サステナビリティ

長尾 一彦
カーボンニュートラル・環境推進部
担当副本部長
長尾 一彦
みどりあふれる豊かな地球を子どもたちに残すため、全ての活動を通じて、地球環境保全に貢献。
みどりあふれる豊かな地球を子どもたちに残すため、全ての活動を通じて、地球環境保全に貢献。

今年8月に公表されたIPCC※1の第6次評価報告書で、地球温暖化は、人間活動の影響であることに疑いの余地がないと報告されました。世界各地で頻発する集中豪雨、山火事など異常気象による被害も甚大化しており、まさに、気候変動問題は人類が作り出した現実的かつ喫緊の脅威となっています。地球温暖化は気候変動にとどまらず、資源リサイクル、水リスク、生物多様性などにも強く関わり、多面的な取り組みも重要です。

豊田合成グループは、この危機的な状況を乗り越えるため、2016年に工場CO2ゼロなどを掲げた「TG2050環境チャレンジ」を策定しました。さらに、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの早期実現に向けて、中間目標となる2030年目標「Targets50&50」の設定とともに、全社横断のプロジェクトを発足、事業活動と一体化した取り組みを加速しています。

今後も “みどりあふれる、豊かな地球を未来と子どもたちに” のスローガンのもと、グループ一丸となって地球環境保全への貢献に挑戦していきます。

  • ※1 IPCC Intergovernmental Panel on Climate Change :気候 変動に関する政府間パネル)

全ての事業活動を通じて環境保全に貢献

基本的な考え方

豊田合成グループは、「環境基本方針」のもと、1993年に第1次環境取組みプランを策定し、環境課題に積極的に取り組んできました。2016年2月には、長期目標「TG2050環境チャレンジ」を発表するとともに、マイルストーンとして2030年までの目標を設定し、さらに5年間の活動項目と目標を設定した取組みプランを策定し、環境保全活動を推進しています。

グローバルでは、米州、中国、ASEAN、インド地区に環境統括機能を置き、欧州・南アフリカを含め世界5極でエリア管理しながらグループ一丸となって取り組みを推進しています。また、行政・顧客・サプライヤーとも連携して取り組みを進めています。

環境基本方針

1.環境に配慮した事業活動の推進

開発・生産・販売の事業活動から廃棄までの全ての段階で、環境と深く関連していることを認識し、社内全部門はもとより、国内外関係会社、仕入先を含めた豊田合成グループとして、顧客・行政などとも協力・連携し、環境に配慮した事業活動を行う。

2.企業市民としての取り組み

良き企業市民として、地域・社会の環境活動に取り組むとともに、各団体の環境活動への参加、支援・協力を行う。また、社員一人ひとりが地域・社会の一員として環境活動に取り組むための啓発を行うとともに、社会貢献・ボランティア活動を支援する。

3.こうした活動の情報を広く発信するとともに、各層からの意見を聴取し、さらなる改善活動に努める。

TG2050環境チャレンジ ~みどりあふれる、豊かな地球を未来と子どもたちに~

ゴム・樹脂の高分子分野の専門メーカーである当社が象徴としている六角形の「ベンゼン環」(高分子の原点となる構造体)にちなんだ「6つのチャレンジ」を掲げ、2050年を見据えた長期的視点で環境保全活動を推進していきます。また、その実現に向けたロードマップとして、マイルストーンを2030年に置き目標設定(Targets 50&50)し、さらに5カ年計画として環境取組みプランを策定して活動しています。

TG2050環境チャレンジ(6つのチャレンジ)
TG2050環境チャレンジ(6つのチャレンジ)

カーボンニュートラル実現に向けた中長期シナリオ

カーボンニュートラル実現に向けた中長期シナリオ

TCFDの提言に賛同

当社グループは、2019年5月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同を表明し、ガイドに基づいたリスク・機会と対応のシナリオ分析を行いました。そして、TG2050環境チャレンジや2030年のマイルストーンの見直しを行うなど、取り組みを加速するとともに、関連情報の開示を積極的に進めています。

現在までの取り組み
現在までの取り組み
  • ※2 化学物質の登録・評価・認可・制限に関する規則(Registration, Evaluation,Authorization and Restriction of Chemicals )
  • ※3 環境負荷物質(Substances of Concern )
  • ※4 揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)
  • ※5 環境汚染物質排出・移動登録制度( Pollutant Release and Transfer Register)
  • ※6 ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)

推進組織

環境に関する中長期方針や重要な取り組み事項は、社長を委員長とする「カーボンニュートラル・環境委員会」で審議・決定しています。「カーボンニュートラル・環境委員会」の下部組織は、製品・生産・品質の分野で構成される3つの分科会があります。さらに、生産分野では、モノづくり全体からの環境活動の強化を図るために生産環境部会を設置しています。また分科会の下部組織には、エネルギー使用量・廃棄物量の低減や環境保全活動などを推進するワーキンググループを設置し、専門的な視点から環境保全や管理を行っています。また、国内外の関係会社との情報共有の場として連絡会を設けています。

