あらゆるステークホルダーとの活動を
通じ、共に成長していく
私たちは「誠実な事業活動」を経営理念に掲げ、モノづくりを通じて社会に寄与するために、その基盤となる人材育成や働きやすい風土づくりに取り組んでいます。また、人権尊重を重要課題と捉え、国内外グループ会社や取引先様と様々な活動に取り組んでまいります。
従業員との関わり
人材戦略
自ら考えチャレンジできる人材集団を目指す
現在の自動車業界は、BEVやカーボンニュートラルへの対応など社会課題に直面しています。厳しい環境変化の中では、企業の持続的成長の基盤となる人的資本が今まで以上に注目されており、人材戦略の充実が不可欠です。
当社の持続的成長を支える人材の基盤は、当社70余年の歴史の中で大切にしてきた仕事に対する共通の価値観である「TG Spirit」と、仕事の進め方の基本である「問題解決手法、PDCAサイクル」の実践であり、当社の強みの一つと考えています。
当社はコア事業である自動車事業の市場変化への対応や、多様化・複雑化する社会課題の解決に向けた新技術の事業化などにより、持続的な企業成長を目指しています。
これまで培ってきた競争優位性である「ゴム・樹脂分野の知見」「グローバルネットワーク」「新規事業開発の経験」をより高めて市場競争力を強化するとともに、社会課題解決に向けてリーダーシップを発揮したいと考えています。そのためには、市場変化と事業機会・リスクに順応できる思考と自主性のある行動が重要です。あるべき姿に向けた「課題設定力」、シナリオと実行計画の「構想力」、実現する「実行力」の強化に努めています。
また、「自ら考えチャレンジ」できる人材を育成するためには、人材育成施策と風土改革は両輪と考えています。いきいきと働きやすい風土づくりに向けて、働き方改革や意識改革などを継続しながら、多様な人材の様々な価値観の尊重(ダイバーシティ&インクルージョン)、活発な発言や提案、能力を十分に発揮できる職場づくりを進めるとともに、一人ひとりの能力開発・成長促進に取り組んでいます。
人材戦略の3つの柱
当社はこれまで技術や材料など専門的な知識や、仕事の進め方の基本である「問題解決手法、PDCA サイクル」の教育機会の提供、また、女性や障がい者が共に働くことができる職場づくりを進めてきました。従来からの取り組みに加え、価値観・人材の多様化やデジタル化など環境変化を踏まえた施策を実施することで、「自ら考えチャレンジできる人材集団」を目指しています。
人材育成の促進
持続的成長をけん引するリーダー人材を鍛えるとともに、より強い製造現場をつくるための専門技能員を計画的に育成します。VUCA時代でも事業の成長に向けて力を発揮できる「自らチャレンジできる」人材づくりを推進します。
多様な人材の活躍
様々なバックグラウンドを持った人材が、十分に力を発揮できる環境づくりを推進することで、新たな価値創造や持続的な企業成長につなげていきます。
働きやすい風土づくり
当社が目指すありたい姿への実現に向けた努力と、従業員の働きがいや成長感が重なることを目指し、エンゲージメントサーベイに基づく継続的な改善を通じて、多様な人材が働きやすい職場づくりを進めています。
2021年度重点項目の実績と2025年度目標値[単体]
重点項目 | 2021年度実績 | 2025年度目標 |
---|---|---|
幹部人材を対象とした研修の受講者数 | 54名 | 65名 |
海外出向経験者比率(管理職、事技職) | 22.7% | 25% |
DX人材の育成人数 | 94名 | 270名 |
女性管理職の人数 | 30名 | 40名 |
ローカル幹部比率(海外グループ会社の副社長以上) | 31%[グローバル] | 40%[グローバル] |
中途採用者の管理職比率 | 30.9% | 30%以上 |
障がい者雇用 | 2.78% [国内グループ全体] |
法定雇用率達成 [国内グループ各社] |
エンゲージメントサーベイ結果(肯定的評価) | 56% | 65% |
平均残業時間 | 12.3H/月・人 | 10.0H/月・人以下 |
年休取得率 | 97.3% | 90%以上 |
人権の尊重
基本的な考え方
豊田合成グループは、国連の「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範を支持・尊重するとともに、「豊田合成グループ行動憲章」において、「人権や個人の多様性・人格・個性を尊重し、差別的行為やハラスメント行為等を行わず、労使協調のもとで常に健全で働きやすく安全な職場づくりを努めます」との基本方針を定めています。本憲章の理念を実現するための行動基準となる「豊田合成行動倫理ガイド」においては、人格・人権の尊重、公正な採用、強制労働や児童労働およびあらゆる形態のハラスメントの禁止を明言しています。
■人権方針の策定
