あらゆるステークホルダーとの活動を
通じ、共に成長していく
私たちは「誠実な事業活動」を経営理念に掲げ、モノづくりを通じて社会に寄与するために、その基盤となる人材育成や働きやすい風土づくりに取り組んでいます。また、人権尊重を重要課題と捉え、国内外グループ会社や取引先様と様々な活動に取り組んでまいります。
従業員との関わり
人と組織の活性化
2030事業計画の実現を支える「企業風土」と「人材」
2030事業計画実現に向け、失敗を恐れずに「変える/変わる」こと、そして「チャレンジ」することで「チャンス」をつかみ取る・創り出していくことが重要であると考え、「組織風土」と「人材」の両面での施策を展開します。
組織風土では、ダイナミズムに満ちた「高分子型組織」を目指します。様々な個性や価値観を持った一人ひとりの分子が互いに刺激し合い、化学反応を起こすことにより創造力を高め、分子同士の強い結合によりパワーを結集させる。そして、チーム・グループ・部門・関係会社間においても同様の刺激と反応を起こし、さらにはパートナー企業、仕入先様、取引先様やお客様などの他の組織ともつながり、結果として高い創造性と生産性を発揮する。環境の変化に応じて、自在に形を変え、新しい価値を創出できる。これが、私たちが考える「高分子型組織」です。その前提となる組織風土の土壌づくりのために「安心できる居場所づくり」、「活躍できる舞台づくり」と「一人ひとりに光をあてる」を通じた自己実現により、従業員のウェルビーイングの実現をサポートしていきます。
一方、人材では、社会的価値とTGの存在意義を自ら問い、戦略的に事業を展開できる人材の育成を目指します。そのために、多様な人材の確保や事業ポートフォリオの見直しを行っていきます。
当社が目指す従業員のウェルビーイング
安心できる居場所づくり
多様な人材が存在を認め合い安心して発言やチャレンジができる。職場に活力と信頼関係があり、メンバーといい仕事をしようと思える。
活躍できる舞台づくり
役割において、貢献・活躍実感が持てる。
仕事の意義/働きがいを感じられる。
一人ひとりに光をあてる
認められ、励まされ、賞賛される。
役割の大小にかかわらず、上司が目を向け、声をかける。
目指す姿、事業計画と連動した人材戦略
当社は「多様な人材の活用推進・人権尊重」をマテリアリティ(重要課題)の1つとして捉え、これまで、人材戦略の柱として「人材育成の促進」「多様な人材の活躍」「働きやすい風土づくり」の3つを掲げ、仕事の進め方の基本である「問題解決手法、PDCAサイクル」や、技術や材料など専門的な知識を習得する教育機会の提供、また、女性や障がい者、多様な価値観を持つ人材が力を発揮できる環境づくり、当社のありたい姿への取り組みと働きがいや成長実感が重なるエンゲージメントの向上への取り組みを進めてきました。
しかしながら、昨今、企業価値向上の有意な手法として期待される人的資本経営に照らし合わせて検証してみますと、これまでの人材戦略は人事機能の観点からの課題認識に基づくものであったことから、人材戦略を見直しました(下図)。2023年度は経営戦略との結びつきをより強化し、新たに立案した戦略に基づき、これまでの取り組みに加え、新たな施策を展開し、活動を進めています。
■主要KPI
従業員エンゲージメント
肯定率
75%(2030年)
育成出向者数
50人(2030年)
ローカル幹部比率
60%(2030年)
女性管理職数
100人(2030年)
人権の尊重
基本的な考え方
豊田合成グループ(豊田合成株式会社および国内外の連結子会社)は、国連の「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範を支持・尊重するとともに、「豊田合成グループ行動憲章」において、「人権や個人の多様性・人格・個性を尊重し、差別的行為やハラスメント行為等を行わず、労使協調のもとで常に健全で働きやすく安全な職場づくりを努めます」との基本方針を定めています。本憲章の理念を実現するための行動基準となる「豊田合成行動倫理ガイド」においては、人格・人権の尊重、公正な採用、強制労働や児童労働およびあらゆる形態のハラスメントの禁止を明言しています。
■人権方針の策定
これまでの人権に関する取り組みをさらに加速させるため、2022年4月に「豊田合成グループ人権方針」を策定しました。本方針は、外部有識者の助言を踏まえて作成し、全役員と本部長が参加するサステナビリティ会議での審議を経て、取締役会で承認されております。なお、サプライヤーの皆さまに対しては「仕入先サステナビリティガイドライン」を共有し、実践を要請しています。
体制
人権尊重に対する取り組みは、取締役が出席する会議体で議論し、その結果について取締役社長を議長とするサステナビリティ会議で報告しています。
人権デュー・デリジェンス
豊田合成グループは、人権方針に基づく取り組みを実践するために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、同原則で記されている人権デュー・デリジェンスを2022年に開始しました。
人権デュー・デリジェンスとは、企業の事業、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係に関して、人権への負の影響を特定し、その負の影響を防止・軽減し、実施状況および結果について追跡調査を行い、どのように負の影響に対処したかを伝える一連のプロセスを指します。
■人権に関する取り組みの全体像
人権影響評価
