
2026年、豊田合成株式会社は「健康経営銘柄2026」に選定されました。経済産業省と東京証券取引所が共同で、特に優れた健康経営に取り組む上場企業を毎年選定するこの制度。大手自動車メーカーなどの名だたる企業が並ぶ輸送機器カテゴリーの中で、豊田合成は唯一、選定された企業です。
しかし、その評価はある日突然もたらされたものではありません。2016年に「健康元年」を掲げて以来、10年にわたる地道な積み重ねが、今日の姿をかたちづくってきました。
豊田合成の健康経営の根底にあるのは、とてもシンプルな考え方です。従業員が健康でいきいきと働けてこそ、いいものづくりができる——そして、健康であることは、幸せに働くことへの第一歩でもある。その確信が、あらゆる取り組みの出発点になっています。
今回、人事部・健康推進室の担当者と、若手・中堅・シニアの社員に集まっていただきました。世代を超えて交わされた、健康と働き方をめぐる本音の座談会をお届けします。
しかし、その評価はある日突然もたらされたものではありません。2016年に「健康元年」を掲げて以来、10年にわたる地道な積み重ねが、今日の姿をかたちづくってきました。
豊田合成の健康経営の根底にあるのは、とてもシンプルな考え方です。従業員が健康でいきいきと働けてこそ、いいものづくりができる——そして、健康であることは、幸せに働くことへの第一歩でもある。その確信が、あらゆる取り組みの出発点になっています。
今回、人事部・健康推進室の担当者と、若手・中堅・シニアの社員に集まっていただきました。世代を超えて交わされた、健康と働き方をめぐる本音の座談会をお届けします。
-- 登壇者
【健康推進室】井上 和美さん 安全健康推進部 健康推進室
【人事部】古田 真由美さん 人事部 労政室
【シニア社員】竹澤 匡基さん 新価値事業本部 ヘルスケア事業推進室
【中堅社員】徳桝 阿佑美さん 開発本部 材料開発部 新領域材料開発室
【若手社員】鈴木 智子さん 総務部 広報室
【健康推進室】井上 和美さん 安全健康推進部 健康推進室
【人事部】古田 真由美さん 人事部 労政室
【シニア社員】竹澤 匡基さん 新価値事業本部 ヘルスケア事業推進室
【中堅社員】徳桝 阿佑美さん 開発本部 材料開発部 新領域材料開発室
【若手社員】鈴木 智子さん 総務部 広報室
1.
「健康元年」から10年。地道な積み重ねが、銘柄選定へ
井上 和美さん(安全健康推進部 健康推進室)
――豊田合成が健康経営に本格的に取り組み始めた経緯を教えてください。
“2016年に国が「健康経営優良法人」制度(※優れた健康経営に取り組む法人を経済産業省が認定する制度)を創設したことがきっかけです。それ以前から健康づくりの活動はしていたのですが、どちらかというと控えめに、地味にやっていました。国が健康経営を重要な戦略として発信しはじめたことで、私たちも社外にきちんとアピールしていこうという考えになったんです。その年を「健康元年」と位置づけ、活動をスタートさせました。”(井上さん)
――「健康経営銘柄2026」の選定は、どのポイントが評価されたとお考えですか?
“一つの大きな施策が評価されたとは思っていません。健診後のフォロー、教育、メンタルヘルス対策など、2016年以前からコツコツ積み重ねてきたことが総合的に評価されたのではないかと思っています。加えて、ヘルスケアを事業として推進していることも、後押しになったのではないかと考えています。”(井上さん)
――健康経営を推進するにあたって、社内の体制はどのように整えていますか?
“人事部・健康推進室・労働組合・健康保険組合が一体となって連携する『健幸推進協議会』を年4回開催しています。それぞれ立場の異なる組織が定期的に一つのテーブルに集まり、健診データや職場の状況を共有しながら、次にどんな施策を打つべきかを一緒に考えていく。各組織が縦割りにならず、従業員の健康という共通のゴールに向けて動いているところが、豊田合成らしさだと思っています。”(古田さん)
古田 真由美さん(人事部 労政室)
――『健幸推進協議会』の『幸』という字に込めた思いを聞かせてください。
“健康というのは、ただ体が病気でないというだけではありません。従業員が幸せで生き生き働ける状態が、本当に目指したいところ。そこをちゃんと表したくて、『健幸』という字を使っています。”(井上さん)
“その成果を測る一つの指標が、従業員のエンゲージメントです。2030年にスコア75%を達成するという目標を掲げていて、これは日本の製造業でも上位10%に入る水準です。2021年の49%からスタートして、今年は62%。着実に上がってきてはいますが、75%はまだ遠い。それだけ高い目標をあえて掲げているのは、本気で取り組まなければ変わらないという覚悟があるからです。”(古田さん)
2.
