サプライヤーとの関わり
サプライチェーンマネジメント
豊田合成グループはサプライヤーとの共存・共栄の考えのもと、調達基本方針を定め、サプライヤーの皆様とパートナーシップを深めながら、持続的な成長を共に目指しています。
1.グローバル最適調達
当社は、原材料、製品、設備等を、コスト・品質・技術・生産を考慮しながらグローバルな観点で最適なものを公正に調達しています。
また、サプライヤーからの新技術・工法、新商品等のご提案を歓迎しています。
2.相互信頼に基づく相互発展
当社はサプライヤーとのオープンで対等な関係を基本に、互いに企業体質の強化・経営の革新に努め、相互信頼関係を築くことで、TG グループの総合力の向上を目指しています。
3.持続可能な社会に向けた取り組み
当社はSDGsをはじめとした社会課題への取り組むべき活動規範をガイドラインとして定めサプライヤーと共有し活動を推進しております。また、サプライチェーンを含めた企業活動における法令遵守、機密保持の徹底を図っています。
当社のサプライチェーン
当社が直接取引しているサプライヤーの数は約600社、海外拠点を含むグローバルでは2,000社以上になります。
グローバルでの事業展開においてSQDCのあらゆる面を考慮し、さらに現地調達を推進していくために各地域の調達担当者間での連携に取り組んでいます。
■地域別サプライヤー数
グローバル連携の強化
2030事業計画の実現のため、24年度より調達グローバル連携体制の強化を図っています。日本・米州・欧州・アセアン・中国・インド各地域の調達戦略と、各事業本部別の戦略を整合させ競争力を強化することを目指します。
現地を含めたトップ層会議で策定した各戦略を、実務層で現地訪問を含めた議論により詳細に落とし込み、PDCAサイクルを回しています。
今後も各地域に合わせた方法で連携を実施し、調達機能の向上、サステナビリティ活動の浸透、現地サプライヤーとの取り組み強化を図っていきます。
新規サプライヤーとの取引
当社Webサイト上にエントリーフォームを設置し、新規提案や新規取引に対してオープンな対話を実施しています。
また新規取引開始にあたっては、SQDCの評価に加え、当社のサステナビリティガイドラインへの賛同状況等をふまえた、経営の取り組み状況を確認し、取引開始におけるリスクマネジメントを実施しています。
同時に各種契約書や覚書の締結と併せて、当社の展開する各種ガイドラインを説明し理解を求めています。
新規サプライヤーのアセスメント
新規取引を開始するサプライヤーについては、取引先選定要領を社内規定として定め、運用をしています。
財務状況などの審査に加え、ISO9001やIATF16949などの品質マネジメントに関わる認証の取得状況確認のほか、サステナビリティ課題についての調査を行い、取引開始の可否を判断しています。
サプライヤーとの取り組み
サプライチェーン全体でのサステナビリティへの取り組み
企業におけるサステナビリティの取り組みに対する期待の高まりをふまえ、サプライヤーのみなさまへの理解の浸透を目的に「仕入先サステナビリティガイドライン(第2版)」を策定し、サプライヤーに賛同頂くことをお願いしています。
潜在リスクへの気付きと早期対策を目的にセルフチェックシートを提供し、セルフアセスメントを実施いただいております。今後は結果に基づき、サプライヤーと改善活動を推進していきます。
同ガイドラインは、人権・労働、環境、コンプライアンスなどの項目に関する方針を定めており、社会面(児童労働・強制労働・差別禁止や機会均等・結社の自由・団体交渉・長時間労働削減・最低賃金の遵守・健康と安全)に加え、水使用や生物多様性などの環境面への順守を要請しています。
環境に関しては、「グリーン調達ガイドライン」において、CO2の削減、廃棄物を含めた資源循環、化学物質の管理を求めています。また、紛争鉱物については、サプライヤーに責任のある資源・原料調達を要請するとともに年に1回、全てのサプライヤーに協力いただき紛争鉱物に関する調査を実施しています。
