Interviews

モノづくりの最適解は
新たな価値になる。

Y.U
ウェザストリップ開発部
2018年入社(新卒)

Profile

学生時代は、生物科学科で高分子化学を専攻。生物学や化学を学ぶなかで「モノづくりをしたい」という想いが芽生えたという。研究で得た知見を活かしつつ、モノづくりに携われる場として、高分子に特化した部品メーカーである豊田合成を志望。現在は自動車のウェザストリップ*製品の開発に携わり、低コスト化やカーボンニュートラルの実現による付加価値の向上に取り組んでいる。 *自動車のドアや窓枠などの開口部に装着し、雨風や騒音を防ぐシール材。

Memorable Work
記憶に残っている仕事

これまでで最も印象深い仕事は、「カーボンニュートラルを目指したウェザストリップの開発」です。このプロジェクトでは、従来のゴム材料をCO²排出量の低い材料に置き換えることが求められました。この材料はCO²の排出量を大幅に削減できる一方で、従来の材料とは特性が大きく異なります。材料の代替を実現しつつも、摩耗性能など複数の要求性能を満たすために、形状や素材の要素技術を深掘りし、最適な製品を実現することが求められました。さらに、材料技術部や評価部門、生産技術部など多くの部署との横断的な連携も欠かせませんでした。要求を満たす材料として成立させながらも、それを評価してもらい、最終的な製造工程までつないでいかなければ、開発企画が机上の空論に終わってしまいます。

また、お客さまから求められる要求性能を単に満足させるだけでなく、「性能を満足させるための条件範囲」を明確にして要素技術化し、コストや付加価値を加味した上で、開発から製造までの全体最適化に努めることも求められました。開発フローにおいて「付加価値」にまで考えを及ぼす必要があるのは、そうしなければ製品が売れないためです。たとえば、「CO²を低減するゴム材料ができました」といって売り込んでも、SDGsの側面からだけでは企業側が利益やメリットを感じない場合も考えられます。求められる要求を満たした上で、どこに付加価値を持たせられるのか。そのためには、要素技術を数式化・グラフ化し、コストも一つの要素として含みながら、静粛性などの付加価値につながりうる最適解を導き出していく必要があります。こうした糸を紡ぐような慎重な作業を続けていくことで、これまでにはなかった新しい価値を持つ製品を生み出していったのです。

この仕事で得た成長や学び

他部門の方に動いてもらうには、相手の目線に立つことが大切であると学ぶことができました。たとえば、評価部門の方に複数の評価をお願いした際に、「全部は難しいです」と返答されたとします。そこで強引に依頼を押し通すのではなく、相手の目線に立ち、「どこにハードルがあるのか。どのように取り除くか」を考えるのです。相手の課題を明確にし、解決方法を提示したり、依頼内容を調整したりすることで、双方が満足できる落とし所を見つけ出し、対応してもらえるようにする。こうした「相手にとってのうれしさ」を意識しながら進めていく工程は難しいものですが、それを面白いとも感じられるようになりました。

Q&A
気になる質問

仕事のやりがいは何ですか?

開発の仕事では自分の考えた仮説や、検証した知見を製品に織り込んで製造を進めていくことが求められます。そして評価を行うことで、自分が苦労して導きだしたことが正しかったと証明できる瞬間は「ほら、言ったでしょ」と言いたくなるような喜びがあります。私は「研究よりも、モノづくりをしたい」という想いで豊田合成に入社しましたが、開発の仕事を通して、その両方を実現できていると感じています。

豊田合成の魅力を教えて下さい

私にとって最も魅力的なのは「製品開発によって、車両の性能向上を実感できること」です。ウェザストリップの開発では、形状や材料の最適化により、気密性や防水性といった効果を実感することができます。これらの変化は、専門家でない方には感じにくいものかもしれませんが、むしろそれでよいのです。ウェザストリップは「快適なドライブ」を実現するもの。目立たない存在でありながらも、そこに深く関わっているからこそ、性能変化を実感できる面白みがあります。

これからの夢を教えて下さい

将来的には、トヨタの車両に広く使われるようなウェザストリップの開発など、大規模なプロジェクトに携わっていきたいです。そのなかで、より大きな要求に応え、当社の主要製品に付加価値をつけてみたいと思います。また、現在はチームの一員としての開発が主ですが、今後はチームリーダーとして国内外のプロジェクトを先導できるようになるために、高いマネジメント能力も身につけていくつもりです。

Comments from Colleagues

同僚からのコメント

私は同じグループの後輩として、日々Y.Uさんに仕事の相談をしています。私自身まだ経験が浅く、初歩的な質問をすることも多いですが、いつも真摯に向き合ってくださる姿勢に感銘を受けています。また、グループ全体を見ても若いメンバーが多いなかで、Y.Uさんが常に中心となっている様子をよく目にします。特にすごいと感じるのは「開発テーマに対する姿勢」です。原理原則に基づき、現象を理屈で解明するプロセスを大切にされている姿は、私を含めた多くの後輩が見習うべき部分だと思います。これからも部署の主力として理論的なアプローチを徹底し、後輩にとって模範となる存在でいてほしいと期待しています。その姿勢や仕事の進め方は、私たちにとって何よりの指針です。