サステナビリティ

社外取締役インタビュー

社外取締役インタビュー
土屋 総二郎

土屋 総二郎

略歴

2015年6月 当社取締役就任。
元 株式会社デンソー副社長

山家 公雄

松本 真由美

略歴

2019年6月 当社取締役就任。
現 東京大学教養学部附属教養教
育高度化機構環境エネルギー科学
特別部門 客員准教授

山家 公雄

略歴

2016年6月 当社取締役就任。
現 エネルギー戦略研究所株式会社
取締役研究所長

松本 真由美郎

山家 公雄

略歴

2016年6月 当社取締役就任。
現 エネルギー戦略研究所株式会社
取締役研究所長

松本 真由美

略歴

2019年6月 当社取締役就任。
現 東京大学教養学部附属教養教
育高度化機構環境エネルギー科学
特別部門 客員准教授

社外取締役の役割

土屋取締役会の意思決定に透明性を持たせるべく、これまでの経験、知見を活かした客観的なアドバイスを念頭に置いています。当社と同じモノづくり企業で働いてきた者として、現場のメンバーと可能な限りコミュニケーションを取り、彼らが本来の役割を果たせるように、外部からの目線で気づいた点をその都度伝えています。

山家会社の経営者を監視するモニタリングの役割と、私の専門性や経験を当社の経営に役立ててもらうアドバイザリーとしての役割を果たせるよう、ステークホルダーの目線で忌憚のない意見を伝えることを心がけています。

松本社会情勢や投資家からのニーズを踏まえ、着任当初からモニタリング機能に比重を置いています。社外取締役の責任がより重くなる中、一般株主の代弁者として、疑問に思ったことには積極的に質問、発言していきたいと思っています。

コーポレート・ガバナンスの進化

土屋私が携わってからは、社会的に非常に話題にもなったし、努力もされているので、ずいぶん進化したのではないでしょうか。他社との比較でみても、遅れてはいないと感じています。

山家モニタリングの体制を着々と整備しており、時代の要請に機敏に対応していると思います。ただし、社外役員が機能するためには、より一層当社の事業活動を理解する必要があり、これまで以上にきめ細かいサポートをお願いしたいと思います。

松本山家取締役が就任した4年前は当社を理解する機会はあまりなかったそうですが、昨年着任した私は、事前に事業活動に関する勉強や、工場見学などの機会を提供いただきました。社外取締役としての責務を果たすということは非常に重いので、知る機会をいただくことはもちろん、質問やリクエストへの反応が迅速であることは、ありがたく思っています。

取締役会の実効性と課題

土屋雰囲気が良く、非常に発言しやすい取締役会で、大変評価しています。いろいろな経験やバックグランドを持った人たちで議論することは、大変重要なことだと思います。経営や管理、ガバナンスのみならず、製品に関わる技術や生産、品質、販売やサービスなどについても、いろいろな角度からの幅広い議論がもっとできるとよいですね。

山家社外役員は率直に話す方が多いので、活発な議論に一役買っているのではないでしょうか。取締役会は、限られた時間の中に内容の濃い案件が多く、もっと議論できるとよい場面があります。難しい調整ですが、案件と時間配分をもう少し意識してもよいと思います。

松本実効性確保の点では、後から入ってきた私には、当初分かりづらいところがありましたが、生産会議や販売会議などの社内会議に参加する機会を設けるなど、対処していただき、会社の中長期展開を伺うことができました。分からないところについてはこちらから働きかけ、疑問を解消しながら最適解にたどり着けるよう心がけています。

土屋取締役
豊田合成の経営課題

土屋100年に一度の大変革期といわれ、自動車も大きく変わっていく中で、「どう作る」かと共に、「何を作る」かということがますます重要になってきています。これまで32以上に技術力が問われる時代です。例えば内外装における加飾製品のようなものでも、お客様の要望に的確に答えるためには、各種の新加工技術をあらかじめ確立しておかなければなりません。
 安全・安心や自動運転の分野になると情報や電子の技術も必要になってきます。従来から磨いてきたLEDの技術も活用しながら、そして得意とする材料技術とも連携して、当社独自の新しい価値を創造していくことが重要です。今後の当社の成長の原動力となる製品、事業分野を定めて経営資源を重点的に投入していくことが、現在の経営課題の一つではないでしょうか。

山家取締役

山家良い技術があれば売れるでしょう、という意識があると思います。どうやって技術を商品として具体化していくか、持っている技術でどう利益を上げるかという意識付けも重要です。自動車業界が激変しており、お客様が必ずしも安定しなくなってきたなかで、自ら考え自ら収益をあげていく思考に変えられるか、が課題だと思います。
 例えば、環境面での取り組みが評価されてきましたが、ここは安定利益を生み出すだけでなく、既存技術を利用して新たな事業を創造する領域としても有望です。FCVに限らず水素社会は必ず到来しますし、エネルギー伝達・制御はインバータ方式が主流になります。