人権デュー・デリジェンスの一環として、まずは当社グループ内を対象とした人権影響評価を外部有識者と共に実施し、当社グループ内における優先的に取り組むべき人権課題(顕著な人権課題)を特定しました。なお、国内外サプライチェーンについても、優先課題の評価を実施しており、24年度内に開示予定です。
当社グループの事業活動や製品・サービスに関連する人権リスクの全体像を把握するため、まずは机上調査を実施し、当社グループのバリューチェーン上の⼈権リスクを洗い出しました。また、当該調査の結果、当社のグループ会社に対してはアンケートによる書面調査を、またリスクが高い国・地域においてはヒアリングを実施し、取り組みの実態や課題を確認しました。
その後、これらの調査内容を踏まえて各人権課題の評価・優先順位付けを行い、当社グループ内における顕著な人権課題を特定しました。
■人権影響評価のプロセス
-
机上調査
- 当社グループの業種や取扱品目、国・地域、企業固有の人権リスクを、国際機関・政府・NGO等が公表する指標やレポート、社内文書、外部有識者の知見を活用し、網羅的に抽出
-
ヒアリング・書面調査
- 書面調査:当社グループ全体に向けてwebアンケートを展開し、各社の状況を網羅的に調査
- ヒアリング:机上調査の結果、高リスクとなった国・業種の当社グループ会社を対象としたヒアリングを実施し、マネジメント状況や過去事例などを調査
-
優先順位付け・
顕著な人権課題の特定- 机上調査・書面調査・ヒアリングの結果を踏まえて、人権の影響度を評価
- 評価結果をもとに、外部有識者との協議を行いながら、当社グループとして優先して取り組むべき人権課題を経営層の承認を経て、「顕著な人権課題」として特定
評価の結果、今後マネジメント体制を強化する必要があり、優先的に取り組むべき豊田合成グループの顕著な人権課題として以下の3つの課題が特定されました。
特定された顕著な人権課題については、負の影響の防止・軽減への取り組みを関連部門と連携し、推進していきます。また、人権を取り巻く状況は常に変化するため、今後も人権影響評価を定期的に実施します。
- ※なお、評価の過程において「労働安全衛生」も重要な人権課題として挙がってきましたが、「労働安全衛生」はグループ全体におけるマネジメント体制が確立されており、PDCAサイクルに基づいた取り組みが進められているため、人権デュー・デリジェンスとして対処していく優先課題としては除外しました。
■当社グループ内における顕著な人権課題
顕著な人権課題 | 影響を受けるステークホルダー | 内容 |
---|---|---|
ハラスメント |
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移民労働者 |
|
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ダイバーシティ& インクルージョン |
|
|
■人権リスクマトリクス
取り組み
■従業員への啓発・教育活動について
豊田合成では、これまでも入社時、昇格時などの機会において人権尊重の教育を実施してきましたが、「豊田合成グループ人権方針」策定を踏まえ、外部講師によるウェルビーイングやDE&Iをテーマにした講演会、社内報での人権方針解説書、事技職向けオンライン研修、技能職向け啓発ツール展開を実施しています。ハラスメント・差別のない職場創出のための通信を毎月発行し、また、人権問題を専門的に学ぶ社外研修に人事担当を派遣するなどして、人権感覚に優れた担当者の育成にも取り組んでいます。
対象 | 内容 | 頻度 |
---|---|---|
管理職 | 人権の基礎知識およびアンコンシャスバイアス研修を実施 | 1回/年 |
全従業員 | 人権に関する基礎的な内容をe-learningで展開 | 1回/年 |
人権担当者 | 基本的な知識や動向などについて、外部勉強会に参加 | 随時 |
グループ会社管理職 | 人権の基礎知識およびアンコンシャスバイアス研修を実施 | 1回/年 |
■ハラスメント防止
役員、管理職、監督者などへの研修とともに、月1回程度の「TG 明るい職場応援団」のレポートを展開し、職場で読み合わせを実施し、全従業員がハラスメント行為のない、健全で働きやすい職場づくりに努めています。特に全監督者以上には、ハラスメント低減に向けた研修を継続的に行っております。
■外国人技能実習生
2023年には国内グループ会社へ雇用状況の調査を書面で実施し、6社で計78名の実習生を受け入れていることを確認しました(2023年7月時点)。各社にはJITCO発行と同様の職場環境、安全健康、書類管理などの自主点検を実施いただいたうえで、全てのグループ会社へ赴き、実習生へのヒアリング、職場見学など現地調査を行いました。一部不備があった点については当社から指導し、即時の是正を実施いただくことで、人権侵害につながるような違反はないことを確認しました。調査では、ベトナムからの実習生が過半数を占めていることを把握し、適切な手数料請求に向けた取り組みも進めています。
■国内外グループ会社への取り組み
国内外グループ会社に対しては、各国法令や「豊田合成グループ行動憲章」に沿った人事労務コンプライアンスの管理状態を把握するため、2017年より、グループ61社(2023年4月時点)を対象に自主点検調査を実施しています。定期的に、グループ内で人権やハラスメント、D&Iに関わる勉強会を開催し、ノウハウの共有を行い、各社の改善活動につなげているとともに、本社社員が現地を訪問し、グループ会社従業員への研修を行っています。
■サプライチェーンの人権尊重の取り組み
当社では、サプライチェーンにおいても、人権の侵害あるいは人権侵害へ加担しないように取り組みを進めています。