2021年度からは、社長をトップに、社外取締役をアドバイザー、関係部門の部長をメンバーとするカーボンニュートラル促進プロジェクトを立ち上げ、製品ライフサイクル全体での取り組みを加速させています。

■環境組織体制図
環境組織体制図

カーボンニュートラル促進プロジェクト

【体制】社長をトップに、プロジェクトリーダーを総合戦略本部長、開発本部長、自動車事業本部長が務め、コアメンバーを部長以上で構成し、スピード感を持って経営的な判断を即断即決で推進できる体制

【活動】各タスクは関係部門長がリーダーとなり活動を推進

  • ※8 LCA:ライフサイクルアセスメント
カーボンニュートラル促進プロジェクト

気候変動・資源枯渇に関する「リスク」と「機会」

気候変動・資源枯渇に関する「リスク」と「機会」を重要な経営課題と認識しています。異常気象の深刻化や降雨パターンの変動、渇水や洪水による経済、生産活動への影響など、財務的かつ社会全体やサプライヤーへのリスクに対し、法規制や動向を踏まえ、グローバルな視点で対応強化を図っています。

リスク 機 会
気候変動
資源枯渇 水不足、水害による
生産活動への影響
水の再利用、使用量削減による
コスト低減
材料調達難、材料価格の
高騰によるコスト増加
リサイクル技術、材料使用量の
減少によるコスト低減
マネジメント
(法規制順守)
法違反などの環境問題、
環境保全に対する
取り組み不足から生じる
企業の信頼失墜
環境活動の強化による
ブランド力の向上
生物多様性
  • 自然資源などの減少による原材料の価格上昇
  • 水質悪化による製品品質悪化
  • 自然保護による人材、原材料確保による事業継続
  • 里山整備、河川保全などによる良質の水源確保

事業活動における資源投入と環境排出

エネルギー、材料などの投入資源を少なくし、製品としてのアウトプットの極大化を図るために、製品開発力、工法開発力、現場の改善力を活かし、事業活動を通じた改善に取り組んでいます。

また、投入資源も、環境に配慮した材料、クリーンエネルギーを活用しています。

事業活動における資源投入と環境排出

バリューチェーンにおける環境負荷

地球環境保全の観点から、自社の事業活動におけるGHG 排出量(Scope1※15、Scope2※16)だけでなく、原材料の採掘、製品の使用、廃棄なども含んだバリューチェーン全体の排出量(Scope3※17)も把握し公開しています。なお、2021年度からカーボンニュートラル促進プロジェクトを発足させScope3の精度向上を進めるとともに、カーボンニュートラルに向けた2030年マイルストーンの設定、シナリオ作りを進めています。

  • ※15 企業自身が直接排出した温室効果ガス排出量(化石燃料・天然ガスなど)
  • ※16 間接的に排出した温室効果ガス排出量(購入電力など)
  • ※17 企業が間接的に排出するサプライチェーンでの温室効果ガス排出量
    (原材料製造、輸送、出張、通勤など)

■スコープ別 CO2排出量

スコープ別 CO2排出量

環境コスト

事業活動において環境保全にかかったコストを正しく把握し、適切な環境保全活動を行っていきます。

2020年度の環境コストは、研究開発、事業エリア内(高天井照明のLED化、リサイクル、温室効果ガス低減)、社会活動(工場の森づくり)に重点を置いています。経済効果としては、廃棄物低減に向けた発生源対策や廃材のリサイクルなどにより、廃棄物処理費用を低減できたほか、現場における日常改善の徹底、ユーティリティ設備の効率化などで電力費用の低減を実現しています。

■環境コスト

(単位: 億円)

コスト分類 豊田合成(株) 国内関係会社合計
研究開発コスト※18 12.8 0
事業エリア内コスト※19 25.3 3.8
管理活動コスト※20 2.4 0.3
社会活動コスト※21 2.1 0.1
環境損傷対応コスト※22 0.1 0
合計 42.7 4.2
  • ※18 環境負荷低減に資する製品の研究開発に要したコスト
  • ※19 公害防止、省エネ、廃棄物処理など生産で生じる環境負荷低減に要したコスト
  • ※20 教育、環境マネジメントシステム維持、測定等管理に要したコスト
  • ※21 緑化、美化など社会的取り組みに関するコスト
  • ※22 企業などの事業活動が環境に与える損傷に対応して生じたコスト
環境コスト

■経済効果※23

(単位: 億円)

項目 豊田合成(株) 国内関係会社合計
エネルギー費用 3.7 0.5
廃棄物処理費用 1.3 0.1
合計 5.0 0.6
  • ※23 効果の算出は確実な根拠に基づき把握が可能なものについての効果集計分
経済効果

■物量効果※24

項目 効果
温暖化防止(CO2削減量) 13,019t-CO2
廃棄物低減(廃棄物削減量) 627t
順法活動
  • ※24 物量効果は、豊田合成(株)のみで算出

環境データ