松本当社にとって技術開発は事業の要です。時代のニーズに沿った製品開発、社会課題を解決するような提案型の製品開発が必要になっていますので、早い段階からパイロット的に世に出していくことも大事ではないでしょうか。短期的には、成長のためのリスクはぜひ取るべきですが、一方で不要なリスクをコントロールしなければなりませんので、リスクに対する感度を上げていくことが必要だと思います。中長期に向かっては、これまでのパートナーのみならず、次代の中心となる若い人たち=デジタルネイティブ世代との対話によって、自動運転時代の機能やニーズ、どんなクルマ、どんな社会を求めているか、どんどん取り入れて開発に生かしていければよいと思います。

土屋ドイツ・TGメテオールの譲渡が決着して、大きな課題に一段落をつけることができたことは、大変よかったと思います。会社としては大きな決断であり、大変な仕事であったと思いますが無事に完了してほっとしています。事業全体としては、内外装領域やセーフティシステム領域、特にエアバッグ関連やミリ波エンブレムなどが着実に伸びており、さらなる発展の期待もあります。ゴムに関わる領域は、やや苦戦していますが、もともとの当社のルーツでもあり、クルマにとっても必要不可欠な製品ですので、なんとか魅力ある事業にしていかなければなりません。現在、森町工場の関係者の皆さんが一丸となり地道な改善活動や技術開発などが進められていますが、近い将来必ずや大きな成果が出てくると期待しています。
 今般のコロナの件では、当社のグローバルな生産体制にやや懸念を感じています。それはバッグの縫製やハンドルの革巻きなどの一部の労働集約型工程です。作業者の確保や労務費の点から、ベトナムなど一部の地域に集約されており、今回のような疫病のみならず、近年激しさを増している洪水などの異常気象、さらには地震や津波、大規模火災などの自然災害、加えて労働争議などのリスクも考えなければなりません。集中化の効率性などメリットも確かに大きなものがありますが、一極集中によるリスクとどうバランスをとっていくのか?今回を機会に、今一度考えてみる必要もあると思います。

山家いろいろな製品をグローバルにやっていくなかで、私の中では時間が経てばたつほどONE TEAM, ONETG.の言葉が重みを増しています。当社への期待があるにもかかわらず、仕事の取りこぼしが散見されますが、全社的な意思疎通の問題のように思います。領域とステージ、機能を問わず、一体になって仕事を取る、一体になって利益を上げるという意識を持つことが非常に重要だと思います。
 また、CASEはもちろん、自動車以外の新領域への対応も重要になります。自動車は基本的に5年単位で投資回収を考えますが、他の分野は、それぞれの考え方があります。一方で、新しい環境に対応できる人材は十分いると感じます。例えば環境・エネルギー担当は、この4年間で随分と成長して、今では私が教えてもらうこともあります。

生産技術の進化

土屋だいぶ軌道に乗ってきていますが、生産技術はそれ自体で独立したものではありません。「モノづくり」の一端を担うものですから、開発・設計・生技・製造・販売…全体との連携の中にあって力を発揮できるものです。無理な製品や工程を現場に持ち込んで、現場が混乱したりすれば、品質問題や不採算につながります。「モノづくり」は、生産技術や現場だけではなく、会社の各部署の全員の連携や協力の下で発展していくものです。生産技術は、それら「モノづくり」の中心にいて全体の活動をコーディネートするのも役割です。
 当社の生産技術体制は以前に比べて強化されてきており、いろいろな改善活動や新しい開発も着実に進んできていると思います。今後はさらに競争力や収益力といった経営に直接寄与するように、全社・全世界へ展開していくような戦略が重要です。

役員人事委員会・役員報酬委員会の議長として

山家会社の経営に関わる大変重要な役割として責任の大きさを感じています。社外の視点を生かし、率直な議論ができるよう議事進行を務めてまいりたい。中立・独立・適正な判断ができるよう、施策の理解促進の機会に加え、いろいろな人とコミュニケーションの機会を設けていただきたいと思います。

SDGs、ESG 活動について

松本当社のSDGsは当初、網羅的に紐づけされており、実際にどう行動につなげているのか分かりませんでした。今回、マテリアリティ(重要課題)を見直しましたが、こうした動きがこの1年で出たことは大きな前進です。今後、従業員を巻き込みワークショップを行うなどして、一人ひとりが業務の中で貢献できるSDGsは何なのか、自分事としてとらえていくことが大切です。

土屋企業が社会の一員である以上、ESGは当たり前ですよね。ESGは、それを達成しようとする熱意とともに実現するための技術が不可欠です。多様な技術力を有する当社は、このような面でも貢献できることは大いにあると思います。

山家ESGの主要分野である環境については、2050年、2030年という長期目標達成を目指して方法論を議論し、実績を積み上げてきています。省エネ、再エネは日進月歩で進歩し、当社の新製品や新技術の戦略にも大きく影響を与えます。「環境のTG」はこうした包括的な戦略の下に成長していくと思っています。

ダイバーシティについて

松本従業員の性別という視点では、自動車部品メーカー、製造業という事業の特色から男性の多い職場になっていますが、意識的に女性を増やしていることが見受けられます。多様な働き方という面では、新型コロナウイルスの流行で、限定的だったテレワークの対象が全社に拡大されました。コロナ収束後も、従業員の皆さんの定着率アップの施策として、引き続きテレワーク環境を整備してほしいと思います。

松本取締役