豊田合成株式会社 豊田合成株式会社

安心・安全なモビリティ社会の実現に貢献、
「発光+レーダ透過」を実現したエンブレム

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自動車業界では車の電動化や自動運転の進展など大きな変革期を迎えたことに加え、気候変動対策の必要性が高まるなか、車が大きく様変わりしています。こうしたなか、豊田合成は車の進化に対応した製品として、発光機能とミリ波透過機能を両立したエンブレムの開発に成功しました。このエンブレムは、周囲の状況を検知し、運転時の安全性を高めることに貢献するだけでなく、車のフロント部分のデザインの自由度を高め、先進的フォルムへの可能性を大きく広げました。

01発光とレーダ透過を両立させる新材料の開発

既存のミリ波レーダ対応エンブレムの基板は、光を透過しないため「発光」と「レーダ透過」の両立は難しいとされてきました。しかし、材料技術に知見のある豊田合成は、光とレーダの両方を透過できる樹脂素材に注目。そこにさまざまな素材をブレンドすることで、剛性、耐衝撃性、透過率、光拡散、色味など、お客さまのご要望にお応えできる新材料をつくり出しました。さらに、いくつもの評価試験を通じて検証を重ねたことで、採用につながりました。

レーダとハーネスも含めた6つの部品で構成されるモジュール製品
レーダとハーネスも含めた6つの部品で構成されるモジュール製品
ミリ波透過/発光機能を一つのエンブレム内で実現
ミリ波透過/発光機能を一つのエンブレム内で実現

02均一に光らせる光学設計

通常の発光エンブレムは、すぐ後ろにLED基板が設置されていますが、レーダを透過させるためには、LED基板の中心部をくり抜いたドーナツ状にする必要があります。ドーナツ状の基板でもエンブレムの均一な発光を可能にしているのが、光学設計によるインナーレンズ。光をコントロールするために、LED入光部の集光形状がお椀型になっていたり、反射面上部に天板がついていたり、ユニークな形状をしています。さらに表面には、部分的に細かな波形や凹凸模様などのシボ加工が施され、光を拡散させる、漏れ光を防ぐといった役割も担います。こうした綿密な光学設計を支えるのが、コンピュータによるシミュレーション技術(CAE)。エンブレムを3つのエリア(外周上、外周下、L部)に分け、エリアごとにCAEを駆使しながらインナーレンズの最適化を図っています。

基板に18個のLEDを設置

03限られたスペースでの最適な回路設計

ドーナツ状のLED基板の面積は、従来品の発光エンブレムの基板の4分の3のサイズ。この狭い領域に、豆粒サイズのコンデンサやLEDチップ、トランジスタなど150個以上の電子部品を配置し、基板全面で均一に放熱するため、裏表を貫通するドット状の導電性スルーホールを1000個以上設けます。
LEDチップを並列でつなぐ回路は、長くなるとノイズ(携帯電話やラジオなどからの電波障害)の影響を受けやすいため、最短距離でつなぐよう工夫がされています。ここでもCAEを活用し、光や放熱の検証を重ねることで、最適な回路を導き出しています。

従来品と比べ電力2倍、面積比0.75倍。中心に孔開け箇所がある特殊形状のLED基板
従来品と比べ電力2倍、面積比0.75倍。
中心に孔開け箇所がある特殊形状のLED基板

04今後の車の進化に貢献

本製品の開発で確立した技術は、エンブレムだけではなく、他の車体の一部でも活かすことが期待されています。例えば、自動運転でニーズが高まる「光を用いたコミュニケーション機能」や「センシング機能」は、ボデー領域における「発光」や「レーダ透過」の技術が重要な役目を果たします。自動運転・電動化によって車のフロントまわりが様変わりをするなか、デザインと機能を両立する技術は、車のフロントまわりに新たな自由をもたらしています。

今後の車の進化に貢献

開発者の声

今後のお客さまのニーズを先取りし、車の進化に貢献していきたい

「発光」「レーダ透過」を両立するエンブレムがいつか必要になると考え、約4年前から開発を進めました。だからこそ約2年という短期間で量産化することができました。レーダ透過エンブレムは一部メーカーや軽自動車を除き多くの国産自動車に搭載されており、これらが「発光機能付き」にアップデートしていくとすれば、マーケットは非常に大きいといえます。これからもエンドユーザーやカーメーカーのニーズを先取りした開発を積極的に進めていきます。

EM技術部 室長 福井弘貴さん

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