入社から60代まで。節目ごとに寄り添う「ライフステージの教育」
――入社から60歳まで、節目ごとに教育プログラムが用意されていますね。
“健康は、一度知識を得たら終わりではありません。自分が今どんな状態にあるかを常に確かめながら、ライフステージごとに気をつけるべきポイントを考え続けてほしい——そういう思いから、節目ごとにプログラムを設けています。新入社員には生活習慣の土台づくりを、30代にはメタボ予防を、40代には心身の疲れと向き合うための身体づくりと睡眠のとり方を。50代・60代は定年が65歳に延びたこともあり、今の体力を正しく知った上で、無理なく現状を維持していくためのレクチャーをしています。”(井上さん)
――実際に受けた方の反応はいかがですか?
“どの年代からも共通して返ってくる感想があります。それは「もっと早く聞きたかった」という言葉です。健康の話は若い社員にはまだピンとこないかなと思っていても、みんな真剣に聞いてくれる。ただ、年齢が上がるほど、その言葉の重みが違ってきます。若いうちにやっておけばよかった、という後悔が滲んでくるんです。だからこそ、早いうちから伝え続けることに意味があると感じています。”(井上さん)
――竹澤さんは、55歳のキャリアデザイン研修を受けられていかがでしたか?
“55歳という節目に、キャリアとお金と健康をまとめて見つめ直す機会をもらえたのが、とても良かったです。体力テストやラジオ体操、脳トレまであって、自分の今の状態を改めて知ることができました。若い頃と同じ動き方をすると体を傷める、ということも教えてもらって、年齢に合った動き方があるんだと気づかされました。これだけ盛りだくさんの研修は、受けるまで想像していなかったですね。”(竹澤さん)
竹澤 匡基さん(新価値事業本部 ヘルスケア事業推進室)
3.
食堂・アプリ・チャレンジ。日常に「健康」を溶け込ませる仕掛け
――「健康チャレンジ8」や「健康UPレンジャー」「食堂のメニュー改善」など、日常に根ざした取り組みが多いのが印象的です。「小さなリアル」を大切にしている理由を教えてください。
“健康づくりは、一時的に頑張るよりも、日常の中で少しずつ意識が育まれていく方が、長続きするんです。だから、年間を通じてどこかで必ず健康に触れる機会があるように仕掛けています。食堂での展示会も、職場単位の健康づくり活動も、一つひとつは小さなことかもしれない。でも、暮らしのすぐそばに、健康を考えるきっかけがある。そんな状態をつくり続けることが、一番大切だと思っています。”(井上さん)
“食堂って、ただごはんを食べる場所だと思っていたんですが、いつの間にか健康と向き合う場所になっていました。レジでお会計をする時に、その日食べたものの栄養バランスが表示されるんです。ある日、塩分の数値を見るとかなり高くなっていて、すごく焦りました(苦笑)。大好きなラーメンを週一にしようと決めたのは、あの日からです。数字として可視化できると、自然と意識が変わっていくものですね。”(鈴木さん)
“私は貧血対策でタンパク質を意識して摂るようにしているのですが、食堂のメニューにはタンパク質が豊富なものがきちんと明示されていて、迷わず選べるのが助かっています。入社した頃と比べると、食堂自体もずいぶん充実してきたなと感じています。”(徳桝さん)
徳桝 阿佑美さん(開発本部 材料開発部 新領域材料開発室)
――「健康UPレンジャー」の仕組みについて教えてください。
“各部署に一人、健康づくりのリーダー役をお願いしています。私たちが発信しても『またいつものか』と流されてしまいがちですが、同じ部署の仲間から届く情報は受け取られ方が違う。毎月、保健師・看護師が書いた健康コラムをTeamsにアップして、レンジャーの方々に部内へ展開していただいています。睡眠、食事、季節の健康情報など、手づくりで一つひとつ発信しています。”(井上さん)
“レンジャーの方が毎月届けてくれるお便りが、参考になることばかりなんです。季節ごとの健康情報や食事のちょっとしたコツなんかを読んでいるうちに、気づいたら自分の生活習慣も見直すようになっていて。身近な人が発信してくれるからこそ、すっと入ってくるんだと思います。”(鈴木さん)
――2026年度から導入された健康増進アプリ「バイタリティ」も話題ですね。
“「バイタリティ」は住友生命が提供するアプリで、1週間の歩数や心拍数に応じてポイントが貯まり、目標のポイントを達成するとルーレットで、ドリンクチケットなどが当たる仕組みです。チームを組んで仲間の歩数を確認しながら応援し合えるゲーム性もあって、導入して4カ月ですが、全社員の44%が加入していて、かなり好評を得ています。社長の齋藤さん自身も朝のウォーキングでアプリを活用されていて、『TG Vitality Leaders ~齋藤さんに挑戦!~』といった全社企画も実施しています。”(古田さん)
“私も部署の先輩とチームを組んでお互いの歩数を見ながら競い合っていました。目標を達成した仲間にスタンプで「頑張ったね」と送り合うのが、なんだか楽しくて。仕事の話をしていた同僚と急に健康の話になったりして、職場のコミュニケーションも変わった気がします。健康ってこんなふうに、楽しみながら続けられるものなんだと思いました。”(鈴木さん)
鈴木 智子さん(総務部 広報室)
4.
