俳句(はるひ句会)2016.10 通刊28号

2016年10月新作はるひ句会へようこそ!

句碑をたずねて

  1. 昨年2月、中日新聞の三河版に、「蒲郡・竹島海岸の海辺の文学記念館に、表題の句碑が建設された」・・という記事を見て、数日後に現地を訪れた。
    文学館の辺りを探したが見当たらないので、係員に尋ねた処、句碑の場所を指さして教えてくれるとともに、除幕式の資料を分けてくれたので嬉しかった。
  2. 資料の「由緒」によると・・
    1. 俳誌『三河』は、「石楠」の臼田亜浪(長野県佐久生まれ、明治12年~昭和26年、大正4年「石楠」創刊)を師系として、昭和4年に市川丁子(愛知県東幡豆生まれ、明治8年~昭和27年)主宰により創刊された。
    2. 誌名『三河』の由来は、德川発祥の地・三河一円を中心に創刊されたことに依る。
    3. 創刊以来俳句文化の向上に努め、平成13年に愛知県芸術文化選奨文化賞を受賞した。
    4. 現在俳誌『三河』は、神尾朴水(昭和5年、愛知県額田郡生まれ)が平成22年に主宰となる。
    5. 三河会は、「俳句道即人生道を是とし、優れた俳人を輩するのではなく、皆が作品を一生懸命作り続ける」・・ことという。

    ――師弟3名の句が並んだ句碑から、昭和初期の混乱(世界不況、軍のクーデター)や、太平洋戦争の敗戦、戦後の食糧不足など・・多難な息づかいが伝わってきた。

    *巻末の「つれづれメモ」をご参照。

メンバー新作ご紹介 作者名(アイウエオ順)

1.≪課題句≫  =「天高し」(天高く、空高し)=

蔭山 政江 課題句1
鈴木 定夫 課題句2
鈴木 雅澄 課題句3
瀧本 憲宏 課題句4
徳永スエ子 課題句5
宮川久美子 課題句6
山根 円蔵 課題句7
吉弘カスミ 課題句8

2.≪自由句≫

蔭山 政江
俳句特設1
鈴木 定夫
俳句特設2
鈴木 雅澄
俳句特設3
瀧本 憲宏
俳句特設4
徳永 スエ子
俳句特設5
宮川 久美子
俳句特設6
山根 円蔵
俳句特設7
吉弘 カスミ
俳句特設8

3.お知らせ

次・2017.1月(第29号)の課題は「寄鍋」です。
締切は11月15日です。

お世話役のつれづれメモより 「俳誌」に想う

  1. 俳誌『三河』1000号記念句碑資料の、「句碑解説」によると、
    • 臼田亜浪の句は大正14年の作で、田原の江比間の浜から門下の人々と舟で、浜の灯火が蛍火ほどに見える沖に出て、静かに漂っている一刻。何処からか幽かに虫の音が聞こえてきたという。それは何処なのかという詮索無用で、亜浪の詩心が確かに虫の音色を聞きとめた・・という句意である。
    • 市川丁子の句は、お盆の灯篭流しの風景をとらえたもので、豊川の河口から浅瀬伝いに奥郡(前芝、牟呂)迄、東北風(三河では「ならい」といい、優しい響きの風をいう。
    • 神尾朴水の句は、巨木の根元に生える「ひこばえ」の元気な姿に、「三河」の発展を重ねて、創刊1000号の記念句にふさわしい。
      *三河の額田町には、寺野の大楠、清田の大楠が知られ、今まで道に迷って見落としたので、機会を作って見に行きたい。
  2. 俳誌「石楠」について
     『三河』1000号記念句碑建立の「由緒」に、「俳誌三河は石楠臼田亜浪師系にして・・」とあるのを見て、句会「石楠」の今が気になった。
    • 「石楠」といえば、幸田町の鈴木正行氏の墓石に、俳句と同氏が「石楠」の同人で、太平洋戦争で戦死したので、「石楠」は休刊した・・と、墓石に刻まれていた。

      *はるひ句会第22号をご参照。

    • インターネットによると、「石楠」は昭和20年3月10日の東京大空襲により印刷所が罹災し休刊したものの、程なく復刊した。
      戦後21年に主宰臼田亜浪の死去により、「石楠:せきなん」と改名?したという。
    • このため手近の俳句誌(俳句会;文学の森刊、俳句;角川刊)の広告、記事などにより「石楠」の近況を知ることができなかった。

俳誌「石楠」の師の意を戴して『三河』の繁栄を願う次第です。

鈴木定夫 〒444-0113 額田郡幸田町菱池農基17-1
電話(0564)62-2088    Eメール s-suzuki@sk2.aitai.ne.jp