俳句同好会 はるひ2021.04<第67号>

令和3年(2021)年4月 メンバー新作俳句同好会 はるひへようこそ!

●句碑をたずねて

蒲郡市元町――「善応寺」(ぜんのうじ)の句碑 鈴木定夫

夜桜の木肌にのこる陽の匂い 田島冬潮子

 今回は、当月の<季語>で詠まれた句碑をたずねてみた。(手持ちの資料を参考に)コロナ禍のなお治まらぬ中でもあるため、目標を、近くて取材に適していそうな〝夜桜の・・〟句碑にした。(自宅から車で約20分、約12km程走って、JR蒲郡駅にもほど近い「善応寺」に到着した)

左:形原神社の大鳥居と参道 中央:安立彦重(立春の・・)句碑 左:形原神社の拝殿

洋館風・鉄筋コンクリート造りの「本堂」は(アレ間違えたかな?)と思った程の建物だったが、風格豊かな<家紋>の標示された開き戸に出迎えられて「本堂」へ。スリッパに履き変えて中へ入ると〝木の床〟で、肘掛けの備わった木製椅子が――約1m程の間隔で並べられていた。(正座のしんどい高齢者を迎える機会も考慮してある、親切な配慮だなあ)・・と、好感できた。

本堂入口右側に、黒くて四角い石碑?があった。指でなぞって読んで見たところ、江戸時代の連歌師・谷宗牧――の名が読み取れた。思わず座り込んで、手帳に書き遺して来たのだが・・

鐘の音も半ばは雪のみせまかな・・とあった。<雪>の字が読みにくかったので和尚さんに伺ったところ、携帯を開いてゆっくり読み聞かせて下さったのが――大変嬉しかった。

黒石には<昭和27年2月本堂の建立記念に>と、小林栄次郎ほか20余の名が刻まれており、和尚さんは「蒲郡に雪が降った時に鐘を撞いても大半は山の雪に吸収される」と、語られていた。

パソコンで連歌師・宗牧を検索すると、天正14(1548)年に『東国紀行』を著していることから、当地へも訪れたであろうなどとも連想した。建立者の小林さんにもお会いしてみたい。

●句碑をたずねて(作者名:アイウエオ順)

1.<課題句>=花、風光る、春の雲

蔭山 政江 課題句1
鈴木 定夫 課題句2
堰本 敏雄 課題句3
瀧本 憲宏 課題句4
野口 正子 課題句5
宮川久美子 課題句6
吉川 正男 課題句7
吉弘カスミ 課題句8

2.<自由句>

蔭山 政江
俳句特設1
鈴木 定夫
俳句特設2
堰本 敏雄
俳句特設3
瀧本 憲宏
俳句特設4
野口 正子
俳句特設5
宮川久美子
俳句特設6
吉川 正男
俳句特設7
吉弘カスミ
俳句特設8

3.お知らせ

 次・5月の課題は、立夏・葉桜・春惜しむです。締め切りは5月17日(月)です。

お世話役のつれづれメモより

  • 田島冬潮子(たじまとうちょうじ)
    大正2(1913)年8月25日生れ~昭和59(1984)年10月23没。
    • ①俳誌三河千号史稿』によると、俳誌三河の十師の一人として敬われた。写真館を営む一方、太平洋戦争により昭和19(1944)年4月から休刊していた『俳誌三河』を再発行すべく、編集を行うと共に、初代と2代目主宰を支えて同誌の発展に力を尽くされた。
    • ②ご紹介した〝葉桜の句〟は、格調が高く、田島冬潮子の最も優れた作品として高く評されている。
    • ②蒲郡各地区の公民館で「俳句教室」を指導する一方、「蒲郡文化協会」の創立に尽力された。
  • 善能寺(浄土宗・西山深草派の末寺)
    • ①お寺の正面に来た時、鉄筋コンクリート造りであるのに入り口が引き戸であり、戸袋には日本の〝家紋〟が荘重に描かれていて・・不思議な感覚を思わず覚えた。
      *本堂の内面は――普通に見られるお寺のように建てられていた。
    • ②お参りしたのち、和尚さん親子と行き合ったので『句碑』のある裏庭へ、ご案内頂いた。
    • ③本堂を鉄筋コンクリート造りにされた理由をお訪ねすると、「先々代住職のそのまた祖父が、昭和27(1952)年に建てられたのですよ」・・との、お答えであった。

額田郡幸田町菱池農基17-1 鈴木定夫