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07 FC技術部 エンコパ部品技術室
(現在:ホースバルブ技術室)
2014年入社 勝部 聖史 KATSUBE SATOSHI

金属部品を樹脂化する技術に挑み、
軽量化というクルマ業界のトレンドを捉える。

社会の力になれる仕事に関わっている充実感。

数多くの部品で構成されているクルマのエンジンにおいて、冷却配管の開発・設計を私は担当しています。
エンジンは動力発生装置。一般的にガソリンエンジンは、ガソリンと空気の混合気体の燃焼によって起きる爆発を動力エネルギーとし、それがシャフトおよびタイヤに伝わることでクルマが動きます。
エンジン内で常に燃焼が起きている以上冷却する必要があり、そこで使われるのが冷却水で、これを通す部品が冷却配管です。

近年、クルマの燃費性能を向上させるために車両全体の軽量化が図られるようになりました。
そこで、従来は金属でつくられていた冷却配管を代替材料の樹脂でつくり、配管自体の軽量化を実現させ、燃費性能の向上に寄与することが部品サプライヤーにも求められるようになったのです。

私が入社した当時も樹脂化への動きがすでに盛んでした。車両が軽くなると、燃費性能が上がり二酸化炭素の排出量が減少。結果として地球の環境負荷低減に役立つため、自分の仕事は社会貢献に通じていると思います。
就職活動では社会の力になれる仕事に関わることが自分の大きなテーマでしたから、これを成し遂げている今、充実度は高いですね。

冷却配管のクリップレス化。
入社2年目での大きな挑戦。

入社2年目で初めて品質設定案件を任されました。
それは、樹脂製の冷却配管とゴムホースとの接合部(シール部)に取りつけられる金属製のクリップを廃止(クリップレス)し、軽量化をめざすというもの。
配管からゴムホースが外れてしまうと冷却水が漏れることになり、エンジンの故障につながります。
こうした事態が運転中に起きることなど絶対にあってはならないため、クリップレスでも確実にシールする仕様を考えるのが課題でした。

それまで先輩のサポート業務がメインだった私にとっては、大きな挑戦。豊田合成には幸いクリップレスの技術があるので、まずは過去の事例参照から着手し、そこで得た知識やノウハウを頼りに、配管の先端を切り欠き状にする設計を導入し、ゴムホースとの接合を可能にしました。

切り欠きの形状はコンマ数ミリ変わるだけで性能が激変するため、緻密な設計・試作・評価を何度も何度も繰り返し、お客様である自動車メーカーの担当者に納得していただきました。
開発段階においては、まるで出口の見えない道を歩んでいるような感覚でしたが、ようやく量産設計までこぎつけることができた時は、思わず顔がほころんだのを覚えています。

データは時に、技術者の言葉以上に強い説得力をもたらす。

開発案件は、役員の承認を経て量産が許可されます。
クリップレス配管の設計担当は私なので、役員へのプレゼンも私が行いました。

プレゼンで重要となるのはデータ。
誰もが納得できるデータは、時には自分の言葉以上に強い説得力をもたらし、相手の心に想いを伝えることができます。技術者にとってデータは、ある意味で最良のパートナーとも言えるのではないでしょうか。
役員の前でプレゼンするのは非常に緊張しましたが、入社わずか2年目でも、これほどの大役を果たすことができるのは豊田合成の魅力だと思います。

今後は、新規の樹脂材料を使った製品設計を手がけてみたいですね。
樹脂は金属に比べて熱に弱く、強度は低いですが、軽量化というクルマ業界のトレンドを捉えるには欠かせない材料。だからこそ、今まで以上に耐久性に優れた樹脂材料を、材料技術部とも連携しながら開発しなければなりません。
新規材料の開発によって冷却配管以外の部品を樹脂化できれば、クルマはもっと軽くなり、燃費性能もさらに上がり、地球に優しいクルマ社会の創生に一層近づくことができると思っています。

OFFの過ごし方

ロックミュージックが大好きで、日本各地のフェスやライブに繰り出しています。入社してからも、宮城・茨城・東京・千葉・大阪・京都など、数え切れないくらいの会場に足を運びました。リアルな演奏を体感することで、かなりリフレッシュになります。また、私は入社してからずっと寮暮らし。別のフロアに仲の良い社員が暮らしているので、予定を合わせて食事に行き、他愛のない話で盛り上がるのも大好きです。

勝部 聖史さんはこんな人

FC技術部 エンコパ部品技術室
-上司-
久保田 徳道

わからないことがあったらすぐに先輩の力を頼るのではなく、まずは徹底的に自分で追求して納得いくまで理解を得ようとする姿勢は、技術者としての彼の褒めるべきポイントです。今後は、次世代のエンジン、インバーターやモーターといったハイブリッドユニットにおける冷却配管の提案を、現状の仕様に縛られることなく彼らしい新しい視点で開発し、品質・収益・顧客ニーズを満足させて量産に結びつけてほしいと思います。