上記の通り、さまざまに変化する社会情勢に合わせてサプライチェーン全体で持続的成長に必要な取り組みを促進しています。
また、地域特性を反映したサステナビリティガイドラインのグローバル展開に向け各拠点とも連携し進めております。
- 仕入先サステナビリティガイドラインの主な内容
- 人権、労働
- 倫理・コンプライアンス
- 安全、品質
- リスクマネジメント
- 情報管理
- 環境への取組
- 責任ある資材・原材料の調達
- 社会貢献
- サステナビリティ活動の推進
責任ある資材・原材料の調達
ビジネスのグローバル化に伴い、サプライチェーンのグローバル化、多様化が進展しています。
しかし、世界には強制労働や劣悪な環境での労働など、労働者の権利への配慮がされていない状況が存在しています。
当社は、その一つとして、劣悪な労働環境の下で採掘されている紛争鉱物の問題をサプライチェーンにおける重要な問題として認識しています。
年1回、関連するすべてのサプライヤーにご協力いただき、紛争鉱物調査を実施しております。毎年調査対象となるサプライヤーより調査票を提出いただいており、紛争鉱物として問題となる重大な事案は見当たりません。
市場の変化に伴い対象鉱物の広がりもあるため、リスク対象を定期的に見直し、豊田合成としての対応方法も検討していきます。
「仕入先サステナビリティガイドライン(第2版)」の中でも、サプライヤーに対して、責任ある資源・原材料調達を要請しています。
今後も、サプライヤーと協力し、懸念のある鉱物の使用回避にサプライチェーン全体で取り組んでまいります。
環境リスクアセスメントの実施
●環境負荷物質
当社では環境規制に確実に対応するため、サプライヤーにご協力いただき、納入される製品に含まれる化学物質について調査しております。
●新規サプライヤー
新規サプライヤーに対しての環境リスクアセスメントとして、取引を開始するにあたりISO14001または、第三者認証を取得しているかの確認を実施しています。認証を取得していない場合は、豊田合成独自で制定したガイドラインを満足しているかの確認を行い、満足していない項目がある場合には、是正要求をし、結果の確認を行っています。
贈収賄防止への取り組み
豊田合成グループは、「豊田合成グループ行動憲章」に基づき、「グローバル贈収賄ガイドライン」を策定し、豊田合成グループ全体で贈収賄、会計不正などの腐敗行為の未然防止に取り組んでいます。また、当社の事業に関与する全てのサプライヤーにも、政治・行政との関係において贈賄等を行ったり、第三者に対して豊田合成グループのための不当な利益等の取得・維持を目的とした接待贈答・金銭等の授受・供与を行ったりすることのないよう、要請しています。
カーボンニュートラル活動促進
2030事業計画「脱炭素」の実現のためには、当社CO2排出量の7割を占めるScope3の低減が重要と考え、製品部品・設備金型の主要サプライヤー140社とともに活動を実施、サプライヤーの実態・課題を認識したうえで、コミュニケーションを密に取っています。具体的には、各社の低減テーマ策定のため、当社の省エネ事例集の共有、省エネ道場での勉強会、各種測定器の貸し出しを行うとともに、中長期の目標である、「30年度までに27%低減・50年度ネットゼロ」に向けた各社のロードマップ策定の支援に力を入れています。
その取り組みの一環として、「カーボンニュートラル活動促進会」を年2回開催する中で、サプライヤー同士のグループ討議による情報共有・困りごと解決も実施しています。また、24年度からは日本の取り組みのグローバル展開を開始しており、今後もサプライチェーン全体で脱炭素に向けて取り組んでまいります。
サプライヤーとのパートナーシップ強化
