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08 研究開発部
(現在:新価値開発部
有機系開発室)
2011年入社 山﨑 真輝 YAMAZAKI MASATERU

自分たちの研究が会社の未来を変える。
だから、諦めることなどできない。

まだ見ぬ技術を確立し、
豊田合成の存在感を世に示す。

豊田合成は現在、高分子系分野とLED分野において多彩な製品を展開していますが、市場の変化に合わせた新製品も世に投じていかなければなりません。
会社を飛躍させる技術の先行開発にチャレンジしているのが、私たち研究開発部。
いざ新製品をつくるという気運が高まった段階で開発に着手していては、競合他社に先んじられる結果を招きかねません。
そうならないためにも早期から技術開発に力を注ぎ、まだ見ぬ技術を確立していく必要があるのです。

私はGaN(窒化ガリウム)基板の開発に関わり、その分析チームの一員として結晶成長に影響する不純物の調査を任されています。
GaNは青色LEDの材料。豊田合成と大変縁の深い赤﨑勇教授と天野浩教授が2014年にノーベル物理学賞を受賞されたのちに、GaNが持つ可能性の高さをメディアが報じました。

GaNは未来を明るく照らす希望の材料であり、半導体としての性質を向上させるには、より大きな結晶成長を実現させることが急務。大きな結晶ができれば、今までにない製品開発をもたらし、豊田合成の存在感を世に示すことができます。
ある意味で私たちは、会社発展の鍵を握りながら仕事に取り組んでいるとも言えます。

不純物の調査には果てしない根気強さが必要。

GaNの結晶成長試験は、ナトリウム溶液を入れた容器の中で行っています。
高度な分析装置を使ってこの溶液をサンプリングし、溶液中に含まれている不純物を調査します。
溶液中の水酸化ナトリウムと空気中の二酸化炭素は互いに反応するため、適切な調査環境を整えることに大変な気遣いが必要で、しかも見つけ出そうとしている不純物はpptオーダーの世界。
例えるなら、野球グラウンドからひと粒の角砂糖を見つけるようなもので、根気強さが求められます。

そもそも不純物に着目したのは、ある容器の中で結晶を成長させていた際、同じメーカーから仕入れた容器を毎回使っているにも関わらず、実験結果に異なる現象が起きたからです。
そこで私は、容器メーカーとともに容器の製造から見直しを図ることにしました。
すると、実験結果に違いをもたらす因子を探り当てることに成功。その因子を含む容器で結晶を成長させたほうが良い結果が出ます。
そこで、不純物が結晶成長に良い影響を与えるという仮説を立て、現在は、どのような不純物がどういう働きをしているかというメカニズムの解明に向けて緻密な調査を進めています。

先行開発で確立した技術を新製品の量産化につなげたい。

先行開発は、出口が見えない暗闇の中をゆっくりと歩んでいる感覚です。
進む先に光が見えてくるかどうかはわかりませんが、日々の実験や分析で推測していた通りの結果が得られると、「自分の考えは間違っていなかった」と自信が身につきます。

先ほどの容器製造の見直しについても、最初はメーカーから「品質に問題はない」と言われました。
しかし、原因を究明するためには最大限の検証を実施すべきだと思ったので、説得力のある実験データをメーカー側に提出し、納得してもらったうえで、製造工程の見直しに協働で取り組む了承を得ることができたのです。ここでも根気強さが発揮されました。

今の業務は、まずは手がかかりをつかむのに苦労し、つかんだ手がかりから真相を突き止めるのにも苦労します。
研究者には、知力と体力そして情熱が必須であることを改めて理解しました。
結果が出ないことで焦りを覚えたりもしますが、「自分のやっていることが会社の未来を変えるかもしれない」と思うと、心が奮い立ちます。
だから、やはり何としてもGaNのより良い結晶成長を実現させ、新製品の量産化につなげたいですね。そして個人的には、長く分析に関わってきたので、社内で一番と呼ばれる分析スペシャリストになりたいと思っています。

OFFの過ごし方

もともと走ることが好きなこともあって、会社の陸上部に入りました。練習は休日と毎週水曜日。実験や分析で行き詰まった時などは、走ることで気持ちの切り替えができますね。最近は忙しくて、なかなか部に顔を出せていませんが・・・。あとは、同期と集まって将棋を指したりもしています。将棋アプリがきっかけで、徐々にリアルな対局を楽しむようになり、今ではプロも参加する市民大会にも出場するようになりました。

山﨑 真輝さんはこんな人

研究開発部
(現在:新価値創造部
ベンチャー投資企画室)
-上司-
山野 直樹

職場では仲間から“ザッキー”と呼ばれ、親しまれる存在です。明るく元気な性格なので、前向きに業務に取り組む姿からは好印象を受けます。彼にお願いしている業務は高度な分析装置を使った開発材料などの組成分析で、これは難易度が非常に高く、良い分析結果を簡単に導くことができません。トライ&エラーの繰り返しになりますが、粘り強く臨み、小さな変化も見落とさない優秀な開発者に育ってもらいたいと願っています。