俳句同好会 はるひ2018.5 通刊37号

2018年5月 メンバー新作俳句同好会 はるひへようこそ!

「水郷の町」――蟹江町  瀧本憲宏

 俳句を愛する者として「水郷の町」蟹江町を訪問した。近鉄・蟹江駅下車。駅を出て西へ5分ほど歩くと蟹江川の土手に出る。左折して土手沿いに歩く。
 国道1号線を越えるとひとりでに月見橋に出る。月見橋を渡り、坂を降って道なりに行くと佐屋川にぶつかる。この川はヘラブナ釣りのメッカであり・・太公望たちが川岸に腰を下ろして釣り糸を垂らす光景があちこち見られた。釣った魚はすぐさまリリースするようである。
 町が「文学の散歩道」と名づけている佐屋川沿いは桜並木で、桜満開時期に重なり、花見客で賑わっていた。川沿いに歩いて行くと佐屋川にぶつかる。この川尻に吉川英治の句碑がある。

ひと昔前は蟹江川の堤のほとりに建っていたのが、川の整備に際してこの地に移されたとある。
英治の「月こよひ」は、恐らく「月」が課題として挙げられたものと、同行の人に教えられた。ここから月見橋まで引き返す。 夜寒橋を北へ少し進むと「鹿島神宮文学碑」がある。境内には、この地を訪れた文化人、俳人の句碑が26基並んでいる。・・消えて行く水郷風景などを文学的遺産として残そうと、昭和43年から18年掛けて整備されたもの。発起人として、この地に生まれた黒川巳喜氏(世界的建築デザイナー・黒川紀章氏の父)が中心となって整備を行い、現在は町の有力者が寄進して祀っている。 *印象に残った俳句は巻末のつれづれメモご参照。
 この神社の東側に黒川巳喜氏の屋敷があり、今でも同氏の表札が掛かっている。

1.≪課題句≫  =「五月」(五月来る、聖母月、マリアの月、聖五月)=

蔭山 政江 課題句1
鈴木 定夫 課題句2
瀧本 憲宏 課題句3
宮川久美子 課題句4
山根 円蔵 課題句5
吉弘カスミ 課題句6

2.≪自由句≫

蔭山 政江
俳句特設1
鈴木 定夫
俳句特設2
瀧本 憲宏
俳句特設3
宮川久美子
俳句特設4
山根 円蔵
俳句特設5
吉弘カスミ
俳句特設6

3.お知らせ

次・7月(第38号)の課題は、「涼し」(朝涼、夕涼、晩涼、夜涼、涼風)です。
 傍題はお手元の歳時記による。=締め切りは6月10日です。

お世話役のつれづれメモより

  • 瀧本さん(本編冒頭の〝句碑をたずねて〟執筆)が「.水郷の町蟹江」の「鹿島神社文学苑」に所在する26基の句碑から、印象に残った次の6句を紹介された。

    俳人の句碑に並んで、元知事や元市長の句碑がなぜ選ばれたのか?・・と関心が募った。
     これらの句碑を建立された黒川巳喜氏は、明治38年蟹江で生誕、昭和2年に名古屋高等工業学校・建築科を卒業し、愛知県営繕課に就職され、昭和19年に退職。「黒川建築事務所」を開設された。その間に仕事を通じて県知事や市長との友諠を深め、糧として戦争により荒廃した愛知・名古屋の再興に尽力されたことと拝察した次第である。 *世界的建築デザイナー・黒川紀章氏は、黒川巳喜氏のご子息である。

  • 関東――名代の水郷〝潮来〟の句碑

     潮来の資料を調べてみたところ・・次の句碑が目に付き、関心を惹かれたのでご紹介する。 

  • 平成の付け句

鈴木定夫 〒444-0113 愛知県額田郡幸田町菱池農基17-1
電話(0564)62-2088    Eメール s-suzuki@sk2.aitai.ne.jp