「仕入先サステナビリティガイドライン」の中に、強制労働・差別禁止など人権尊重に必要な項目を盛り込み、サプライヤーの皆様へご理解と実践を頂くことを要請のうえ、潜在リスクへの気付きと早期対策を目的にチェックシートを提供し、自主点検調査を実施いただいています。
また、サプライヤーとの連絡会などを活用し、定期的に人権啓発活動を行っています。
今後も、負の影響の防止・軽減への取り組みを当社とサプライヤーで連携し、推進していきます。
■苦情処理メカニズム
当社では、当社および国内グループ会社の従業員が利用可能な社内/社外窓口を設けています。匿名での相談・通報も可能であるとともに、相談・通報を理由とした不利益な取り扱いを受けないように、相談者・通報者の保護に努めています。
さらに、ハラスメント・育児・介護、障がい者就業支援などに関する社内相談窓口も設置しており、従業員が互いを尊重しながら働くことのできる職場環境の整備に努めています。
また、サプライヤーからの相談・通報についての「仕入先様相談窓口」も設置するとともに、ホームページの「お問い合わせ」を通じ、あらゆるステークホルダーからの相談・通報が可能となっています。
人材育成の促進
グローバルで当社グループの総合力を高めるため、人材育成と従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを推進しています。
教育プログラムを充実し、人材育成を活性化
当社で働く上で必要なスキル・能力の向上のために、仕事の基本である「問題解決力」、コミュニケーションを柱とした「チームで働く力」、そして強い現場力のための「基本技能」の3つの柱で人材育成を促しています。
また、事業環境の変化へ対応するため、変革を実現するプロジェクトリーダーの育成や、DXを推進するためのデジタル人材の育成のため、新しい研修も立ち上げました。研修方法も「オンライン研修」や「eラーニング」など、新しい手法を積極的に導入しています。
■階層別教育体系
若手OJT制度
若手が入社後3年間で独り立ちをするための制度「若手OJT制度」を導入しています。PDCAサイクルに沿った仕事ができるように、職場でのOJTと研修の両輪を回し、若手の早期育成を図ります。
また、入社2年目・4年目・6年目の節目にもヒアリングを行い、能力発揮や個々の成長の把握と育成課題の早期発見・対策にも取り組んでいます。
製造現場の技能力を高める「専門技能伝承道場」「保全技能伝承道場」「金型技能伝承道場」
生産現場のモノづくり力を高めるためには、技能員一人ひとりの技能向上は欠かせないため、「技能重視の風土の醸成」を基本方針に、2019年度に3つの道場を立ち上げました。
「専門技能伝承道場」は、管理監督者へ監督業務だけでなく専門技能の力を身に付けさせることを目的としており、異常処置能力を高めるため不良のメカニズムを学ぶ研修を立ち上げました。
保全員育成のために立ち上げた「保全技能伝承道場」では、ロボット化・IT化に対応すべく応用レベルの研修を追加しました。さらに現場では協働ロボット活用による自働化推進のため、一般技能員に対してもロボットティーチング技能の研修を行っています。2022年度は協働ロボット活用による既存工程の自働化推進者育成のカリキュラム作成にも着手しています。
「金型技能伝承道場」では、国内、および海外拠点の金型保全員を対象に「基礎技能研修」、「トレーナー研修」を行っており、延べ100名が巣立っています。
また、2017年から「技能五輪」への挑戦をはじめ、本来業務に関連する高度な技能と知識を習得することで、将来、生産現場で活躍できる若手の人材育成にも取り組んでいます。これらの育成取り組みを続けることで、当社を支える、「強いモノづくり現場」を実現していきます。
経営幹部候補の確保と育成
将来の経営を担える人材の計画的な育成のため、経営戦略から人選・研修・配置まで、一貫した仕組みを導入しています。
重要ポストを担う将来の幹部候補人材を、若手層から各世代で確保し、研修と実践(タフアサインメント)を通じ、継続的に育成しています。ローカルスタッフ/社外からの登用も行い、変革をリードし、実現できる、多様な人材の育成を推進していきます。
ローカル幹部育成
世界16の国・地域に62社を構える当社では、持続的成長を支える地域に根付いた事業運営の実現を目指しています。そのような事業運営の実現のためには、現地の商慣習や文化に精通した人材が運営に携わることが必須であると考えているため、海外拠点のローカル幹部人材登用および育成を積極的に進めています。各地域において積極的な登用を加速するために、2021年度に、ローカル幹部(副社長以上)登用の基本方針、ターゲットを定め、実現に向けて各事業体にて取り組みを進めています。
2025年までにローカル幹部比率40%達成を目指し、各地域でハイポテンシャル人材の評価、育成計画の策定を進めており、幹部人材候補への「経営スキル基礎研修」、「課題設定型問題解決研修」の実施など、現地人材の育成を進めています。また、「RSC(Regional Succession Committee)」を米州、東南アジア、中国で開催し、幹部後継者候補育成・採用の活動状況や課題を共有し、毎年本社開催のGSC(Global Succession Committee)にて報告しています。
VUCA時代のプロジェクトリーダー研修
