俳句同好会 はるひ2019.01 通刊41号
2019年1月 メンバー新作
三村神社(長嶺、坂崎、久保田区の氏神様)の境内は、鬱蒼と茂る木立のたたずまいはもとよりのこと、「青嵐」の句意にピッタリだと感得させる、清々しくも趣深い環境であった。
先号でご紹介した句碑は、江戸時代に建立されたもので、その<句意>や詠まれた<背景>等など、理解の難しい点なきにしも非ずであったが、今回取材の「青嵐」の句碑は、昭和中期の建立でもあり、内心(あるいはお身内に会えるかも知れぬ)などとも希望しながら車を走らせた。
目標の三村神社は、幸田町内・東北の山裾にある。県道409号線(岡崎-幸田線)=長峰近くの枝道で、2~3人の男性が言葉を交わしている様子が目に留まった。そこで車から降り、「長嶺の区長さんあるいは藤江さんのお宅は?」と尋ねてみたところ、一人が関心を示された。
早速「もしお差し支えなければ・・と私の車に迎え入れ、持参した『俳誌三河1000号』に掲載された〝青嵐〟の句碑をお見せしたうえ、訪問のいきさつ目的や、私の素性を説明した。
幸い、意外や意外の反応で――「この句碑を建立したのは、多分私の祖父であり、93歳で今なお健在」との反応に思わずビックリ。そのままご自宅へ案内して頂くことが出来たのである。
俳句の世界に導かれ、あたかも天意に導かれたようにも思える、嬉しく楽しい取材行だった。
*より具体的には――巻末の「つれづれメモ」をご参照願います。
1.≪課題句≫ =「初春」(春、新春、迎春、明の春、今朝の春、花の春)です。
蔭山 政江 | ![]() |
鈴木 定夫 | ![]() |
瀧本 憲宏 | ![]() |
宮川久美子 | ![]() |
山根 円蔵 | ![]() |
吉弘カスミ | ![]() |
2.≪自由句≫
蔭山 政江 |
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鈴木 定夫 |
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瀧本 憲宏 |
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宮川久美子 |
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山根 円蔵 |
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吉弘カスミ |
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3.お知らせ
次・3月号の課題は――「彼岸」(お彼岸、入り彼岸、彼岸過)です。傍題はお手元の歳時記による。・・締め切りは、2月10日です。
お世話役 つれづれメモより
- 俳人の父と子
「俳誌三河千号史稿」によると――
父 : 藤江 呆人(本名:保) 明治38年生まれ、昭和36年8月16日没。
子 : 藤江冬青子(本名:充) 現在93歳で今なお健在。
○昭和39年「俳誌三河」の新人賞受賞
○昭和45年 父・呆人の「青嵐」の句碑を建立、遺句集「山塊」を刊行――とあった。
父君の没後3年で句会の新人賞を得られたことは、遺品を整理する内に〝俳句〟への関心を強く惹かれ、「俳誌三河」へ加入して父の遺志を受け継ぐとともに「句碑」の建立に至ったものと拝察、感興ひとしおの心境を味わえた。
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「茸飯」の句・父子の情愛
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充さんと孫の大輔さん(路傍でお会いし、自宅で充さんに会わせて下さった方)との懇談のお終いに「お父様の俳句の内で、最もお心に残っている句は?」とお尋ねしたところ、即座に、ゆっくりと「子のどもり 味のう喰ひし 茸飯」とお答えになり、子供の頃には〝ひどいどもり〟でした・・と述懐された。平仮名でメモした句韻を漢字に直すと、父子の情愛の深さに胸を打たれて感動した。
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帰路も「句碑」へのご挨拶
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帰りの車中で――自らも父の記憶を追想しながら、三村神社の「句碑」へ立ち寄り、土産に頂いた苺を一つ「句碑」に供えて、お元気だった充さんより伺った「茸飯」の句を復唱しつつご報告して来た。同「句」にとりわけ感動させられた取材行脚であった。
ありがとうございました!
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鈴木定夫 〒444-0113 額田郡幸田町菱池農基17-1