名古屋ゴムの青年期

ゴムという生産材の奥行き深さについて

御堂岡正則(07年度入会)、鈴木定夫さん(01年度入会)の回想を中心に要約。

何をどうすれば、必ずこうなる・・とは簡単に参らないのがゴムの配合だとされています。
天然ゴムから合成ゴムの時代へと変化してきた過程で様々な経験を積み、現在に至ってもなお、ゴムの奥行き深さには底知れぬものがあると言われております。

◆「配合」さえ現場第一線の〝名人芸〟に依存?していた面もあった

天然ゴムには、練りが不足すると押出し時の膨張が大きくなり過ぎ、所定の寸法が得られぬ傾向があった。それを熟知している配練の現場・・とりわけベテラン作業者は、技術標準的には違反と承知しながら経験的なノウハウを秘かに活かして、パインタール(松根油)をひと匙加えることもあった。
その結果、ゴムが練り良くなって、押出し後の寸法も安定するのを承知していたからである。

◆ゴム自体もその配合技術も、容易なことでは極められない研究対象

当時はまだ技術部門も、基礎的な配合理論を確立できていないと周りから言われており、配合処方を後生大事にするばかりで、処方決定の裏づけがはっきりしないものが多かった。〝配合理論〟とか〝配合技術〟という言葉でひと括りにするのではなく、ゴムポリマー、配合剤、加工条件・・の3要素が組み合わさってゴムの性能が決まる。
それぞれに質的・量的な変化を与えた場合の性能評価を丹念に実施して、データを積み重ねるしかない・・その考え方で一歩一歩を進めよう。そう心に定めて、ゴムの持つ奥行き深さに向き合う毎日だった。

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