当社では「問題解決」を柱とした育成に加え、事業環境変化への対応や経営戦略の実行に必要な専門性や能力・スキルの開発が必要と考え、新たな価値創出や業務の革新をリードするための新しい発想・アプローチ等のスキルを学ぶ研修を開講しました。育成対象とするプロジェクトリーダーのタイプは、①新規ビジネス・新製品の創出を行う「ビジネスリーダー」②業務プロセスを革新する「業務革新リーダー」③デジタル人材を指揮して、DXを推進する「DXリーダー」の3タイプになります。この研修は、2022年9月より、本格的に実施しています。
DX推進を担う「デジタル人材」の育成
ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、生産工程や製品の刷新、またビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争優位性を勝ち取るため、DXを推進していきます。このDX推進を図る人材の育成が急務であり、2022年1月より、新たな教育を導入し、デジタルコア人材の育成を図っています。
これにより、業務の革新や市場での競争力の確保ができ、市場の変化に対し、柔軟かつ迅速に対応ができる組織へと成長していきます。
■デジタル人材育成の体系
必要なDX人材 | 2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2025年に向けた 育成計画(累計) |
|
---|---|---|---|---|
データサイエンティスト | 大量のデータから必要な情報を抽出・分析し業務改善へ反映できる | 57名 | 72名※ | 150名 |
デジタルアーキテクト | 最新のクラウド技術などに精通し実装ができる | 24名 | 30名※ | 100名 |
DXリーダー | デジタル人材を指揮してDXを推進できる | - | 7名 | 20名 |
- ※関係会社含む
障がい者が働きがいを持ち、定着できる職場づくり
障がい者雇用を社会的責任と捉え、積極的に取り組んでいます。「障がい者雇用推進委員会」にて、採用・配属・管理監督者への教育・職場定着を実施。特に職場定着に重点を置き、定期ケア面談などを通して現状を把握し、困り事を吸い上げ、職場環境改善3ヵ年計画を策定し、職場環境に配慮したみんなのトイレなどの設置を計画的に進めています。また、障がい者が従事できる仕事を明確化し、計画的に採用・配属を行い、2023年度時点(2023年5月1日現在)で127名の障がい者を雇用し、雇用率は法定雇用率の2.3%を超える2.4%に達しています。
グループ全体としても、特例子会社のTGウェルフェア(株)にて、障がい者セミナーの開催など、グループ会社特例の認定を受けたグループ14社で、教育の場づくりや情報共有に取り組んでおり、全体の雇用率は2.8%に達しています。
■障がい者雇用率
キャリア採用社員への取り組み
豊田合成では、当社にはないノウハウや知識を取り入れるべく、キャリア採用を行っています。キャリア採用者数は従業員の約30%を占めており、入社後は導入研修や各職場での教育、また人事担当者が困りごとのヒアリングを行うなど、活躍できる職場環境づくりに取り組んでいます。
シニア従業員のさらなる活躍の促進
今後ますます増加するシニア従業員が、60歳を区切りとせず安心感と高い意欲をもって活躍し続けられる環境を整備するとともに、シニア従業員の豊富な経験や技術・スキルと若手従業員の発想・着眼等を融合し、新たな価値を生み出していきます。その基盤づくりのため、2022年4月より定年年齢を60歳から65歳へ引き上げました。今後、65歳まで意欲高くいきいき働き続けることを後押しする下表のような取り組みを継続していきます。
年齢に関わらず、最大限の能力発揮ができる環境づくりに向けた活動を継続し、エンゲージメントのさらなる向上を図ります(目標:従業員のエンゲージメント(50代・60代)の肯定回答率65%以上)。
例えば、「意欲向上」の取り組みとして、50代の従業員を対象にキャリア研修を実施し、「今後の働き方」や「これまで培った技術・技能・経験をどのように職場で発揮していくか」等を、同世代と意見交換しながら改めて考える場を設定しています。
また、「健康・体力向上」の取り組みとして、「節目年齢での健康セミナーの実施」や「食堂メニューの見直しによる食生活の改善」など、従業員と定期的に議論しながら、健康増進に向けた活動を強化しています。
意欲向上 |
|
---|---|
健康・体力向上 |
|
職場環境整備 |
|
若手のキャリア開発
100年に一度の大変革期といわれる自動車業界において、企業としてのさらなる成長・発展に向け、企業競争力を高めなければなりません。そのためには、従業員自身がキャリアプランを描き、自己実現していくことで充実感・満足感を得ながら、一人ひとりが最大限の能力発揮・成長することが不可欠と考えています。
’21年度より、「ワク・キャリ活動(ワクワク・イキイキとキャリア形成意識を高める活動)」と称し、下表のように、ワク・キャリ活動3本柱を重点施策として位置付け、活動を推進しています。今後は「安心できる居場所」、「活躍できる舞台」を軸に、上司と伴走しながら従業員それぞれのキャリアプランを実現させていくための施策(キャリア形成促進活動)をさらに拡充させていきます。
視える化 |
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意識醸成 |
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キャリア形成促進活動 |
|
働きやすい風土づくり
当社では、従業員がいきいき働くためには、各種制度の整備や働きがい向上の施策が非常に重要だと考えています。安心で快適に働ける環境を提供し、一人ひとりがその能力を発揮できる土台づくりを積極的に進めています。
