俳句同好会 はるひ2017.7 通刊32号

2017年7月新作俳句同好会 はるひへようこそ!

句碑をたずねて

 春のお彼岸に、岡崎の一畑山薬師寺へお参りした帰り道――山から下りて国道1号線の信号を右折(岡崎市内方面)し、『道の駅藤川』に立ち寄った。
 広い店内の一角に、一株の麦と芭蕉の句碑「むらさき麦」の看板が目を引いた。そしてそばには、「むらさき麦」を原料にしたパン、菓子、やビールなどが並べられていた。さっそく土産に菓子セットとビールを買い求めて試食した。
 江戸時代の俳句に詠まれた「むらさき麦」の栽培を現代に蘇らせて、数多くの商品を開発してきた藤川の人たちの熱意を実感・・私も自然に血の騒ぐ想いであった。

 句碑は古くて風化した字が読みづらく、「藤川資料館の拓本によって理解することができた。
句碑の裏面に「寛政五歳発丑冬十月当国雪門月亭其雄并連中・・・」とあり、寛政5年(1793)は、芭蕉(1644-1692)の没後100年忌になる。
――そして芭蕉の孫弟子?に当たる月亭其雄(在岡崎・舞木)等により、岡崎の藤川宿で詠まれた「むらさき麦」の句碑が建立された・・・と思いをめぐらせた。〝俳聖〟芭蕉はもとより、句碑を建立した人達の人徳に触れた思いがした。
*本稿は「藤川まちづくり協議会 会長の鈴木忠さんから頂いた資料を参考にした。

メンバー新作ご紹介 作者名(アイウエオ順)

1.≪課題句≫  =「夕立」=

蔭山 政江 課題句1
鈴木 定夫  課題句2
鈴木 雅澄 課題句3
瀧本 憲宏 課題句4
宮川久美子 課題句5
山根 円蔵 課題句6
吉弘カスミ 課題句7

2.≪自由句≫

蔭山 政江
俳句特設1
鈴木 定夫
俳句特設2
鈴木 雅澄
俳句特設3
瀧本 憲宏
俳句特設4
宮川 久美子
俳句特設5
山根 円蔵
俳句特設6
吉弘 カスミ
俳句特設7

3.お知らせ

次・9月(第33号)の課題は 『秋刀魚(さいら、初さんま)』 です。
傍題はお手元の歳時記による。 =締め切りは8月10日です=

お世話役のつれづれメモより

  • 藤川まちづくり協議会
    • 某日、江戸時代の芭蕉の句と〝むらさき麦〟の栽培・復活の背景を知りたい・・と、岡崎市役所を訪れた。受付の女性に担当の係員を紹介頂き、電話で「藤川まちづくり協議会」の会長・鈴木忠さんに伝えて頂くことが出来、帰宅した頃、その鈴木さんから電話があった。
    • お訪ねしたい用向きを話したところ即刻承諾、翌日10時にご自宅へ訪問させて頂いた。
    • あれこれ懇談している内に奥様が「毎日食べているむらさき麦ご飯とお茶」を接待頂き、有難く頂戴した。むらさき麦の特徴を活かした・・薄い塩味で、風味がよく大変旨かった。
    • 帰り際に、協議会に参加されてこのかた調査・編纂されてきた貴重な資料『東海道五十三次むらさき麦の里【藤川宿】散策』(A4、7頁)と、『むらさき麦の話し』(A4、6頁)・・・の2冊を頂いた。
    • ――両資料とも各種の文献名と、項目や要旨が綿密に記載されており、鈴木忠さんの熱意・行動力と人柄に感服させられた。(訪ねた甲斐ある)よい人に巡り会えて本当に嬉しかった。
  • むらさき麦について(頂いた資料を参考)
    1. 江戸時代では紫色、小粒、不味、食用不向きとあり、主に観賞用と染料に用いられた。
    2. 藤川では、太平洋戦争後(昭和20年)まで細々と栽培されていた。
    3. 平成6年、当時の藤川町の総代他が奔走して、県の総合農業試験所から〝むらさき麦〟5品種、20数鉢分の苗を分けて貰い、観賞用として育ててきた。
    4. 平成11年、栽培面積を増やすと共に、その活用策について検討を開始した。
    5. 平成13年、東海道五十三次宿駅制定400年を機会に「むらさき麦まつり」を立ち上げ、俳句を募集し<町のシンボル>として宣伝。
    6. 〝むらさき麦〟の栽培には、地域の幼稚園から小・中・高・大学の年代や能力に適した種蒔きや麦踏み、また食品の試作など、地域に密着した活動を展開。
      ――作付け面積は21,000㎡、収穫が3.5トンであった。また20㎡当たり5,000円のオーナー料で、約140人に達した。 
  • 〝むらさき麦〟商品の試食
    • 『道の駅藤川』では〝むらさき麦〟商品を、ひと通り(9品)買ってきて試食してみた。
    • <パン><うどん>は美味。<麦こがし>は昔の味で懐かしかったし、<家康ビール>には(不老長寿の効能がある漢方薬の霊芝も使用)と、ラベルに標示してある。
    • ――特徴豊かな風味で嫌味がなく味わい爽やか――老友・知友向けのサービスお中元などには適・適・適?
  • 平成の付句

    季節の初物を仏壇にお供えして「味をきく」優しさに触れ、この付け句ができた。毎日の食事を通じて、近頃家内の味付けが亡き義母の味付けにどこか似てきた・・と思えることがあった。また老舗の料亭では代々の味を受け継いでいるとか。どこの家にも相伝の味があるに違いない――と。

  • 鈴木定夫 〒444-0113 額田郡幸田町菱池農基17-1
    電話(0564)62-2088    Eメール s-suzuki@sk2.aitai.ne.jp