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2002年07月18日

豊田合成の特許を有効とする

東京高裁判決(豊田合成の勝訴判決)について

  青色発光ダイオード(LED)に関する特許をめぐり、豊田合成株式会社(松浦剛社長)ら(以下、「豊田合成」という。)は、豊田合成が保有する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に関連する特許のうち、下記特許権に関する無効審判(平成9年審判第19470号)について、特許庁が下した平成12年8月8日付「特許無効審決」を不服として、東京高等裁判所に審決の取消を求める訴訟を提起しておりました。[原告:豊田合成、被告:日亜化学工業株式会社(以下、 「日亜化学」という。)]
 本件につき、本日(7月18日)、東京高等裁判所第6民事部(山下和明裁判長)は、特許庁が下した「特許無効審決」を取消す旨の判決を言い渡し、豊田合成の主張が認められました。
 本件特許は東京地方裁判所において豊田合成が日亜化学に対して提訴していた1件目の侵害訴訟[東京地方裁判所平成9年(ワ)第16589号]の対象特許です。本侵害訴訟は現在審理が中断しておりますが、今回の審決取消判決を受けて、直ちに審理再開の申し立てを行います。
 尚、昨年より、下記の表のとおり、豊田合成は、日亜化学との間で争われているGaN系青色発光ダイオードに関する東京高等裁判所における審決取消訴訟等において、8件中7件と高い確率で勝訴しています。また、豊田合成は、東京地方裁判所における日亜化学との2件の特許侵害訴訟において、本年2月28日にいずれも勝訴しております。

  豊田合成の特許 日亜化学工業の特許
特許番号 2737053 2681733 2658009 2626431 2623466 2780691 2778405 2751963
特許庁の判断
(審決日・異議決定日)
無効
(H11.10.26)
無効
(H12.3.13)
無効
(H11.10.1)
無効
(H12.2.1)
無効
(H12.8.8)
有効
(H12.6.16)
有効
(H11.12.6)
有効
(H13.3.27)
東京高裁の判断
(判決日)
有効
(H13.3.21)
有効
(H13.10.9)
無効
(H14.4.24)
有効
(H14.6.18)
無効とした
審決は誤り
(H14.7.18)
無効
(H13.6.13)
無効
(H13.10.2)
無効
(H14.5.14)
豊田合成の
勝訴案件
×
1.事件番号
平成12年(行ケ)第361号
   
2.対象権利(特許第2623466号)
(1) サファイア基板と、サファイア基板上に有機金属化合物気相成長法により形成された窒化ガリウム化合物半導体(GaN)の気相成長膜と、前記サファイア基板と前記気相成長膜との間に
(2) 前記気相成長膜の成長温度より低温でサファイア基板上に有機金属化合物気相成長法により形成されたバッファ層とを有する発光素子であって
(3) 前記気相成長膜は、前記気相成長時にドーピングされたシリコンがドナーとして作用して抵抗率を3×10-1~8×10-3Ωcmの範囲の所望の値に設定できる制御可能状態で形成されたN型の層であることを特徴とする
(4) 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
   
3.審決取消請求訴訟提起の理由
【特許庁による審決の内容】
(1) 手続補正が発明の要旨を変更するものである
(2) 刊行物の組み合わせにより容易
(3) 発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に発明の目的、構成及び効果が記載されていない
   
【当社の主張】
豊田合成は、本件特許に係る異議申立事件(平成9年異議第75898号)の審理の過程において、本件特許の訂正を求める訂正請求書を提出した。特許庁はこの訂正を認め、本件特許の請求項1に係る特許を維持するとの異議の決定をし、確定した。
従って、審決は訂正発明1において追加された要件について判断しておらず、発明の要旨の認定を誤ったことになるから、審決は取り消されるべきである。
   
4.東京高等裁判所の判断
当該特許に係る発明を特定する特許請求の範囲につき、訂正を認めた異議の決定が確定し、審決は結果として判断の対象となるべき発明の要旨の認定の基礎となる特許請求の範囲の文言の認定を誤ったことになる。従って、審決は取消しを免れない。

以上

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