ウェルビーイング向上に向けた取り組み
当社では、これまでも働きやすい風土づくりを進めてきましたが、2030事業計画を受け、人と組織の活性化に向けた取り組みを重要視し、これまでの活動を昇華させるべく、1人ひとりが自己実現できる環境や制度づくりを進めていきます。その方策として、当社はウェルビーイングを高める施策、横の連携を活発化させる施策を推進しています。
ウェルビーイングを高める施策では、「安心できる居場所づくり」「活躍できる舞台づくり」、そして「一人ひとりに光をあてる活動」の3つを軸に施策を展開しています。23年度は特に管理職が従業員に寄り添い、一人ひとりの価値観を活かすマネジメントスタイルへの変革をねらいに「心の通う職場づくり」に取り組んでいます。マネジメント層(GL・係長)を対象に研修を実施し、その内容を実践してもらうことで、信頼関係や絆の構築を目指しています。
LGBTQへの取り組み
豊田合成では、2023年4月より同性パートナーがいる従業員向けに、法律婚と同様に結婚時や弔事の特別休暇が取得できるようにするなど、制度の一部を見直しました。また、多様な性のあり方に配慮した「みんなのトイレ」や「相談窓口」の設置、社内啓発研修なども行っています。これらの取り組みが評価され、一般社団法人work with prideが策定する、日本の職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの取り組みの評価指標である「PRIDE指標2023」において、シルバーを受賞しました。
柔軟な働き方と活躍促進を支える制度環境の整備
仕事と育児・介護・加療との両立支援について、法定以上の制度に加え、お互いを思いやる職場風土の醸成を進めています。特に、育児は男性も共に参加するものとして、出生時に改めて実施する制度紹介や社内報啓発などにより、積極的に男性育休の取得促進を行っています。
また、ワークライフバランスの実現として、テレワークや短時間勤務、フレックス制度など、柔軟な働き方により、働きがいを持ち続けながら活躍できる環境づくりに努めています。
育児支援に関する主な制度
上記以外に当社独自の制度として、子どもの行事や学級閉鎖などに対応した「キッズサポート特別休暇」や、祝日の出社日に民間の託児所を利用した際の費用を補助する「祝日託児補助」に加え、「育児特別勤務免除」「育休前/復帰前面談」など、手厚い制度を整えています
- ※1 4時間勤務は小学1年、6・7時間勤務は小学4年まで
介護支援に関する主な制度
仕事と加療の両立支援制度
- 短時間勤務
- 短日勤務
- テレワーク上限回数の緩和
全社平均残業時間 [単体]
男性育児休業取得者数と取得率[単体]※3
- ※3 該当年度に育児休業を開始した人数
年休取得率 [単体]
- ※2 新型コロナウイルスの影響により、休業あり
男性育休取得の促進をねらいに「次世代法・女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」を更新(24.3.29)
活力・一体感のある風土づくり
豊田合成では、職場の一体感醸成のために様々な全社イベントを実施しています。2023年は4年ぶりに有観客での「全社駅伝大会」を開催し、グループ会社、取引先からの参加も含めて約1,100人の選手が出場し、職場や家族など約1,000人が応援に駆け付けました。また、家族の絆や地域との交流を深める「TGフェスティバル」をエントリオで初めて開催しました。これ以外にも、森町工場で行われる「森町納涼祭」や、従業員の家族を会社に招待する「ファミリーデー」なども実施しています。イベントを通して従業員間、そして地域の連携をさらに強化するとともに、日頃のサポートや理解と協力に感謝し、おもてなしの気持ちを込めてイベントを企画しています。
安全衛生
基本的な考え方
安全衛生・健康に関する基本理念
豊田合成グループでは安全と心身の健康の確保を最も重要な経営課題のひとつと位置付け、全ての事業活動において安心で働きやすい職場環境を確保します。
安全衛生の取り組み
豊田合成グループでは上記基本理念に基づき、安全衛生宣言を定めて企業活動を展開しています。
安全衛生宣言
- 1. 安全衛生に関する法律、社内規定を順守します。
- 2. 「安全は全てに優先する」を心に刻み、一人ひとりが「安全最優先」で行動することを徹底します。
- 3. 当事者意識を持って活動に取り組み、全員参加で相互啓発型の安全文化の醸成を図ります。
推進体制
安全健康推進部担当本部長を議長として、取締役社長・労働組合委員長・国内事業場の全工場長および国内外子会社社長が出席する中央安全衛生委員会(4回/ 年)を組織し、安全衛生に関する諸施策の報告・審議を行い、その結果を取締役会に報告しています。
中央安全衛生委員会の審議結果に加えて、年初の社長メッセージや社内報による安全情報の発信を繰り返し実施することで、豊田合成グループが一丸となって活動を推進しています。またサプライヤーについても、調達連絡会などを通じて定期的に各種関連情報の共有化を図っています。
目標と実績[グローバル]
当社の敷地で働く全ての人が、出社した時の元気な姿で帰宅できることが会社の責務であるとの考えから、グローバルで重大※4災害・重篤※5なSTOP7※6災害件数0件を目標に掲げ、各種諸施策を推進しています。
2022年度は「挟まれ・巻き込まれ」災害の防止に向けて、「危険源に接触できないようにする「隔離」対策、さらには危険源を無くすまたはエネルギーを小さくする「本質安全化」対策への移行」を重点施策に掲げ活動に取り組んでいます。
■2022年度グローバル目標達成状況
