
自動車事業本部管掌/取締役・執行役員
安田 洋


社会から信頼される誠実な企業であり続けるために、豊田合成グループ全体でコーポレート・ガバナンスの充実を図っています。公正かつ透明性のある企業統治体制を構築・維持するために、社外取締役・社外監査役により経営の監督・監視の実効性を一層高めるとともに、業務の適正性・効率性を確保するための内部統制システムを全社で整備・運用しています。また、グループ全体でのコンプライアンス活動を通して法令遵守・企業倫理の徹底に取り組んでいます。
さらには、経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクをグローバルに把握し、未然防止のためのリスクマネジメント活動を推進しています。
コーポレート・ガバナンス

基本的な考え方
持続的成長の実現のためには、企業経営の健全性と効率性の確保を狙いとしたコーポレート・ガバナンスの充実・強化が経営上の最重要課題と認識し、環境変化に的確に対応できる組織体制および公正かつ透明性のある経営システムを構築・維持することに努めています。
また、豊田合成は金融庁・東京証券取引所が策定した「コーポレートガバナンス・コード」の理念や原則の趣旨・精神を踏まえた様々な施策を自律的に実践することで、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
企業統治の体制
当社は、監査役制度を採用し、法定の機関として、株主総会・取締役会・監査役会・会計監査人を備え、併せて、内部監査をはじめとする内部統制システムを整備・運用しています。
取締役会は、取締役9名で構成され、毎月定期的に行われる取締役会(必要に応じて臨時取締役会)において、法令・定款で定められた事項や経営に関する重要事項の報告・審議・決議がされています。
また、執行役員制度を導入し、意思決定と業務執行のスピードアップを図っています。経営の重要な事項については、本部長会議、経営会議を毎月開催し、さらに技術・原価・人事などの主要機能に関する機能会議体および各種委員会を適宜開催し、的確な経営判断を行っています。
監査役会は、監査役5名で構成され、監査役会を定期的に開催するとともに、取締役会をはじめとする重要な会議への出席や各部門・子会社の監査を通して経営監視の機能を果たしており、外部監査人である会計監査人による監査機能とあわせ、独立かつ公正な監査体制を確保しています。
これらの機関設計に基づき、監査・監督・執行を連携して機能させ、会社の意思決定、業務執行の適法性と効率性が十分に担保されていることから、現在の体制を採用しています。
また、取締役会の監督機能を強化し、意思決定プロセスの客観性・透明性を高めるため、取締役会の任意諮問委員会として、「役員報酬委員会」と「役員人事委員会」を設置しています。
内部統制システム
当社は、会社法の規定に基づき「内部統制の整備に関する基本方針」を策定し、これに沿って重要事項の審議、関連規程・要領の制定と運用、内部監査、コンプライアンス、リスク管理などを含む内部統制システムを整備することで、業務の適正を確保するための体制の構築と運用に努めています。内部統制の整備・運用状況については、毎年取締役会でその内容を確認し、さらなる改善および強化に継続的に取り組んでいます。
豊田合成グループとしての内部統制
当社および子会社の健全な内部統制環境の醸成を図るため、グループ各社と「経営理念」を共有するとともに、共通のコンプライアンス上の指針である「豊田合成グループ行動憲章」を定め、子会社に展開する体制を整備しています。また、子会社の経営の自主性を尊重しつつ、定期的に事業報告を受けるとともに、事前承認報告制度を通じて子会社の業務の適正性と適法性を確認する体制を整備しています。さらに、重要な子会社には非常勤取締役・非常勤監査役を派遣することで、子会社の業務執行を監視および牽制する体制を整備しています。
■コーポレート・ガバナンスの体制図