これまでの人権に関する取り組みをさらに加速させるため、2022年4月に「豊田合成グループ人権方針」を策定しました。本方針は、外部有識者の助言を踏まえて作成し、全役員と本部長が参加するサステナビリティ会議での審議を経て、取締役会で承認されております。なお、サプライヤーの皆さまに対しては「仕入先サステナビリティガイドライン」を共有し、実践を要請しています。
体制
人権尊重に対する取り組みは、人事会議で議論し、その結果について取締役社長を議長とするサステナビリティ会議で報告しています。
従業員への啓発・浸透
豊田合成グループでは、これまでも入社時、昇格時などの機会において人権尊重の教育を実施してきましたが、「豊田合成グループ人権方針」策定を踏まえ、2022年度は、外部講師によるウェルビーイングをテーマにした講演会、社内報での人権方針解説書、事技職向けオンライン研修、技能職向け啓発ツール展開を実施します。ハラスメント・差別のない職場創出のための通信を毎月発行し、また、人権問題を専門的に学ぶ社外研修に人事担当を派遣するなどして、人権感覚に優れた担当者の育成にも取り組んでいます。
人権デュー・デリジェンス
豊田合成グループは、人権方針に基づく取り組みを実践するために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、同原則で記されている人権デュー・デリジェンスを2022年に開始しました。
人権デュー・デリジェンスとは、企業の事業、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係に関して、人権への負の影響を特定し、その負の影響を防止・軽減し、実施状況および結果について追跡調査を行い、どのように負の影響に対処したかを伝える一連のプロセスを指します。
■人権に関する取り組みの全体像
人権影響評価
人権デュー・デリジェンスの一環として、まずは当社グループ内を対象とした人権影響評価を外部有識者と共に実施し、当社グループ内における優先的に取り組むべき人権課題(顕著な人権課題)を特定しました。なお、サプライチェーンについては2023年に調査及び評価を実施し、顕著な人権課題を特定する予定です。
当社グループの事業活動や製品・サービスに関連する人権リスクの全体像を把握するため、まずは机上調査を実施し、当社グループのバリューチェーン上の⼈権リスクを洗い出しました。また、当該調査の結果、当社のグループ会社に対してはアンケートによる書面調査を、またリスクが高い国・地域においてはヒアリングを実施し、取り組みの実態や課題を確認しました。
その後、これらの調査内容を踏まえて各人権課題の評価・優先順位付けを行い、当社グループ内における顕著な人権課題を特定しました。
■人権影響評価のプロセス
-
机上調査
- 当社グループの業種や取扱品目、国・地域、企業固有の人権リスクを、国際機関・政府・NGO等が公表する指標やレポート、社内文書、外部有識者の知見を活用し、網羅的に抽出
-
ヒアリング・書面調査
- 書面調査:当社グループ全体に向けてwebアンケートを展開し、各社の状況を網羅的に調査
- ヒアリング:机上調査の結果、高リスクとなった国・業種の当社グループ会社を対象としたヒアリングを実施し、マネジメント状況や過去事例などを調査
-
優先順位付け・
顕著な人権課題の特定- 机上調査・書面調査・ヒアリングの結果を踏まえて、人権の影響度を評価
- 評価結果をもとに、外部有識者との協議を行いながら、当社グループとして優先して取り組むべき人権課題を経営層の承認を経て、「顕著な人権課題」として特定
評価の結果、今後マネジメント体制を強化する必要があり、優先的に取り組むべき豊田合成グループの顕著な人権課題として以下の3つの課題が特定されました。
特定された顕著な人権課題については、負の影響の防止・軽減への取り組みを関連部門と連携し、推進していきます。また、人権を取り巻く状況は常に変化するため、今後も人権影響評価を定期的に実施します。
- ※なお、評価の過程において「労働安全衛生」も重要な人権課題として挙がってきましたが、「労働安全衛生」はグループ全体におけるマネジメント体制が確立されており、PDCAサイクルに基づいた取り組みが進められているため、人権デュー・デリジェンスとして対処していく優先課題としては除外しました。
■当社グループ内における顕著な人権課題
顕著な人権課題 | 影響を受けるステークホルダー | 内容 |
---|---|---|
ハラスメント |
|
|
移民労働者 |
|
|
ダイバーシティ& インクルージョン |
|
|
■人権リスクマトリクス
取り組み
■ハラスメント防止
役員、管理職、監督者などへの研修とともに、月1回程度の「TG 明るい職場応援団」のレポートを展開し、職場で読み合わせを実施し、全従業員がハラスメント行為のない、健全で働きやすい職場づくりに努めています。