実績 | 評価 | ||
---|---|---|---|
重大災害件数 | 0件 | 0件 | ◯ |
重篤なSTOP7災害件数 | 0件 | 1件 | × |
休業災害件数 | 0件 | 0件 | ◯ |
- ※4 重大:死亡
- ※5 重篤:被災者の身体の一部(または機能)を失った状態
- ※6 STOP7:大きなケガが起こる可能性がある7つの事象①挟まれ・巻き込まれ②重量物③墜落・転落④感電⑤車両⑥高温物・爆発・ガス⑦切断
■グローバル重大災害・重篤なSTOP7災害発生状況
具体的な取り組み
■安全衛生マネジメントシステム
リスクアセスメントを軸とした労働安全衛生マネジメントシステムをグローバルで導入・運用しています。
当社はOSHMS認定取得後、内部統制項目を追加した当社独自のシステムで自主運用しています。
- 2023年12月時点
ISO45001 認証会社 |
OSHMS 認証会社 |
自主運用 会社・工場 |
|
---|---|---|---|
豊田合成(11工場) | ― | ― | 11 |
国内子会社(12社) | ― | 4 | 8 |
海外子会社(31社) | 14 | 1 | 16 |
■設備のリスクアセスメント
設備の設計・製作段階での危険要因排除を目的として、設備計画部門が新設・改造・移設時に「設備のリスクアセスメント」を行っています。またその設備を使用する前段階で、当社独自の「設備安全基準」への適合性評価のための安全衛生チェックを行い、安全性の確認も行っています。
■作業のリスクアセスメント
製造部門では、職場の危険性または有害性の調査および対策として「作業のリスクアセスメント」を行い、リスク低減措置を確実に実施することで災害の未然防止につなげています。
■安全衛生教育
職位や受講が必要な時期に合わせて教育カリキュラムを定め各種教育を行っています。従来の面着教育に加えて、「Web教育※7」も実施しています。
また当社の全事業場には、過去災害の風化防止と危険体感教育を行うための「安全道場」を設置・運用し、グローバルにも展開しています。
安全健康推進部主催の安全衛生教育と受講者数(2022年度)
研修・教育名 | 対象者 | 集合教育 | Web教育※7 | 受講者数 |
---|---|---|---|---|
技能職中堅社員研修 | 技能職の次期監督者候補者 | ○ | 30 | |
新任監督者・TL安全衛生教育 | 新規昇格者/ 登用者 | ○ | 100 | |
新任基幹職安全衛生教育 | 新規昇格者 | ○ | 50 | |
製造部 幹部職・基幹職安全衛生教育 | 製造部の幹部職および基幹職 | ○ | 9 | |
海外赴任前研修 | 海外子会社出向予定者 | ○ | 98 | |
海外TOP,No.2赴任前研修 | 海外子会社出向予定者 | ○ | 5 |
- ※7 Web教育:Web上で行う双方向でのコミュニケーションが可能な学習方式
■国内外子会社の安全確保
国内外子会社の安全・防火レベルの視える化と弱点の底上げを目的に、2020年度より「SFPM(安全・防火カルテ)」を展開しています。
2022年度も各社の自主評価結果を踏まえた統一強化項目を設定し、国内子会社に対しては、各3回/年(13社:計39回)の現地現物現認による監査・支援を行っています。
海外子会社31社については、各社の評価結果(活動内容)を定期的にWebミーティングで確認しています。その結果更なるレベルアップが必要と判断した子会社に対しては、動画や資料を活用したWeb指導会(1回/月)を行い、更なる安全レベルの向上につなげています。
労働災害の発生状況
グローバルで重大災害・重篤なSTOP7災害件数0件を目指して、「挟まれ・巻き込まれ」災害の防止に向けた、「危険源との隔離」「本質安全化」対策への移行を推進してきましたが、海外子会社にて「挟まれ・巻き込まれ」に該当する重篤なSTOP7災害が1件発生しております。
災害要因を分析した結果、リスク(危険源)の抽出が弱く人に依存した安全対策に留まっていたことが明らかになったため、グローバルでリスクアセスメントの定着を目指した取り組みを織り込み、重大・重篤災害防止に向けて引き続き活動を展開しています。
■グローバル 重篤なSTOP7災害発生状況
■グローバル 労働災害発生率(休業度数率)の推移
■2022年度 豊田合成の安全成績[単体]
項目 | 算出式・開示方法 | 豊田合成 | 輸送用機械器具 製造業 |
製造業 |
---|---|---|---|---|
年度(4~3月) | 年(1~12月) | |||
労災により失われた時間 (死傷者1人平均の労働損失日数) |
死傷者1人平均労働損失日数: 【参考】損失日数: |
1.0 | 64.3 | 59.9 |
労災の件数(休業災害度数率) |
休業災害度数率:
|
0.195 | 0.56 | 1.25 |
労災の件数(全災害度数率) |
全災害度数率:
|
1.5 | 2.69 | 3.98 |
労災による死亡者数 | ※新型コロナウィルス感染症への罹患に死亡者数を含む | 0 | 5 | 37 |
- 出典:厚生労働省「労働災害動向調査結果(調査期間:1月~12月)」
健康経営
基本的な考え方
豊田合成グループで働く全ての人が心身共に健康であり続けるために、健康経営活動を推進しています。
健康宣言~「限りない創造 社会への奉仕」実現のために~
- 1. 従業員の健康を重要な経営課題と考え、安全と心身の健康を最優先する組織風土を醸成します。
- 2. 従業員がいきいきと働けるよう、明るく活気ある職場、人づくりに取り組みます。