■主な全社会議体
会議体名 | 主管部門 | |
---|---|---|
経営会議体 | 取締役会 | 総務部 |
本部長会議 | 経営企画部 | |
経営会議 | 経営企画部 | |
サステナビリティ会議 | 経営企画部 | |
機能会議体 | 販売・技術戦略会議 | 営業企画部、技術企画部、生産技術統括部 |
収益・原価会議 | 経理部 | |
生産・調達会議 | 生産技術統括部、調達部 | |
人事会議 | 人事部 | |
IT推進会議 | IT推進部 | |
委員会 | コンプライアンス・リスク管理委員会 | 法務部、経営企画部 |
輸出管理委員会 | 監査部 | |
中央安全衛生委員会 | 安全健康推進部 | |
カーボンニュートラル・環境委員会 | カーボンニュートラル・環境推進部 | |
品質委員会 | 品質保証部 |
コーポレートガバナンス報告書
内部監査・監査役監査・会計監査
内部監査については、監査部を設置し、経営目標の達成と不正・誤謬の予防を図ることを狙いに、期首に経営者に承認された内部監査計画に基づき、業務全般にわたる内部監査を実施しています(機能部による監査も含む)。
内部監査の結果は取締役会および経営者に報告されるとともに、被監査部門に対しては監査結果に基づく改善勧告を行い、改善計画・改善結果を確認することにより、内部監査の実効性を高めています。
各監査役は、監査役会が定めた監査方針、計画に従い、当社および子会社に対し、調査を実施し、また、取締役会、本部長会議、経営会議などの重要な会議体・各種委員会に出席するほか、取締役などから事業の報告の聴取、決裁書類等重要な書類の閲覧、事業所や子会社の往査など、適法性の確保、適正性の確保、財産・権利の保全、損失の未然防止の観点より、取締役の職務の執行を監査しています。なお、監査役監査を補助する専属の部署を設置しています。
当社の2020年度会計監査業務を執行した公認会計士は、西村智洋氏および中谷聡子氏であり、PwCあらた有限責任監査法人に所属しています。
監査役、内部監査部門および会計監査人は、それぞれの監査の体制、監査方針、監査計画、実施状況、監査結果などについて、定例的に会合を持つとともに、必要に応じ随時連絡を行い、意見交換と情報の共有化を図り、連携して効率的かつ効果的な監査を進めています。
取締役(スキルマトリックス)
氏名 | 当社に おける 地位 |
役員 人事 委員会 |
役員 報酬 委員会 |
企業 経営 |
ガバナンス | 海外 事業 |
モノ づくり (生産 ・ 品質) |
技術 | 営業 | 財務 | 人事 | 環境 ・ エネ ルギー |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小山 享 | 取締役 社長 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
山田 友宣 | 取締役 副社長 |
○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
安田 洋 | 取締役 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
岡 正規 | 取締役 | ○ | ○ | ○ | ||||||||
石川 卓 | 取締役 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
宮﨑 直樹 | 取締役 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
土屋 総二郎 | 取締役 社外 独立 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
山家 公雄 | 取締役 社外 独立 |
◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
松本 真由美 | 取締役 社外 独立 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
取締役会 出席率 参考 (ʼ20/4~ ʼ21/3) |
---|
100% (13回/13回) |
100% (13回/13回) |
100% (13回/13回) |
100% (13回/13回) |
100% (11回/11回) |
100% (13回/13回) |
100% (13回/13回) |
100% (13回/13回) |
100% (13回/13回) |
※◎は各諮問委員会の議長
社外取締役の期待とサポート
豊富な経験と高い見識を持つ3名の方々に社外取締役になっていただいています。
土屋取締役はグローバル戦略と生産技術の分野、山家取締役は財務と環境の分野、そして松本取締役は環境とSDGsの分野の豊富な経験と高い見識をお持ちです。また、松本取締役は、当社では初めての女性取締役です。
この3名には、取締役会での活発な議論に加えて、モニタリングとアドバイザリーをしっかり実施していただいています。
モニタリングのサポートは、当社の各部門により事業内容や課題を説明、さらには国内外子会社視察を通じ、現地現物の視察に行っていただいて、ありのままの経営状態をご理解いただいております。その上で、取締役会の決議前に各議案の背景と内容をしっかりと説明して、適正な意思決定がなされるように努めています。
同時にアドバイザリーの機会としまして、監査役も含めた全社外役員に出席いただく社外役員連絡会を定期的に開催し、会社の方向性、事業の課題についてアドバイスをいただいております。そしてサステナビリティ会議、販売・技術戦略会議、カーボンニュートラル・環境委員会、臨時会議等の各種会議体に出席していただいております。
取締役・監査役員数の変遷
2012年に執行役員制度を導入し、取締役総数を2011年の23名から8名に削減し、2015年に社外取締役を初選任しています。
現在の体制は取締役総数が9名、そのうち社外取締役数は3名で比率は33%です。社外取締役のうち1名は女性であり、客観性と多様性を高めてきております。
■取締役人数