■国内外グループ会社への取り組み
国内外グループ会社に対しては、各国法令や「豊田合成グループ行動憲章」に沿った人事労務コンプライアンスの管理状態を把握するため、2017年より、グループ51社(2022年4月時点)を対象に自主点検調査を実施。今年度実施した人権デュー・デリジェンスにより特定されたリスクを重点的に、今後さらに改善活動に力を入れてまいります。
■相談窓口
ハラスメント、育児・介護、メンタルヘルス、障がい者就業支援などに関する相談窓口を設置しており、今後は当社従業員以外からの相談も吸い上げられるチャネルの設置・構築を進めていきます。
人材育成の促進
グローバルで当社グループの総合力を高めるため、人材育成と従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを推進しています。
教育プログラムを充実し、人材育成を活性化
当社で働く上で必要なスキル・能力の向上のために、仕事の基本である「問題解決力」、コミュニケーションを柱とした「チームで働く力」、そして強い現場力のための「基本技能」の3つの柱で人材育成を促しています。
また、事業環境の変化へ対応するため、変革を実現するプロジェクトリーダーの育成や、DXを推進するためのデジタル人材の育成のため、新しい研修も立ち上げました。研修方法も「オンライン研修」や「eラーニング」など、新しい手法を積極的に導入しています。
■階層別教育体系
若手OJT制度
若手が入社後3年間で独り立ちをするための制度「若手OJT制度」を導入しています。PDCAサイクルに沿った仕事ができるように、職場でのOJTと研修の両輪を回し、若手の早期育成を図ります。
また、入社2年目・4年目・6年目の節目にもヒアリングを行い、能力発揮や個々の成長の把握と育成課題の早期発見・対策にも取り組んでいます。
製造現場の技能力を高める「専門技能伝承道場」「保全技能伝承道場」「金型技能伝承道場」
生産現場のモノづくり力を高めるためには、技能員一人ひとりの技能向上は欠かせないため、「技能重視の風土の醸成」を基本方針に、2019年度に3つの道場を立ち上げました。
「専門技能伝承道場」は、管理監督者へ監督業務だけでなく専門技能の力を身に付けさせることを目的としており、異常処置能力を高めるため不良のメカニズムを学ぶ研修を立ち上げました。
保全員育成のために立ち上げた「保全技能伝承道場」では、ロボット化・IT化に対応すべく応用レベルの研修を追加しました。さらに現場では協働ロボット活用による自働化推進のため、一般技能員に対してもロボットティーチング技能の研修を行っています。2022年度は協働ロボット活用による既存工程の自働化推進者育成のカリキュラム作成にも着手しています。
「金型技能伝承道場」では、国内、および海外拠点の金型保全員を対象に「基礎技能研修」、「トレーナー研修」を行っており、延べ100名が巣立っています。
また、2017年から「技能五輪」への挑戦をはじめ、本来業務に関連する高度な技能と知識を習得することで、将来、生産現場で活躍できる若手の人材育成にも取り組んでいます。これらの育成取り組みを続けることで、当社を支える、「強いモノづくり現場」を実現していきます。
グローバル経営幹部候補育成
将来の経営を担える人材の計画的な育成のため、経営レベルでのモノの見方・考え方を習得し、視野の拡大・判断力向上を目指すなど、より高い職責を担える素養を磨くためのプログラムを導入しています。海外においても、課題設定型問題解決の認定制度を導入するなど、グローバルで幹部候補の育成に取り組んでいます。
経営人材の継続的育成を行うことで、当社の経営基盤を支える人材を確保していきます。
VUCA時代のプロジェクトリーダー研修
当社では「問題解決」を柱とした育成に加え、事業環境変化への対応や経営戦略の実行に必要な専門性や能力・スキルの開発が必要と考え、新たな価値創出や業務の革新をリードするための新しい発想・アプローチ等のスキルを学ぶ研修を開講しました。育成対象とするプロジェクトリーダーのタイプは、①新規ビジネス・新製品の創出を行う「ビジネスリーダー」②業務プロセスを革新する「業務革新リーダー」③デジタル人材を指揮して、DXを推進する「DXリーダー」の3タイプになります。この研修は、2022年9月より、本格的に実施しています。
DX推進を担う「デジタル人材」の育成
ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、生産工程や製品の刷新、またビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争優位性を勝ち取るため、DXを推進していきます。このDX推進を図る人材の育成が急務であり、2022年1月より、新たな教育を導入し、デジタルコア人材の育成を図っています。
