近年は、複雑な意匠や加飾のフロントグリルへの析出など、めっきに対する技術ニーズが一段と高度化したのに伴い、めっき液の構成も複雑になりました。

こうした特殊なめっき液についても、新しい分析技術を開発する必要に迫られています。不具合抑止につながる分析技術を開発し、管理技術に結びつけ、最終的に生産効率を上げられた時にこそ、真の達成感が得られるのだと思います。

設備や生産準備の知識も得て、
海外でも力を発揮したい。

入社5年目を迎えた頃、私は、約1年にわたるラボ実験を経て、顧客ニーズにマッチする色味と耐食性を兼ね備えためっき液を開発。
北九州工場で、これを導入したラインの立ち上げに臨みました。

しかし、いざ量産段階に入ると、実験では確認できなかった不具合が発生。
部外のメンバーにも協力を仰いで原因解明に乗り出しました。

半年ほどトライ&エラーを繰り返した結果、不具合因子の発生を抑制する豊田合成独自の技術を開発することができ、無事に良品の生産を迎えました。
この経験で、いかに量産の条件に近い状態でラボ実験を実施できるかどうかが、量産段階における良品生産に影響することを十分に理解。
ひとつの経験が技術者としてのレベルアップにつながることを実感しました。

今までずっと、めっき液の設計や分析中心の業務に関わってきた私も、いずれは海外勤務を経験したいと考えています。
海外で力を発揮するには、めっき液や分析だけでなく設備や生産準備についても知識を深める必要があり、そうした知識をいち早く身につけることが、私の当面の目標です。

OFFの過ごし方

野球観戦やスノーボードなど、独身時代はどんどん外に出て休日を謳歌していました。結婚後は主人の影響を受けて山登りを楽しむことも多かったですが、子どもが生まれてからは、やはり子ども中心の生活に。近所の公園やショッピングモールなど、とにかく子どもが楽しめる場所を選んで遊ぶようになりました。時々、お互いの実家にも顔を出しますね。どちらかと言えば、休日は割とのんびり過ごすことが多くなった気がします。

荻須 絵里奈さんはこんな人

IE生産技術部 めっき生技室 -上司-大原 由貴

荻須さんは、めっき液開発と分析における社内の第一人者です。使命感や責任感が強く、社内外との調整もスムーズに進め、情報収集にも余念がありません。
また、多少のことでは動じないタイプなので、上司としては仕事を任せても安心できるメンバーです。今後は、顧客や社外の人脈をさらに広げ、めっきに関連する他の業務にも取り組んでもらい、彼女が望むグローバルな活躍を実現してもらえたら、私もうれしく思います。