俳句同好会 はるひ2018.9 通刊39号

2018年9月 メンバー新作俳句同好会 はるひへようこそ!

幸田町・深溝本光寺の師弟の句碑 鈴木定夫

 幸田町の本光寺(曹洞宗)は、三河国・松平郷(現・豊田松平町)で発祥したと言われる〝十四松平家〟の一つ。深溝一帯を支配した松平家忠によって大永三(1523)年、松平家の菩提寺として建立。その由緒にふさわしい風格を漂わせている。

仮の世に仮に紫陽花寺と呼ぶ 伊藤柏翠 蜂多く御廟処なれど参拝す 村松一平

 深溝松平氏は、第六代・松平忠房から第十九代に至るまで、九州・島原を領有したのち明治を迎えた。その歴史の奥深さは今なお広大な寺域の各所に名残りを留めている。東側には神殿、墓地には石造りによる歴代の廟が14基も連なり、規模・環境ともに〝日本一〟と評されている。

 本堂の長押に、しばしば催されたという「句会」を記念した写真が掛けてあり、当時の住職・伊藤伯翠・坊城俊樹夫人・住職夫人の四人がにこやかに撮れていた。(年月は記載なし)

 広大な寺域に植えられた樹木と数と開花の見頃――椿400種・1000本(2~3月)、梅10種・100本(3月)、桜10種・30本(4月)、紫陽花15種・5000本(6~7月)、紅葉・約5種・70本(11月頃)――年中季節の変化を楽しませてくれる。

1.≪課題句≫  =「立秋」 (秋立つ、秋来る、秋に入る、今朝の秋)

蔭山 政江 課題句1
鈴木 定夫 課題句2
瀧本 憲宏 課題句3
宮川久美子 課題句4
山根 円蔵 課題句5
吉弘カスミ 課題句6

2.≪自由句≫

蔭山 政江
俳句特設1
鈴木 定夫
俳句特設2
瀧本 憲宏
俳句特設3
宮川久美子
俳句特設4
山根 円蔵
俳句特設5
吉弘カスミ
俳句特設6

3.お知らせ

 次・11月号の課題は、――「冬」(三冬、九冬、玄冬、冬帝、冬将軍)です。
傍題はお手元の歳時記による。・・締め切りは、10月10日です。

お世話役 つれづれメモより

  • わが同好会の会員・鈴木雅澄様――ご逝去されました。(2018年7月末)
     本欄「句碑をたずねて」の第3号(2012年11月)からメンバーとして投句を頂き、 第24号(2016年3月)では、名古屋市南区・・≪白豪寺≫の句碑をたずねて起稿されたレポートと写真を提供頂き、ホームページで紹介させて頂きましたが、残念至極です。

     3年前に奥様を亡くされたとの由。2018年3月、はるひ句会に寄せられた最後の句に

    雪景色眺めつ一人朝御飯 ・・とありました。

    今頃は天国で奥様とご一緒に朝餉を楽しまれておられるのでは? ご冥福をお祈りします。

  • 本光寺――〝師弟の句碑〟建立(昭和63=1988年10月8日)に関わる人々について

    • 伊藤柏翠 明治44(1931)年、東京生れ~平成11(1999)年没。

      • 昭和6(1931)年、高浜虚子に師事。
      • 昭和9(1934)年、俳誌『花鳥』を創立。
      • 昭和19(1944)年、福井県三国へ疎開し、料亭を開業。
      • 昭和33(1958)年、永平寺で得度。
      • 昭和62(1987)年、「日本伝統俳句協会」の常務理事に。のち「ホトトギス」の会長となる。
    • 村松一平 昭和5(1930)年、西尾生まれ ~ 没年不詳

      • 「西尾文化協会30年史」によると、華道『彩生会』の創始者として、地方文化の高揚に尽力して表彰された。俳句に関する事績の資料は、本光寺の句碑以外には見当たらなかった。 *調査中
    • 村松五灰子 昭和25(1950)年~平成12(2000年)

      • 父、村松一平の創立した華道『彩生会』を継ぐと共に、句会『カヤハナ句会』を立て、平成27(2015)年、福井県三国における『第16回拍翠忌句会』に、西尾から会員15名で参加。また、永平寺の曹洞俳壇の選者として指導されている。
      • 昭和62(1987)年、『句集茅花』が刊行されている。
    • 花鳥句会

      • 坊城俊樹(高浜虚子の孫)が、伊藤柏翠から句会を引き継いでいる。
  • 平成の付け句

    立秋の無人駅にも匂ひ立つ 山根円蔵

    鄙(ひな)には稀な美女の佇む 鈴木定夫

鈴木定夫
Eメール s-suzuki@sk2.aitai.ne.jp