これにより、業務の革新や市場での競争力の確保ができ、市場の変化に対し、柔軟かつ迅速に対応ができる組織へと成長していきます。
(2021年度は、スタンダードレベル81名を認定)
■デジタル人材育成の体系
必要なDX人材 | 2021年度実績 | 2025年に向けた育成計画 | |
---|---|---|---|
データサイエンティスト | 大量のデータから必要な情報を抽出・分析し業務改善へ反映できる | 57名 | 150名 |
デジタルアーキテクト | 最新のクラウド技術などに精通し実装ができる | 24名 | 100名 |
DXリーダー | デジタル人材を指揮してDXを推進できる | -※ | 20名 |
- ※2022年度より実施のため
ローカル幹部育成
世界16の国・地域に61社を構える当社では、持続的成長を支える地域に根付いた事業運営の実現を目指しています。そのような事業運営の実現のためには、現地の商慣習や文化に精通した人材が運営に携わることが必須であると考えているため、海外拠点のローカル幹部人材登用および育成を積極的に進めています。各地域において積極的な登用を加速するために、2020年度に、ローカル幹部(副社長以上)登用の基本方針、ターゲットを定め、実現に向けて各事業体にて取り組みを進めています。
2025年までにローカル幹部比率40%達成を目指し、各地域でハイポテンシャル人材の評価、育成計画の策定を進めており、幹部人材候補となる中途入社者定着のための「導入教育・メンター制度」の導入、「課題設定型問題解決研修」の実施など、現地人材の育成を進めています。また、「RSC(Regional Succession Committee)」を米州、東南アジア、中国で開催し、幹部後継者候補育成・採用の活動状況や課題を共有し、毎年GSC(Global Succession Committee)にて報告しています。
障がい者が働きがいを持ち、定着できる職場づくり
障がい者雇用を社会的責任と捉え、積極的に取り組んでいます。「障がい者雇用推進委員会」にて、採用・配属・管理監督者への教育・職場定着を実施。特に職場定着に重点を置き、定期ケア面談などを通して現状を把握し、困り事を吸い上げ、職場環境改善3ヵ年計画を策定し、職場環境に配慮したみんなのトイレなどの設置を計画的に進めています。また、障がい者が従事できる仕事を明確化し、計画的に採用・配属を行い、2021年度時点(2022年3月1日現在)で127名の障がい者を雇用し、雇用率は法定雇用率の2.3%を超える2.39%に達しています。
グループ全体としても、特例子会社のTGウェルフェア(株)にて、障がい者セミナーの開催など、グループ会社特例の認定を受けたグループ14社で、教育の場づくりや情報共有に取り組んでおり、全体の雇用率は2.78%に達しています。
■障がい者雇用率
シニア従業員のさらなる活躍の促進
今後ますます増加するシニア従業員が、60歳を区切りとせず安心感と高い意欲をもって活躍し続けられる環境を整備するとともに、シニア従業員の豊富な経験や技術・スキルと若手従業員の発想・着眼等を融合し、新たな価値を生み出していきます。その基盤づくりのため、2022年4月より定年年齢を60歳から65歳へ引き上げました。今後、65歳まで意欲高くいきいき働き続けることを後押しする右表のような取り組みを継続していきます。
年齢に関わらず、最大限の能力発揮ができる環境づくりに向けた活動を継続し、エンゲージメントのさらなる向上を図ります(目標:従業員のエンゲージメント(50代・60代)の肯定回答率65%以上)。
例えば、「意欲向上」の取り組みとして、50代の従業員を対象にキャリア研修を実施し、「今後の働き方」や「これまで培った技術・技能・経験をどのように職場で発揮していくか」等を、同世代と意見交換しながら改めて考える場を設定しています。
また、「健康・体力向上」の取り組みとして、「節目年齢での健康セミナーの実施」や「食堂メニューの見直しによる食生活の改善」など、従業員と定期的に議論しながら、健康増進に向けた活動を強化しています。
意欲向上 |
|
---|---|
健康・ 体力向上 |
|
職場環境 整備 |
|
充実したセカンドライフに向けたサポート
一生懸命働いてきた従業員が豊かなセカンドライフをおくれるよう若い世代から、資産形成の研修を必修で開催しています。入社時、40歳、55歳それぞれの年代に応じたカリキュラムで、ライフイベントに備え計画的に資産形成ができるよう会社制度の周知、拡充を図りながらサポートをしています。55歳研修では配偶者も参加いただいています。
働きやすい風土づくり
当社では、従業員がいきいき働くためには、制度と環境の両面を整えることが非常に重要だと考えています。働きがい向上の施策に加え、オフィス環境や食堂・トイレなどの整備も進めることで、安心で快適に働ける環境を提供し、一人ひとりがその能力を発揮できる土台づくりを積極的に進めています。