毎年4月に「調達方針説明会」を開催し、国内主要サプライヤー約250社に対して経営理念や事業環境、会社方針を説明し、SQDCおよびコンプライアンス・サステナビリティに関する取り組みと課題や目標を共有したうえで、期待値懇談会を通じて結果の確認と改善に向けた協議を定期的に行っています。また、2019年度より毎年12月をサプライヤーに対して「感謝と尊敬の念をもち、本音に謙虚に耳を傾ける機会」と捉え、日頃の取り組みに感謝の意を表すために、感謝状の贈呈などを実施するなど、サプライヤーとのより良い関係づくりを目指しています。
さらに毎月「調達連絡会」を開催し、防火・防災やコンプライアンス・サイバーセキュリティなどの取り組み事例の紹介に加え、カーボンニュートラルをはじめとした社会課題に関する「セミナー」を実施しています。2020年度からは、サプライヤーの経営者を対象に「経営困りごと相談室」を設置、企業経営や財務、人事、法務などさまざまな経営課題について、少人数単位での率直な相談を受け付け、実効性の高い解決策をアドバイスすることに努めています。
これらの支援活動は200回を超え、次第にサプライヤー間での自発的なつながりが生まれ、悩みを共有することで互いに学び合う好循環も生まれています。
サプライヤー評価制度
当社は、サプライヤー評価制度を設定し、品質・原価・納入・技術・環境に関して優れた成果を出していただいたサプライヤーへの表彰を実施しています。
また、日常的な生産活動改善にご尽力いただいたサプライヤーにも感謝状を贈呈するなど、サプライチェーンと一体となった基盤強化に努めています。
ともに成長するためのサプライヤー支援
SQDCの観点からさまざまな支援を実施しています。特に、安全に関しては塗装などの生産設備の防火点検やリスクアセスメントに基づく未然防止活動、品質・生産に関してはモノづくり改革活動による現場改善、いずれも人材育成支援と関連付けながら取り組みを進めています。
なお、育成支援においては、当社のスキル保有者の出向やサプライヤーのコア人材の出向受け入れなど人材育成と関連付けながら推進しています。
また、サプライヤーが相互研鑽や優良事例の横展開を目的に編成する「協和会」の活動を側面から支援し、人材育成の推進やカーボンニュートラルの実現に向けた活動にも取り組んでいます。
2022年からは協和会が主導して、サプライヤーが培ってきた知見を活かし双方の競争力強化を図ることを目的にした「勝ち(価値)技展示会」を開催しています。各社がアイデアを共有し合い改善の成果がでてきています。
また、さらに協業の密度とスピードアップを図るため、2023年より当社の困りごと(ニーズ)、協和会の提案(シーズ)の情報共有により、双方の力を活かした取り組みを開始しており、24年度の勝ち技展示会ではサプライヤー間も含めた協業成果を多く展示できました。
豊田合成協和会
豊田合成協和会(以下協和会)とは、1970年、社会的な品質ニーズの高まりをきっかけに発足した、豊田合成と主要仕入先さまの相互研さんと共存共栄を目指す協力会のこと。「設備・金型」「ゴム・金属」「樹脂」3つの部会で成り立ち、品質・防火防災安全の分科会開催、職場改善事例・QCサークル発表会、豊田合成階層別教育や国内外研修への参加、豊田合成トップとの納会など、豊田合成と連携しながら各種活動を展開しています。
将来の価値を共に創造するパートナーとして
1970年から豊田合成と共に活動をしてきた協和会は、安全、品質、不良低減なども含め、豊田合成のニーズに応えながら、各社がそれぞれの技術を磨いてきました。しかし自動車業界が大きく変わりつつあるなか、競争力を高めるには活動の見直しが不可欠と考え、若手研さん会などを通じて会員が真剣に議論し合い、新たな方向性を打ち出すことにしました。その第一歩が、協和会の目指す姿を明言した理念の制定であり、3つの委員会の立ち上げです。いずれも協和会の会員が中心になり、自発的な活動をするのが特徴です。
協和会は、日々の生産活動に力を注ぐのはもちろんのこと、長期的な目線に立ち、豊田合成の将来の価値を共に創造していくパートナーでもあります。今回の活動強化をきっかけに、豊田合成の皆さんと活発に意見交換をしながら、パートナーシップを強化するとともに、豊田合成の事業戦略の実現に向けて活動を推進していきます。