■監査役人数

■社外取締役比率

■社外監査役比率

■女性取締役比率

■女性監査役比率

社外取締役・社外監査役
豊田合成は、2021年6月17日開催の定時株主総会において、土屋総二郎氏、山家公雄氏、松本真由美氏の3名を社外取締役として選任しました。また、社外監査役は加古慈氏、葉玉匡美氏、および三宅英臣氏の3名を選任しております。
■独立社外取締役および独立社外監査役の選任
役 職 | 氏 名 | 独立役員 | 選任の主な理由 |
---|---|---|---|
社外取締役 | 土屋 総二郎 | ○ | 株式会社デンソーの取締役として経営に携わっていた経験、および同社をはじめとした企業・団体で長年にわたり培われたモノづくり全般に関する見識を有しており、その豊富な経験と高い見識に基づき、当社の経営に対する監督および助言を行っていただくため。 なお、独立役員の要件を満たしており、一般株主と利益相反が生ずるおそれがないと判断したため、独立役員に指定しております。 |
山家 公雄 | ○ | 政策金融を中心とした財務・事業審査分野および環境・エネルギー分野に携わってきた経験を有しており、その豊富な経験と高い見識に基づき、当社の経営に対する監督および助言を行っていただくため。 なお、独立役員の要件を満たしており、一般株主と利益相反が生ずるおそれがないと判断したため、独立役員に指定しております。 |
|
松本 真由美 | ○ | 報道番組のキャスターおよび研究者として広く社会問題や環境・エネルギー分野に携わってきた経験を有しており、その豊富な経験と高い見識に基づき、当社の経営に対する監督および助言を行っていただくため。 なお、独立役員の要件を満たしており、一般株主と利益相反が生ずるおそれがないと判断したため、独立役員に指定しております。 |
|
社外監査役 | 加古 慈 | トヨタ自動車株式会社において車両開発部門・材料開発部門を中心とした経験に加え、常務役員として経営に携わった経験を有しており、その豊富な経験と高い見識を当社の監査に反映していただくため。 | |
葉玉 匡美 | ○ | 法曹界における豊富な経験と高い見識を当社の監査に反映していただくため。 なお、独立役員の要件を満たしており、一般株主と利益相反が生ずるおそれがないと判断したため、独立役員に指定しております。 |
|
三宅 英臣 | ○ | 経営者としての豊富な経験と高い見識を当社の監査に反映していただくため。 なお、独立役員の要件を満たしており、一般株主と利益相反が生ずるおそれがないと判断したため、独立役員に指定しております。 |
取締役会の実効性確保
当社は、取締役会の実効性向上のために、取締役会構成員に対し、毎年ヒアリングを行っております。2020年度におきましても全取締役9名、全監査役5名に対してヒアリングを行い、実効性の検証を行いました。その結果、各項目について概ね適切であり、実効性は確保されているものと判断しておりますが、主に社外取締役よりさらなる実効性の向上をはかるべく、以下のとおりご意見、ご要望がありました。
取締役会の役割、責務については、人員、専門性の構成などが適切であるとの評価がされましたが、今後の成長戦略実現のために取締役のさらなる多様性確保に努めるべきであるとの意見が出されました。
取締役会における審議については、特に社外役員より、発言のしやすさや活発な議論について高い評価がされた一方、カーボンニュートラルなどの将来戦略やリスクへの対応については議論をさらに充実させていく必要がある旨の意見が出されました。
社外役員への支援については、社外役員連絡会(1回/月)と称した経営課題、各事業領域の事業環境や課題を理解いただく場に対して高い評価が得られましたので、事業所視察など一層理解を深める活動を推進いたします。
今回提起されたこれらの課題、要望に対し、改善を進め、さらなる実効性の向上に努めてまいります。
役員報酬等について
取締役報酬は、企業価値の持続的向上を図るインセンティブ等として適切なものであるべきとの考え方に基づき、固定報酬である「月額報酬」と、業績連動報酬である「現金賞与」(短期インセンティブ)および「株式報酬」(長期インセンティブ)で構成しております。報酬等の種類ごとの比率は、月額報酬70%:現金賞与20%:株式報酬10%程度となるよう設定しております。
月額報酬は、職責や経験、および他社の動向を反映させた固定報酬としております。現金賞与は、各期の連結営業利益をベースに、年度計画達成状況、従業員の賞与水準、他社動向、中長期業績、過去の支給実績およびESG経営貢献度なども総合的に勘案して決定しております。株式報酬は、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして位置付けるとともに、株主との一層の価値共有を進めることを目的に、譲渡制限付株式報酬を導入しています。
取締役の月額報酬と賞与の報酬総額は、年額6億5千万円以内(うち社外取締役分 年額6千5百万円以内)、社外取締役を除く取締役の譲渡制限付株式の報酬総額は、年額1億円以内と、いずれも2020年6月12日定時株主総会で決議されております。
なお、社外取締役・監査役は独立した立場で経営の監督、監視を担うため固定の月額報酬のみとしております。
これらの考え方に基づき、2019年に設置した社外取締役が過半数を占める「役員報酬委員会」において公正かつ透明な審査・答申を経たのち、取締役の個人別の報酬額を決めております。
役員報酬委員会においては、社外取締役より各役員の環境貢献度合いの報酬への反映など、インセンティブをさらに高めるための意見が出され、方針へ反映されました。
当社の「役員報酬委員会」および「役員人事委員会」については、2020年3月、両委員会の議長を社外取締役に変更し、透明性と客観性をより一層高めております。
■両委員会の役割および委員構成
名称 | 役割 | 構成員 |
---|---|---|
役員報酬委員会 | 取締役の報酬制度および個人別報酬の審議・答申(譲渡制限付株式報酬等) | 小山取締役社長 宮﨑取締役 土屋社外取締役 山家社外取締役(議長) 松本社外取締役 |
役員人事委員会 | 取締役および監査役の選解任に関する議案の審議・答申(社長の選定等) | 小山取締役社長 宮﨑取締役 土屋社外取締役 山家社外取締役(議長) 松本社外取締役 |
■取締役報酬制度

■役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
役員区分 | 報酬等の総額(百万円) | 報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる役員の員数(人) | ||
---|---|---|---|---|---|
固定 報酬 |
業績 連動 報酬 |
非金銭 報酬 |
|||
月額 報酬 |
現金 賞与 |
株式 報酬 |
|||
取締役(社外取締役を除く) | 376 | 250 | 98 | 26 | 7 |
監査役(社外監査役を除く) | 76 | 76 | - | - | 3 |
社外役員 | 70 | 70 | - | - | 7 |
※賞与については、当事業年度における引当金繰入額です。