風土改革、従業員エンゲージメント向上
豊田合成では働きやすい風土づくりのため、様々な活動に取り組んでいます。
2015年には、何でも言える職場、ボトムアップ提案やチャレンジできる風土の醸成を狙いに「役員宣言5ヶ条」、また、活力や一体感の向上を目的に「社内駅伝大会」を開始しました。これらの活動を通じて社内の風通しが変わってきていましたが、従業員の仕事における達成感ややりがいを、さらに向上させたいという思いから、2019年4月からは全部門長が自部門のビジョン・ミッションを明確にし、人材育成、組織風土づくりをどのように進めていくのかをまとめ、宣言する「マネジメント宣言活動」を開始しています。
継続的な施策で風土改革が進んでいる手応えはあったものの、従業員の働きがい等を定量的に測定することで、さらなる改善につなげるべく、2021年からエンゲージメントサーベイを開始し、社内の状況を把握しています。今後もサーベイから把握できる課題を解決することで、従業員のエンゲージメント向上に向けた活動を継続していきます。
■従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みの推移
■風土改革の活動例
柔軟な働き方と活躍促進を支える制度・環境の整備
■働き方・勤務制度
仕事と育児・介護・加療との両立支援について、法定以上の制度に加え、お互いを思いやる職場風土の醸成を進めています。特に、育児は男性も共に参加するものとして、出生時に改めて実施する制度紹介や社内報啓発などにより、積極的に男性育休の取得促進を行っています。
また、ワークライフバランスの実現として、テレワークや短時間勤務、フレックス制度など、柔軟な働き方により、働きがいを持ち続けながら活躍できる環境づくりに努めています。
育児支援に関する主な制度
上記以外に当社独自の制度として、子どもの行事や学級閉鎖などに対応した「キッズサポート特別休暇」や、祝日の出社日に民間の託児所を利用した際の費用を補助する「祝日託児補助」に加え、「育児特別勤務免除」「育休前/復帰前面談」など、手厚い制度を整えています
- ※1 4時間勤務は小学1年、6・7時間勤務は小学4年まで
介護支援に関する主な制度
仕事と加療の両立支援制度
- 短時間勤務
- 短日勤務
- テレワーク上限回数の緩和
全社平均残業時間 [単体]
男性育児休業取得者数と取得率[単体]※3
- ※3 該当年度に育児休業を開始した人数
年休取得率 [単体]
- ※2 新型コロナウイルスの影響により、休業あり
■職場環境
当社では、従業員一人ひとりがいきいきと働き、活躍できる職場環境の整備に努めています。製造現場で働く従業員が利用する休憩室のリニューアル、障がい者やLGBTQなどに配慮したみんなのトイレの設置、場所にとらわれない柔軟かつ効率的な働き方を推進するオフィスのフリーアドレス化やサテライトスペースの整備など、従業員が安心・快適に働ける職場を目指し、環境整備を進めています。
活力・一体感のある風土づくり
職場の一体感醸成のために「全社駅伝大会」を実施しております。2019年はグループ会社、取引先からの参加も含めた約1,500名の選手が職場や家族約1,300人から声援を受けタスキをつなぎました。また家族の絆や地域との交流を深める「TGフェスティバル」(今後はエントリオで開催予定)や「森町納涼祭」を開催しています。日頃のサポートや理解と協力に感謝し、おもてなしの気持ちを込めてイベントを企画しています。
- ※2020、2021年度イベントは中止
安全衛生
基本的な考え方
安全衛生・健康に関する基本理念
豊田合成グループでは安全と心身の健康の確保を最も重要な経営課題のひとつと位置付け、全ての事業活動において安心で働きやすい職場環境を確保します。
安全衛生の取り組み
豊田合成グループでは上記基本理念に基づき、安全衛生宣言を定めて企業活動を展開しています。
安全衛生宣言
- 1. 安全衛生に関する法律、社内規定を順守します。
- 2. 「安全は全てに優先する」を心に刻み、一人ひとりが「安全最優先」で行動することを徹底します。
- 3. 当事者意識を持って活動に取り組み、全員参加で相互啓発型の安全文化の醸成を図ります。
推進体制
安全担当役員を議長として、社長・労働組合委員長・国内事業場の全工場長および国内外子会社社長が出席する中央安全衛生委員会(4回/ 年)を組織し、安全衛生に関する諸施策の報告・審議を行い、その結果を取締役会に報告しています。
中央安全衛生委員会の審議結果に加えて、年初の社長メッセージや社内報による安全情報の発信を繰り返し実施することで、豊田合成グループが一丸となって活動を推進しています。またサプライヤーについても、調達連絡会などを通じて定期的に各種関連情報の共有化を図っています。
目標・実績
