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03 生産技術統括部 基盤生技室
(現在:生産技術統括部
カーボンニュートラル生産工程推進室)
1990年入社 木村 洋治 Kimura Yoji

国内外で、他社の追随を許さない技術を確立。
そして若い世代に伝えていくのが私の使命。

不良を発生させない基盤技術の拡充を図る。

製造業の現場では、あらゆるロスをなくし、生産効率を高める努力や工夫が日々行われています。
そのすべてが収益に直結するからです。

ただ一方で、めっきやゴム押出の成形といった加工工場ではどうしても不良が発生してしまいます。
過去に比べてその率は著しく下がったものの、ゼロにするのは相当な難しさがあります。
そこで基盤生技室では、不良発生率0%を達成するべく、現場の各工程で不良発生のメカニズムを徹底的に解明することで、基盤技術の拡充を図っています。

また、金型設計における基盤技術開発では、東京大学の教授と連携して確立した“見える化”の手法を用いながら、金型の中で不具合を引き起こす因子の解明にも乗り出しています。
私たちの視点は常に製造現場に置かれ、ライン全体はもちろん、設備の一点一点にまで行き届いているのです。

現場のデータと、現場の意見と、
双方を活かす。

不良発生の要因を突き止める手法として、近年は「インダストリー4.0(※)」で提唱されているIoTを導入。
これは、工場と工場、設備と設備、ラインとラインなどをネットワークでつなぐことで、製造現場の各状況をデータ化して分析し、不良因子を直ちに絞り込めるようにするものです。
生産技術にデジタル技術を取り入れることで、ロス発生や高コストの悩みが解消されます。

現代版産業革命とも言えるこの手法を導入した背景には、豊田合成のものづくり力を徹底強化することで常に良品を市場に供給し、他社の追随を許さない圧倒的な信頼を勝ち取りたいという想いがあります。

その一方で、データだけに依存せず、現場に意見を求めることも大事だと若手に伝えています。
特に現場のベテラン勢は博識なため、意見を求めると不良因子を洗い出すヒントが見つかる場合も少なくありません。

基盤技術を確立した結果、利益が出るとほっとしますが、現場と密に関わっている私たちからすると、彼らから「つくりやすくなった」と評価されるほうが、実はうれしかったりしますね。

※インダストリー4.0:2011年、ドイツ政府が国家プロジェクトとして提唱。工場にIT技術を導入することで、製造業のコスト削減や不良発生の抑制につなげるのが目的。将来的には、部品の発注や設備の修理なども自動化させる方向で、自ら考え稼働するスマート工場の誕生をめざしている。実現に向けて産学官の連携が強化され、技術開発も進行中。

豊富な知識を伝承し、
次世代のリーダーを育てたい。

グローバルサプライヤーとして豊田合成は今後、海外に基盤技術を展開してこそ次なる勝機をつかめると思っています。
課題となるのは、設備の仕様や製造に使われる材料などが日本と海外では異なるため、日本で確立した基盤技術をそのまま海外に導入するのは困難だということ。
そこで私は、現地に赴いて調査を行い、汎用性を視野に入れた基盤技術を開発する必要性を感じています。

しかも、こうした海外経験は若手に積ませるべき。
なぜなら、日本とはまるで勝手が違う状況の中では、自ら道を切り開くために必要な覚悟を養うことができ、結果的に技術者として大きな成長を遂げられるからです。
次の基盤技術をつくっていくべきは、未知なる可能性を秘めた若い世代。
だからこそ、彼らの背中を押してあげることを上司の役割として、次世代のリーダーを育てたいと思っているのです。

基盤技術開発ひと筋でここまでやってきた私は、とりわけゴムの成形加工技術については専門的に関わってきたので、未来の基盤技術開発に活かせる知識を若手に伝えられると自負しています。
私自身も若い頃、大先輩の知識に何度も救われたように、自らの豊富な知識の伝承にいよいよ本腰を入れなければならないと、強い使命感を抱いています。

OFFの過ごし方

山登りに海釣り、ゴルフに国内旅行にジョギングなど、自分で言うのは恥ずかしいですが、多趣味でアクティブなほうですね。特に、21歳から始めた山登りには、日本百名山の70峰を制覇するほどのめり込んできました。母校の研究室とは今でも交流があり、現役の研究生と教授、そして私たちOBが一緒になって登ったりしています。海釣りはまだキャリア数年ですが、東尋坊の近くで81cmのタイを釣ったことが、今一番忘れられない思い出です。

木村 洋治さんはこんな人

生産技術統括部 基盤生技室 -部下-加藤 剛

入社以来、ゴムの生産技術開発分野に長く携われてこられたので、その分野の知識量はずば抜けています。他部署の方々も技術相談に来ることが多い中で、室長という多忙な立場でありながら、常に親身になって相談に乗っている姿は憧れでもあります。今後は、ゴムの分野だけでなく生産技術分野全体で指導力を発揮いただくのはもちろん、今までの知見・経験を活かした後進育成にもより一層力を注いでいただけることを願っています。