一人ひとりが、ずっと健康でいられるように。豊田合成が描く未来
――竹澤さんは、ヘルスケア事業推進室として、健康経営の「先」に何を見ていますか?
“私の部署では、予防医療の領域で活用できる最新テクノロジーを探索しています。たとえば、がんリスク検査を社内に展開したり、自宅で血糖値を管理できるサービスを健保と連携して導入したりしています。こういった取り組みを案内すると、20代・30代の社員から『両親にも使わせたい』という声が届くことがあります。自分の親の健康を気にかけるということは、自分自身も健康と真剣に向き合い始めているということ。予防医療への関心は、世代を問わず確実に広がっていると感じています。”(竹澤さん)
“そういう取り組みが身近にあるって、すごく心強いですよね。自分がいざという時に頼れる場所が会社にある、という安心感は、働く上でかなり大きいと思います。”(徳桝さん)
“かくいう私も、40代になって初めてジムに通い始め、会社のカフェテリアポイントのジム費用補助で今でも利用し続けられています。若いうちからこういう環境をフル活用してほしい——それが、先輩として若い皆さんに一番伝えたいことです。”(竹澤さん)
――今日の座談会を通じて、改めて感じたことや、伝えたいことがあればお聞かせください。
“人が働く時間は、人生の大きな部分を占めています。その時間を、心身ともに充実したものにする——それは会社が担うべき責任だと考えています。食堂の一皿も、年齢に応じた学びの場も、突き詰めればすべてそこにつながっています。もちろん社員本人だけでなく、ご家族にもいい影響が届くような取り組みを、これからも積み重ねていきたいです。”(古田さん)
“健康は、人が生き生きと働くための土台だと思っています。豊田合成は、従業員の自主性を大切にしながら、一人ひとりの声が届きやすい規模感の会社です。大きな組織では埋もれてしまうような小さな変化にも気づける、そこが豊田合成の強みだと感じています。だからこそ、専門職として一人ひとりに親身に向き合い、本気で取り組み続けることができる。健康づくりに終わりはないので、これからも社員の皆さんと一緒に、積み重ねていきたいと思っています。”(井上さん)
“私の部署のスローガンは『豊田合成に入ると健康になる』です。大げさに聞こえるかもしれませんが、本気でそれを目指しています。予防医療の最前線にいる立場として、社員が病気になってから対処するのではなく、健康な状態をずっと保ち続けられる環境をつくっていきたい。そのために、新しいテクノロジーを取り入れながら、できることを一つひとつ増やしていく。それが、私たちの使命だと思っています。”(竹澤さん)
“女性エンジニアとして18年、子育てをしながら働いてきました。振り返ると、会社の制度も職場の雰囲気も、入社した頃とはずいぶん変わったと感じています。以前は少なかった女性社員も増えてきて、相談できる環境が整ってきた実感があります。今日改めていろんな取り組みを聞いて、これからもまだまだ進化していくんだなと、素直に楽しみになりました。”(徳桝さん)
“今日の座談会で、健康って将来のことじゃなくて、今日からのことなんだと実感しました。先輩方の話を聞いていると、若いうちに積み上げてきたことが、10年後・20年後にちゃんと形になって返ってくるんだなということが、すごくリアルに伝わってきたんです。働くすべての人が心身ともに健康でいられたら、社会全体がもっと豊かになると思っています。この記事を読んでくださった方にも、そんな気持ちが少しでも伝わったら嬉しいです。”(鈴木さん)
「もっと早く知りたかった」——この座談会で、何度も聞かれた言葉です。世代の違う社員が同じ言葉を口にするのは、それだけ豊田合成の取り組みが一人ひとりに届いているからでしょう。若いうちからこの環境に身を置けることの意味は、決して小さくありません。
健康は、幸せに働くための土台になる。その土台を一人ひとりのために整えていく——豊田合成のその歩みに、終わりはありません。
健康は、幸せに働くための土台になる。その土台を一人ひとりのために整えていく——豊田合成のその歩みに、終わりはありません。