豊田合成協和会 会長
近藤 茂充さん
豊田合成との協業により両社の成長を目指して
現状維持ではなく、イノベーションの実現に向けて歩みを進める協和会の活動は、時代の変化や情勢に合わせた豊田合成の取引先として必要な各社の仕組みや体制づくりに取り組んで来ました。
豊田合成の最適なパートナーとしてあるべき姿を考え、会員各社の長期的な固有技術の発展や社員の成長・育成等の取り組みを開始いたしました。
“人材育成”“カーボンニュートラル”“ONE TEAM ONE TG”の3委員会に会員各社が参加して、豊田合成から情報提供をいただいた内容を自社に取り入れる活動に留まらず、新たに各社から発信する活動に変化しています。その結果、各社の取り組み内容を豊田合成と共有することで始まった“協業”を推進しています。
その事例は23年度“勝ち技展示会”の場で多数の事例が紹介されたほか、さらに活発に豊田合成と会員各社が活動を進めて、両者が持つ多種多様な技術で付加価値を向上し、豊田合成になくてはならないパートナーとしての活動をこれからも推進していきます。

豊田合成協和会 副会長
小塚 義典さん
サプライヤー研修
サステナビリティ分野における企業を取り巻く環境は急速に変化しており、サプライチェーン全体で動向を理解し、適切な対応を取っていくことが重要と考え、主要サプライヤーに対する研修を行っています。
サステナビリティ全体、環境、人権などのトピックスやカーボンニュートラル、サイバーセキュリティの強化などについて適宜説明会を開催し、サプライチェーン全体での取り組みの重要性を理解いただけるように努めています。
サプライヤー情報のモニタリング
継続的に取引のあるサプライヤーには年に1回以上の頻度で経営情報に関する調査票の提出を依頼しており大きな変化点については訪問やヒアリングの実施など、リスクの早期解決や困りごとの解決などに努めています。
加えて年度の評価結果をもとに、品質、安全など、当社の選定基準に当てはまるサプライヤーを対象に、サプライヤーに出向いての監査を年に1回実施しており、改善化活動を推進しています。
社内の取り組み
従業員教育・研修
調達業務に従事する従業員一人ひとりが、サプライヤーに対し、オープンで公平・公正な調達活動を推進できるよう、「豊田合成行動倫理ガイド」に従った活動に努めています。
また、持続可能な社会の実現に向けては、社会課題や情勢に鑑みた取り組みをサプライチェーン全体で推進しています。定例的な活動として、様々に変化する社会情勢に対応した調達活動を実践するために調達部会を毎月実施しており、全ての調達部員は、コンプライアンス(下請法、贈収賄など)、安全、カーボンニュートラルに関する情報などを周知しています。
関連団体やイニアシチブへの参画
当社は日本自動車部品工業会(JAPIA)・日本ゴム工業会(JRMA)などの業界団体に参加しており、社長がJAPIAの役員(理事)を務めています。
これらの業界団体での活動を通じ、経済産業省の推進する「パートナーシップ構築宣言」を行うなど、サプライヤーと共に持続的に成長していくための取り組みを進めています。
またJAPIAの総務委員会において、震災に加え風水害やパンデミックを踏まえた「JAPIA BCP ガイドライン」の改訂に参画し、自動車部品産業に関連するサプライヤーの方々のBCP策定に資する取り組みなどを行っています。
取引適正化
当社は、パートナーシップ構築宣言内において、労務費、エネルギー高騰費用の価格転嫁など、サプライヤーとの協議を宣言しています。
当社からサプライヤーへの働きかけを能動的に行い、サプライヤーとの協議を重ねながら困りごとの解決を進めております。
パートナーシップ構築宣言
当社は、内閣府および経済産業省などによる「パートナーシップ構築宣言」を2020年8月に公表しました。「パートナーシップ構築宣言」とは、サプライチェーン全体の共存共栄と規模、系列などを超えた新たな連携などを宣言するものです。
パートナーシップ構築宣言