当社の敷地で働く全ての人が、出社された時の元気な姿で帰宅していただくことが会社の責務であるとの考えから、グローバルで重大※4災害・重篤※5なSTOP7※6災害件数0件を目標に掲げ、各種諸施策を推進してきました。
新型コロナウイルスなどの影響による生産量の急激な変動下においても、従業員が安心・安全にモノづくりに集中できるよう、発生した災害の再発防止はもとより、未然防止のためのリスクアセスメントや各種安全監査の実施、安全意識を向上させるための階層別安全衛生教育、KYT(危険予知トレーニング)活動などを継続して実施することで、災害の撲滅に向け日々取り組んでいます。
- ※4 重大:死亡
- ※5 重篤:被災者の身体の一部(または機能)を失った状態
- ※6 STOP7:大きなケガが起こる可能性がある7つの事象①挟まれ・巻き込まれ②重量物③墜落・転落④感電⑤車両⑥高温物・爆発・ガス⑦切断
■重大災害・重篤なSTOP7災害発生状況[グローバル]
(請負会社・工事業者含む)
安全衛生マネジメントシステム
リスクアセスメントを軸とした労働安全衛生マネジメントシステムをグローバルで導入・運用しています。
当社はOSHMS認定取得後、内部統制項目を追加した当社独自のシステムで自主運用しています。
- 2022年12月時点
ISO45001 認証会社 |
OSHMS 認証会社 |
自主運用 会社・工場 |
|
---|---|---|---|
豊田合成(11工場) | ― | ― | 11 |
国内子会社(12社) | ― | 4 | 8 |
海外子会社(32社) | 15 | 1 | 16 |
リスクアセスメント
設備の設計・製作段階での危険要因排除を目的として、設備計画部門が新設・改造・移設時に「設備のリスクアセスメント」を行っています。またその設備を使用する前段階で、当社独自の「設備安全基準」への適合性評価のための安全衛生チェックを行い、安全性の確認も行っています。
製造部門では、職場の危険性または有害性の調査および対策として「作業のリスクアセスメント」を行い、リスク低減措置を確実に実施することで災害の未然防止につなげています。
安全衛生教育
職位や受講が必要な時期に合わせて教育カリキュラムを定め各種教育を行っています。コロナ渦でもあることから、従来の面着教育に加えて、「Web教育※7」も実施しています。
また当社の全事業場には、過去災害の風化防止と危険体感教育を行うための「安全道場」を設置・運用し、グローバルにも展開しています。
■安全健康推進部主催の安全衛生教育と受講者数(2021年度)
研修・教育名 | 対象者 | 集合教育 | Web教育※7 | 受講者数 |
---|---|---|---|---|
技能職中堅社員研修 | 技能職の次期監督者候補者 | ○ | 32 | |
新任監督者・TL安全衛生教育 | 新規昇格者/ 登用者 | ○ | 96 | |
新任基幹職安全衛生教育 | 新規昇格者 | ○ | 53 | |
製造部 幹部職・基幹職安全衛生教育 | 製造部の幹部職および基幹職 | ○ | 9 | |
海外赴任前研修 | 海外子会社出向予定者 | ○ | 70 | |
海外TOP,No.2赴任前研修 | 海外子会社出向予定者 | ○ | 5 |
- ※7 Web教育:Web上で行う双方向でのコミュニケーションが可能な学習方式
国内外子会社の監査
国内外子会社の安全・防火レベルの把握と弱点の底上げを目的に、2020年度より「SFPM(安全・防火カルテ)」を展開しています。2021年度は各社の自主評価結果を踏まえた統一評価項目を設定し、国内子会社13社に対して各3回/年(計39回)の現地現物現認による監査・支援を行うことで、さらなる安全レベルの底上げを図ってきました。
特に災害の未然防止項目については、「KY(危険予知)能力のさらなる向上」を掲げ、「無意識に安全行動(危険回避)ができる人づくり、相互に指摘し合える職場づくり」を目指してKYT 活動を推進し、インドや中国でもKYT 大会を開催できるまでになっています。
労働災害の発生状況
重大災害・重篤なSTOP7災害件数0件を目指して、2017年度より「高リスク設備の安全化対策」を継続実施してきましたが、2021年度は海外子会社にて「挟まれ・巻き込まれ」に該当する重篤なSTOP7災害が2件発生しております。
2022年度は「挟まれ・巻き込まれ」災害の防止に向けて、「危険源に接触できないようにする「隔離」対策、さらには危険源を無くすまたはエネルギーを小さくする「本質安全化対策への移行」を重点施策に掲げ活動を推進しています。
■高リスク設備の安全化対策とSTOP7災害発生状況
■当社グループにおける労働災害発生率(休業度数率)の推移
■2021年度 豊田合成の安全成績[単体]
項目 | 算出式・開示方法 | 豊田合成 | 輸送用機械器具 製造業 |
製造業 |
---|---|---|---|---|
年度(4~3月) | 年(1~12月) | |||