- 3. 従業員と家族の健康増進を図るため、健康意識を高め、疾病予防に取り組みます。
推進体制
中央安全衛生委員会※8の下部組織として、健康経営の拡充を目的に「健幸推進協議会」を年4回開催しています。この協議会では健康だけではなく、「幸せ」に働くことを目指し、安全健康推進部を事務局に、産業医・人事部・健康保険組合・労働組合が一体となって、健康経営・幸福経営活動の協議を行っています。また、協議・決定事項は各事業所の安全衛生委員会へと展開しています。
- ※8 安全健康推進部担当本部長を議長として、取締役社長・労働組合委員長・国内事業場の全工場長および国内外子会社社長が出席する
健康経営の取り組み
経営理念に掲げる企業の社会的責任を果たすための基盤強化として、従業員一人ひとりが将来にわたって、いきいきと健康に働けることが必要不可欠であるという認識のもと、従業員の健康維持・増進のため、健康経営に取り組んでいます。
健康経営の取り組みや成果を定量的に示し、活動のPDCAを回すことを目的に、「健康投資管理会計ガイドライン」に基づく「戦略マップ」を作成し、今後は投資・効果・資源を定量的に評価し、健康経営を継続的、効果的に推進します。
戦略マップでは、健康経営で解決したい経営課題として「相互啓発型の健康文化の醸成と定着」とし、最終的な目標指標を①アブセンティーズムの低減 ②プレゼンティーズムの低減 ③エンゲージメントの向上と定め、活動をしています。
2021年度からは特にプレゼンティーズムの低減を重点活動とし、健康づくりや啓発活動を推進しています。
健康経営活動におけるKPI「健康チャレンジ8」の取り組み
2021年度より健康KPIとして定めている「健康チャレンジ8※9」の実践率を向上させるため、毎年部門ごとに集計したスコア結果を公開し、自部署の現状を確認する機会を設けています。
また、職場が主体となった健康づくり活動を推進するため、職場健康推進リーダー(健康UPレンジャー)制を導入しました。健康UPレンジャーへは毎月1回健康情報を発信し、活動の支援をしています。
- ※9 健康チャレンジ8:体重・朝食・間食・喫煙・運動・睡眠・ストレスの8項目
健康意識向上と行動変容への取り組み
「チャレンジ8」の目標達成のための取り組みの1つであり、活動開始から9年目を迎えた「職場単位の健康づくり活動」では、参加者数が年々増加し2023年度には、全従業員の94.4%となりました。活動リーダー中心にメンバーが楽しく工夫を凝らしながら健康づくりに取り組んでいます。チャレンジ8の結果では運動実施率の低さが課題となっていますが、参加チームの半数以上が“運動”をテーマにしており、関心の高さがうかがえます。
また、毎年の健康診断を従業員一人ひとりが「健康を考える日」とし、「健康ひとことおみくじ」「握力/脚力測定」など、保健師・看護師による健康の啓発活動を実施しています。
健康診断・精密検査の受診状況
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
健康診断受診率 | 100% | 100% | 100% |
精密検査受診率 | 83.2% | 84.5% | 70.2% |
特定保健指導・健康診断の充実
2022年 特定保健指導実施率 81.8%
積極的支援実施率 73.6% 動機づけ支援実施率 94.8%
2019年より、健康保険組合との協業による特定保健指導(積極的支援)の集団指導を取り入れました。
定期健康診断では、2020年1月から産業医判断で省略が認められている検査項目についても全ての社員に実施し、異常の早期発見と健康的な生活習慣の確立に活用しています。
健康診断有所見者に対しては、産業医等による保健指導を実施するほか、2022年度からは「年齢別保健指導」として、所見の有無にかかわらず4年おきに保健師との面談を実施。全従業員に自身の健康を振り返る機会を提供しています。
有所見者率/チャレンジ8(生活習慣改善率)の推移
これまでの健康づくり活動により、肥満率、血圧、血中脂質の有所見者率は減少、血糖の有所見率は上昇抑制しています。
また、生活習慣改善の指標となるチャレンジ8の実践率も良化しています。
■肥満率(BMI25以上)
■血圧 有所見者率
■血中脂質 有所見者率
■血糖(HbA1c)有所見者率
■チャレンジ8実践率の経緯
食生活の改善
2021年度に「おいしく食べて健康になろう」をコンセプトに、社員食堂をリニューアルしました。定食に「野菜しっかり」「たんぱく質しっかり」の健康メニューを取り入れ、ヘルシーかつ質・量ともに満足感が得られるような工夫がされています。また、その日に食べたメニューや栄養素、カロリーがスマートフォンで確認できるシステムを導入し、自己管理に活かしています。
がん対策
当社は、がん対策推進企業アクションの推進パートナー企業として、がん対策を実施しています。
個別面談や、節目健康教育、社内報・社内イントラなど様々な機会を通し、がんの早期発見の重要性の啓発や、人間ドック・がん検診の受診勧奨を実施しています。
また、健康保険組合では人間ドック・がん検診(郵送健診)の費用補助を実施しており、その受診率向上施策の1つとして、節目年齢における人間ドック特別休暇を付与し、受診しやすい環境を整えています。
女性の健康保持・増進に向けた取り組み
女性のがん検診受診率向上を目指し、2024年3月に「女性の健康週間」イベントとして食堂での特別メニュ―(ピンクリボンランチ)の提供、パネル・チラシ・デジタルサイネージでの情報提供をし、乳がん・子宮がん検診の啓発を行いました。また、特に受診率が低い20代へがん検診受診率向上のためのリーフレットを配布し、健診受診を呼び掛けています。
