俳句同好会 はるひ2017.3 通刊30号
2017年3月新作
(前号紹介)芭蕉の句碑「鷹ひとつ みつけてうれし いらご崎」――を見た帰り道、田原市福江町の「潮音寺」へ立ち寄って、芭蕉師弟の3吟句碑を観てきた。
曹洞宗潮音寺は、渥美半島の突端――愛知県旧渥美町(現田原市)のほぼ中央部に位置する寺院で、境内には芭蕉をはじめ俳人の句碑が立ち並び〝俳句寺〟としても広く知られる。同寺の縁起書によると
- 芭蕉の愛弟子・杜国は、名古屋の御園町で米穀商を営む豪商で、尾張俳諧の重鎮であったが貞享2年(1685)、ご法度の米の空売買のため、家財没収、所払いとなり、この畑村(現田原市福江町)に隠棲していた。
- 貞享4年(1687)10月、芭蕉は越人を伴い杜国を慰めるため、畑村で再会し、この3吟句が詠まれた。――明治28年(1985)句碑建立――
- 現代俳人第一人者の山口誓子は再三この地を訪ね、杜国の境遇と芭蕉の鷹の句の鷹とは、杜国のことで、誓子も杜国を慕ってくる人々が集まってくるのを詠まれた句碑が広い境内にあった。


こうして江戸時代の俳句を通じた師弟愛が、句碑を通じて現代俳人の心を動かした結果、新しく生まれた句碑にも巡り合うことができ、嬉しい渥美の散策行となった。
メンバー新作ご紹介 作者名(アイウエオ順)
1.≪課題句≫ =「雛祭」=
蔭山 政江 | ![]() |
佐藤 武子(新入会) | ![]() |
鈴木 定夫 | ![]() |
鈴木 雅澄 | ![]() |
瀧本 憲宏 | ![]() |
宮川久美子 | ![]() |
山根 円蔵 | ![]() |
吉弘カスミ | ![]() |
2.≪自由句≫
蔭山 政江 |
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佐藤 武子(新入会) |
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鈴木 定夫 |
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鈴木 雅澄 |
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瀧本 憲宏 |
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宮川 久美子 |
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山根 円蔵 |
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吉弘 カスミ |
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3.お知らせ
次・2017.5月(第31号)の課題は「花見」です。
締切は4月15日です。
◆お世話役のつれづれメモより
- 渥美の「潮音寺」は、足利義満の時代(1674年)月江正公和尚が諸国行脚の折に当地を訪れ、朝夕の滔々と響く潮の音に心を打たれて潮音堂を建立され、後に曹洞宗の寺院として栄えた古刹である。
- 広い寺域には、
(1)大正・昭和の歌人で大正天皇の従妹の柳原白蓮が、昭和27年に当寺に立ち寄られこの歌を詠まれた。平成16年句碑建立
於潮音寺 南無帰依仏 まかせまつりし一筋の
心としらば 救わせたまへ 白蓮(2)「潮音寺」の山門は、昭和34年の伊勢湾台風により倒壊したので、宮内庁から、皇居内の大田道潅お手植えの大欅の払い下げを受けて再建され「千代田門」と命名された。
(3)昭和14年、行乞の僧で自由律俳人の種田山頭火が杜国の墓を詣でた時に詠まれた句碑もあった。平成3年句碑建立
あの雲が おとした雨に ぬれている
波音の墓の ひそかにも 山頭火*杜国の墓碑は、54年の延享元年(1744)に建立
- 平成の付句(会員の仮名遣い順から)
寄鍋に憂き事忘れ一と日暮る 武子
つきぬ話題に友の嬉しき 定夫
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鈴木定夫 〒444-0113 額田郡幸田町菱池農基17-1
電話(0564)62-2088 Eメール s-suzuki@sk2.aitai.ne.jp