労災により失われた時間 (死傷者1人平均の労働損失日数) |
死傷者1人平均労働損失日数: 【参考】損失日数: |
3.1 | 61.5 | 47.9 |
労災の件数(休業災害度数率) |
休業災害度数率:
|
0.065 | 0.45 | 1.31 |
労災の件数(全災害度数率) |
全災害度数率:
|
0.91 | 2.39 | 3.87 |
労災による死亡者数 | ※新型コロナウィルス感染症への罹患に死亡者数を含む | 0 | 5 | 34 |
- 出典:厚生労働省「労働災害動向調査結果(調査期間:1月~12月)」
健康経営
基本的な考え方
豊田合成グループで働く全ての人が心身共に健康であり続けるために、健康経営活動を推進しています。
健康宣言~「限りない創造 社会への奉仕」実現のために~
- 1. 従業員の健康を重要な経営課題と考え、安全と心身の健康を最優先する組織風土を醸成します。
- 2. 従業員がいきいきと働けるよう、明るく活気ある職場、人づくりに取り組みます。
- 3. 従業員と家族の健康増進を図るため、健康意識を高め、疾病予防に取り組みます。
推進体制
健康経営の拡充を目的に、メンタル / フィジカルヘルス委員会を統合し、2022年度からは「健幸推進協議会」を発足しました。健康だけではなく、「幸せ」に働くことを目指し、安全健康推進部を事務局に、産業医・人事部・健康保険組合・労働組合が一体となって、健康経営・幸福経営活動の協議を行っています。
また、中央安全衛生委員会での活動報告・承認を経て、各事業所の安全衛生委員会へと展開しています。
健康経営への取り組み
経営理念に掲げる企業の社会的責任を果たすための基盤強化として、従業員一人ひとりが将来にわたって、いきいきと健康に働けることが必要不可欠であるという認識のもと、従業員の健康維持・増進のため、健康経営に取り組んでいます。
健康経営の取り組みや成果を定量的に示し、活動のPDCAを回すことを目的に、「健康投資管理会計ガイドライン」に基づく「戦略マップ」を作成しました。今後は投資・効果・資源を定量的に評価し、健康経営を継続的、効果的に推進します。
健康経営の推進のため、健康KPIとして「チャレンジ8」を策定しました。体重・朝食・飲酒・間食・禁煙・運動・睡眠・ストレスの8項目の状況を数値的に評価するもので、 2025年度までの目標値を年度ごとに設定しています。
これまでの健康経営の取り組み活動が評価され、経済産業省から「健康経営銘柄2022」初認定されました。
健康意識向上と行動変容への取り組み
「チャレンジ8」の目標達成のための取り組みのひとつであり、活動開始から7年目を迎えた「職場単位の健康づくり活動」では、参加者数が年々増加し、2021年度には全従業員の96.8%となりました。参加316チームのうち8割以上が運動をテーマにし、職場ごとに楽しく工夫を凝らしながら健康づくりに取り組んでいます。また、2021年度は新たに「睡眠・メンタルヘルス」への取り組みテーマを導入し、心身両面での健康づくり活動を推進しています。
さらに、愛知県が配信するアプリ「あいち健康プラス」の活用(2020年度)や運動促進の動画制作・配信を行い(2022年度)、健康意識向上と行動変容を促す活動に取り組んでいます。
これらの取り組みが評価され、文科省(スポーツ庁)より「スポーツエールカンパニー2022」の認定を受けています。
特定保健指導・健康診断の充実
2019年より、健康保険組合との協業による特定保健指導(積極的支援)の集団指導を取り入れました。これにより、特定保健指導実施率は、42.6%(2018年)から81.0%(2020年)へと大きく上昇しています。
定期健康診断では、2020年1月から産業医判断で省略が認められている検査項目についても全ての社員に実施し、異常の早期発見と健康的な生活習慣の確立に活用しています。また健康診断有所見者に対しては、産業医等による保健指導を実施しています。
食生活の改善
2021年度に「おいしく食べて健康になろう」をコンセプトに、社員食堂をリニューアルしました。定食に「野菜しっかり」「たんぱく質しっかり」の健康メニューを取り入れ、ヘルシーかつ質・量ともに満足感が得られるような工夫がされています。また、その日に食べたメニューや栄養素、カロリーがスマートフォンで確認できるシステムを導入し、自己管理に活かしています。
女性の健康保持・増進に向けた取り組み
当社では、働く女性の健康を支える健康経営活動を重要視しています。女性のヘルスリテラシー向上を目指し、2022年3月に「女性の健康週間」イベントを初開催しました。食堂での特別メニュ―(ピンクリボンランチ)の提供、パネル・チラシ・デジタルサイネージでの情報提供、セルフチェックグッズを配布し、乳がん・子宮がん検診の啓発を行いました。さらに健康保険組合との協業で、特に受診率が低い20代へがん検診受診率向上のためのリーフレットを配布し、その結果、2022年度のがん検診申し込み率は5%増加しました。