また、育児休暇から職場復帰する女性に対し、相談窓口の案内やセルフケア情報を発信し、健康の面からも育児と就労の両立を支援する取組みを行っています。
さらに、2022年からは女性の医療スタッフ(医師・保健師)による女性専用の相談窓口を開設し、健康相談に応じています。
禁煙対策
喫煙者の健康障害と非喫煙者の受動喫煙防止を目的に、 2012年にまず社内でのタバコ販売(自動販売機含む)中止から始め、同時に喫煙者への保健師による禁煙支援を実施し、2016年からは、外部講師を招いての「禁煙講演会」実施に併せて、肺年齢測定など体験型の「展示会」を開催して、禁煙への動機づけを実施してきました。
そして2020年4月から全面施行された「改正健康増進法」に先駆け、2020年1月からは、国内全事業所の敷地内禁煙を展開しました。その際には事業所の敷地内だけでなく、近隣住民の皆様の受動喫煙防止も考え、最低でも事業所から100m以内は禁煙地区とし、保育園や医療機関などがある場合には、その周辺も含めて禁煙地区に設定して活動を進めてきました。
社内で働く全ての人を受動喫煙による健康障害から守り、“望まぬ受動喫煙”を防ぐことを目的に会社の方針として掲げ、事前に従業員への地道な理解活動はもちろんのこと、派遣会社や請負会社にも繰り返し協力依頼を行ったことで、敷地内禁煙開始から1年が経過した現在、生産や離職に影響を及ぼすことなく継続できています。
全社の喫煙率は、2010年の42.5%から2023年は24.9%までに減少しています。
■当社喫煙率
メンタルヘルス不調者への対応と未然防止
年に1回、ストレスチェックを実施しセルフケアや早期発見につなげています。
また、保健師・看護師による個別相談や、メンタル専用相談窓口の開設、EAP※10(厚生労働省/社員支援プログラム)の導入と管理監督者への教育などを行っています。
2020年度からは、メンタルヘルス不調の影響が早期に出やすい「睡眠」に着目し、ウェアラブル端末を使って「睡眠の質の視える化」を図り、不調サインを早期にキャッチすることで、メンタルヘルス不調者の再発防止に取り組んでいます。
- ※10 EAP:従業員のメンタルヘルスを支援する社外専門家によるプログラム
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
ストレスチェック受検率 | 93.3% | 95.5% | 94.6% |
高ストレス者率 | 11.9% | 12.6% | 13.0% |
従業員の感染症予防
2020年福利厚生制度に麻しん、風しん等の抗体検査のための費用補助を追加しました。また、家族も含めてインフルエンザの予防接種費用の一部補助も実施しています。
新型コロナウィルス感染症対応として、政府の要請を受けワクチンの職域接種を本社地区・森町地区にてこれまでに4回実施しています。
「後天性免疫不全症候群(HIV感染症含む)、結核、マラリア」などの感染症法届出対象疾患の対応については、「危機管理対応ガイド」で予防および初動対応方法を明確にして周知を図っています。
各種健康教育
2021年度からはWebを活用した教育を積極的に取り入れ、基幹職に対し毎年メンタルヘルス教育を実施しています。また、年齢別のフィジカルヘルス教育※11も2021年度からは集合教育とWEB教育を併用をするなど、受講しやすさとコミュニケーションの取りやすさ双方に配慮した形となるよう工夫しています。
- ※11 フィジカルヘルス:各種健康診断の受診、生活習慣病の予防、喫煙対策や各種健康づくりなどの身体面における健康
教育名 | 対象者 | 対象者数 | 受講者数 | 参加率※()内は満足度 |
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ヘルスアップセミナー | 39歳従業員 | 105名 | 90名 | 86% |
しなやか健康教育 | 44歳従業員 | 140名 | 129名 | 91% |
メンタルヘルス教育 | 管理職 | 582名 | 373名 | 64%(82%) |
国内子会社/サプライヤーに対する健康経営の普及促進
当社では、国内子会社/サプライヤー支援として健康経営の促進活動を行っています。
2024年6月に国内子会社およびサプライヤーへ向け開催された「調達連絡会」において、当社の健康経営の取り組み紹介や、健康経営を推進することの重要性などを共有しました。
また、国内子会社へは健康保険組合の協力のもと、健康経営の推進活動を実施し、10社が健康経営優良法人2024の認定を受けています。
さらに、2024年9月には希望されたサプライヤーに対し、体験型の健康づくりセミナーを共同開催しました。
健康関連の指標評価
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|
プレゼンティーズム損失率 (東大1項目版) |
- | 22.1% | 22.2% |
アブセンティーズム (疾病による14日以上の休業者率) |
2.9% | 2.9% | 2.9% |
ワーク・エンゲージメント 下記①~⑤の設問の肯定的回答率(5段階中4,5)の平均値 ①私は、当社で働くことを、知人に積極的に勧めたいと思う ②私は、仕事を通して個人として達成感を感じている ③私は、業務上期待されている以上の貢献をしようと思う ④私は、今のところ他社への転職は考えていない ⑤私は、当社で働くことを誇りに思う |
56% | 59% | 60% |
各種認定・表彰
- 健康経営優良法人2024
- スポーツエールカンパニー2024+
- がん対策推進優良企業表彰(2023年度)