名古屋ゴムの青年期

■大学在籍中から設計参画・・新規の着想を製造試験装置におりこむ

以下は柳井宏さん(1987年入会・元副社長)による想い出のご披露です。

柳井さんは、名古屋工業大学在学中から恩師の勧めで名古屋ゴム(株)へ出入りされていました。この想い出もその頃のご体験を踏まえたものです。

◆ブレーキホースの性能試験について

卒論テーマが「ブレーキホースの研究」であったため、昭和31年から名古屋ゴム(株)へ出入りするようになった。最初に行ったのは「耐圧、膨張C.C.ホイップ時間」の比較テストで、欧米製品(イギリスのガーリング、ドイツのアーテ、 アメリカのワグナー)および国内では(日輪、明治ゴム、名古屋ゴム)製ブレーキホースの性能測定であった。その結果、当時ではアーテ、ガーリング製が優れており、国内では名古屋ゴム製が良かった。
その過程で(名古屋ゴムの)ブレーキホース性能評価設備を改良するよう指示され、耐圧試験設備(それまでの手動加圧を、モーター駆動により高圧ポンプに 改良)、ホイップ試験の自動停止装置(当時は、試験中にブレーキホース破裂の瞬間を目視せねばならず、徹夜で監視が行われていた)の設計を行った。

自動停止装置のヒントは、工場入り口に設置されていた、高さ5mぐらいのアキュームレーターであった。当時、型物工場では、1台のポンプで30~50台の水圧プレスを動かしており、プレスは同時に加圧するのではなく、個別に使用するので、加圧時の圧力変動を 防ぎ、同じ圧力にするための〝貯圧装置〟として用いられていたものである。

◆ピストンカップの性能試験について

ストローキングテスターは、SAEのハンドブックを参考に設計し、恒温槽は フタバ産業、駆動装置は佐藤鉄工所で製作して貰った。思えば両社は、学生時代からの〝縁〟である。

後年、トヨタ自動車工業からも、同じ試験装置を造って欲しいと依頼された記憶がある。

*SAE規格=自動車産業および航空機産業の設計・製造・保守業務などに広く用いられている国際規格。

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