また、育児休暇から職場復帰する女性に対し、相談窓口の案内やセルフケア情報を発信し、健康の面からも育児と就労の両立を支援する取り組みを行っています。
加えて、2022年には女性の医療スタッフ(医師・保健師)による女性専用の相談窓口を開設し、健康相談に応じています。
女性の健康習慣で提供された「ピンクリボンランチ」と、イベントでの情報提供の様子
禁煙対策
喫煙者の健康障害と非喫煙者の受動喫煙防止を目的に、 2012年にまず社内でのタバコ販売(自動販売機含む)中止から始め、同時に喫煙者への保健師による禁煙支援を実施し、2016年からは、外部講師を招いての「禁煙講演会」実施に併せて、肺年齢測定など体験型の「展示会」を開催して、禁煙への動機づけを実施してきました。
そして2020年4月から全面施行された「改正健康増進法」に先駆け、2020年1月からは、国内全事業所の敷地内禁煙を展開しました。その際には事業所の敷地内だけでなく、近隣住民の皆様の受動喫煙防止も考え、最低でも事業所から100m以内は禁煙地区とし、保育園や医療機関などがある場合には、その周辺も含めて禁煙地区に設定して活動を進めてきました。
社内で働く全ての人を受動喫煙による健康障害から守り、“望まぬ受動喫煙”を防ぐことを目的に会社の方針として掲げ、事前に従業員への地道な理解活動はもちろんのこと、派遣会社や請負会社にも繰り返し協力依頼を行ったことで、敷地内禁煙開始から1年が経過した現在、生産や離職に影響を及ぼすことなく継続できています。
全社の喫煙率は、2010年の42.5%に対して2021年は26.1%まで減少しています。
■豊田合成〔単体〕喫煙率
メンタルヘルス不調者への対応と未然防止
保健師・看護師による個別相談やEAP※8(厚生労働省/社員支援プログラム)の導入と管理監督者への教育などを行っています。2020年度からは、メンタルヘルス不調の影響が早期に出やすい「睡眠」に着目し、ウェアラブル端末を使って「睡眠の質の視える化」を図り、不調サインを早期にキャッチすることで、メンタルヘルス不調の再発防止に取り組んでいます。
また、不調を起こしやすいキャリア入社者に対し入社3ヶ月以内に「健康オリエンテーション」として教育を実施しています。
ストレスのしくみや対処法を学ぶことで、メンタル不調の未然防止を図っています。
- ※8 EAP:従業員のメンタルヘルスを支援する社外専門家によるプログラム
従業員の感染症予防
2020年福利厚生制度に麻しん、風しん等の抗体検査のための費用補助を追加しました。また、家族も含めてインフルエンザの予防接種費用の一部補助も実施しています。
新型コロナウィルス感染症対応としては、「感染予防対策ガイドライン」を作成し、都度見直しを行い、グローバルに展開して感染拡大防止に努めています。また、政府の要請を受けワクチンの職域接種を本社地区・森町地区にてこれまでに4回実施しています。
「後天性免疫不全症候群(HIV感染症含む)、結核、マラリア」などの感染症法届出対象疾患の対応については、「危機管理対応ガイド」で予防および初動対応方法を明確にして周知を図っています。
各種健康教育
2021年度からはWebを活用した教育を積極的に取り入れ、出向者含む基幹職全員にメンタルヘルス教育を実施しています。また、年齢別のフィジカルヘルス教育※9も2021年度からは集合人数を少数にするなど、3密を避けながらも双方向でコミュニケーションがとれる教育となるよう工夫しています。
- ※9 フィジカルヘルス:生活習慣の予防等、身体面における健康
教育名 | 対象者 | 受講者数 (2021年度) |
---|---|---|
フィジカルヘルス教育 (集合教育) |
事技系従業員(40代) | 79名 |
メンタルヘルス階層別教育 | 管理職、TL/係長 | 1,134名 |
国内子会社への健康経営の普及促進
2018年に「TGグループメンタルヘルス活動推進会議」を設けて、子会社全体でメンタルヘルス活動の推進に取り組んできました。その結果、各社内でのメンタルヘルス教育実施や、精神科医との契約、EAPの導入などの取り組みを推進することができました。
2021年からは「健康推進会議」に名称を改め、フィジカルヘルスも含めた健康全般を議題とした活動に移行しました。具体的には、「①敷地内禁煙の目標立案と、その実現に向けた支援の実施②健康づくり活動の情報共有と推進③メンタルヘルス活動の情報共有と推進」などに取り組んでいます。
また、2022年には国内子会社(13社)すべてが事業所敷地内禁煙を実施しており、健康意識の更なる向上を推進しています。
これらの取り組みの結果、国内子会社の2社が「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)」の認定を受けています。