俳句同好会 はるひ2018.1 通刊35号

2018年1月 メンバー新作俳句同好会 はるひへようこそ!

豊橋公園/富安風生の句碑 鈴木定夫

 13年前のこと、私の母方の従兄で趣味人でもあるTさんの絵手紙に、富安風生の俳句が添えられていて、老人になりたての自分にぴったりだ・・と、気に入っていた。
 最近友人から、豊橋公園に富安風生の「三河万歳」の句碑がある――と聞き、1月(第35)号 句碑をたずねて の題材にふさわしく思われたので訪ねてみた。
 この取材行における余得は・・全国的にも今では少なくなってしまった乗物=豊橋の市電=の楽しさを味わえたことであった。

  *ご参照――巻末の「つれづれメモ」をご覧下さい。

1.≪課題句≫  =「今年(新しい年を迎えた感慨をこめて)」=

蔭山 政江 課題句1
鈴木 定夫 課題句2
鈴木 雅澄 課題句3
瀧本 憲宏 課題句4
宮川久美子 課題句5
山根 円蔵 課題句6
吉弘カスミ 課題句7

2.≪自由句≫

蔭山 政江
俳句特設1
鈴木 定夫
俳句特設2
鈴木 雅澄
俳句特設3
瀧本 憲宏
俳句特設4
宮川久美子
俳句特設5
山根 円蔵
俳句特設6
吉弘カスミ
俳句特設7

3.お知らせ

次・3月(第36号)の課題は――「雛祭り」(桃の節句、雛の日、雛飾る・・など)お手持ちの歳時記による。 締め切りは2月10日です。

お世話役のつれづれメモより

  • 富安風生(本名謙次)*現在の愛知県豊川市金沢町生まれ。
    • 明治18(1885)年4月16日~昭和54(1979)年2月22日没・・94歳。

    • 旧制・豊橋中学校時習館 ~ 第一高等学校 ~ 東京大学・法学部卒。

    • 逓信省(元郵政省、現総務省)に就職。大正7(1918)年、福岡貯金局長の時に福岡を訪問した高浜虚子に会い、以降俳句に親しみホトトギスに投句してきた。

        ――昭和3(1918)年、省内に俳句会を設け、選者になった。

          昭和11(1936)年に次官で退官。戦後は、電波管理委員長の公務に就く。

  • 風生の俳句について、高浜虚子は〝中正穏健、妥当な叙述〟と評した。
    また風生の・・

    何もかも 知ってをるなり 竈猫

    の句の竃猫(かまどねこ)は、風生の造語であったが、虚子はユーモラスな語感を称えて〝季語〟として認めたという。そして虚子は・・次の一句を詠んでいる。

    風生と 死の話して 涼しさよ

  • 私の「合本俳句歳時記・角川・平成20年刊」には、「万歳」の季語の例句に風生の句が載っていなかった。そのため友人から頂いた「大日本大歳時記・講談社・昭和56年刊」を調べたところ――〝風生の万歳〟の句が載っていたのでホッとした。
  • 意を強くして、私の「合本俳句歳時記」の新年の部(854~941頁)をめくっている内に・・風生の句がその87頁中――11句も載っていたので嬉しくなった。

  • 次の場所にも富安風生の句碑があるのを知った。機会を得て訪ねてみようと
    考えている。

    里川の 若木の花も なつかしく 豊川市金沢町 大阪神社

    雪嶺を かえりみて立てり 渡舟中 豊川市金沢橋竣工記念碑

    草山に あそび左右の 海二つ 田原市野田町法光院

取材過程をふり返って――

豊橋の 市電に乗りて 稚児気分 定夫

・豊橋駅前から市電に乗って、運転席に隣接した最前列の椅子に座って前方を眺めていた。
保線が不十分なためか?線路が上下・左右にうねり、速度は遅くても電車は大きく揺れ、子供の頃(東京)市電に乗った気分。

<三河万歳>について

  • 三河万歳は・・今から720年ほど以前の、江戸時代に、愛知県西尾の実相寺の住職が、中国から習い覚えたことに始まったと伝えられている。
  • 幸田町の三河万歳は、明治の初期に西尾の太夫(上位の役)の才蔵(太夫の相手をして笑わせる役)を勤め、国家安泰、五穀豊穣、無病息災を祈願して地方を演じて
    廻った。
  • 昭和52(1977)年、「幸田町三河万歳保存会」を結成。私の兄・忠夫も参加した。
  • 平成7(1995)年には、西尾市・安城市と共に『国の重要無形文化財』に
    指定された。

平成の付け句

鈴木定夫 〒444-0113 愛知県額田郡幸田町菱池農基17-1
電話(0564)62-2088    Eメール s-suzuki@sk2.aitai.ne.jp