豊田合成株式会社 豊田合成株式会社

効率的な物流を目指して
~トラック積載率の向上の取り組み~

2025.01.31

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日本の物流業界は現在、多くの課題に直面しています。トラックドライバーの人手不足や少子高齢化に伴う労働力の減少、労働環境の改善、さらにはCO2排出量の削減といった問題が重なり合い、厳しい状況が続いています。特に2024年4月に導入されたトラックドライバーの残業時間上限「年960時間」という規制により、長時間労働が改善されている一方で、これまでと同じ量の荷物を運ぶには、さらに多くの人手が必要となる状況が生じています。このような課題に対し、物流業界全体で早急な対応が求められており、対策を怠れば、将来的には荷物を十分に運べなくなるリスクも懸念されています。
豊田合成はこうした課題の解決に向けて、AIやIoTなどの活用により物流の効率化を目指しています。その第一歩として、積載効率の向上に着目した新たな取り組みを進めています。

01現場負担を軽減する効率的な物流システムの構築に着手

豊田合成では2021年に人手不足への対応や環境負荷の低減などを目指した物流改善のプロジェクトを立ち上げました。物流業務の流れに応じて4つのテーマに分けて活動しています。今回紹介するのは、①配車計画の最適化による「トラック積載率の向上」です。製造した製品の輸送を効率的に行うには、配車計画を最適に立てる必要があります。配車計画とは、お客様である自動車メーカーからの部品のオーダーをもとに、効率的な配送を実現するための最適なトラックの大きさや便数、時間などを決定することです。2025年度中に荷物の積載率を現行の70%から85%に引き上げることを目標に掲げ、物流の現場の負担を軽減しながら効率的な物流システムの構築を目指しています。

■物流改善プロジェクトの全体像

■改善対象

改善対象

02人の勘・コツに頼っていた配車計画(改善前)

従来、配車計画は多くの時間や人手が必要なうえ、人の経験に頼っていました。配車計画を立てるためには(1)トラックごとの荷量の把握(2)路線ごとの荷量の算出(3)路線ごとの最大積載量の設定(4)配車便数の決定 の4ステップがあります。(2)の荷量の算出では、以前は現地に出向き、目視でトラックの荷台空間を確認してどのくらい積載できるかを判断していたため、担当者ごとに判断のバラつきが伴うほか、トラックやフォークリフトとの接触の危険もありました。また、生産拠点や物流センターが中部地方や東北地方、九州地方に分散し、稼働時間も朝早くから深夜にわたるため、この業務には大きな負担がかかり、全体の5%以下しか積載状況を把握できていませんでした。

03AIとカメラを活用した荷量算出システム(改善【1】)

2023年には、(1)荷量の把握、(2)路線ごとの荷量の算出、(3)最大積載量の設定までをAIを活用して自動化しました。荷物を積載したトラックの荷台を固定カメラで24時間撮影、AIにより画像解析することで、積載実態を自動で100%把握できるようになりました。
そのデータを活用することで、路線単位での検索や低積載の路線や便の抽出が即座に抽出できるようになりました。この情報をもとに、最適な輸送体制をつくるための改善業務が行いやすくなり、運行本数は年間でおよそ9,400便削減できました。CO2排出量に換算するとおよそ760トンの削減になります。
このシステムは当社製品の輸送の6割を担う物流拠点(愛知県みよし市と一宮市)に導入されています。

■積載量把握のステップ

■便数削減のイメージ

04スマホの3Dセンサを活用した荷量算出システム(改善【2】)

2024年には、スマートフォンに搭載されたLiDARスキャナ(3Dセンサ)を利用した、積載量の算出システムを開発しました。スマホ内でデータ処理が完結するため、持ち運びも簡単で、導入しやすいというメリットがあります。今後、このシステムは当社製品の輸送の残り4割を占める、物流拠点を経由しない納入ルートなどで活用していく予定です。

※中型の4トントラック・大型の11トントラックで対応。

■積載量把握のステップ

■便数削減のイメージ

推進者の声

最適な物流の構築を目指して

物流課題へ対応するため、社内の組織横断で、新たな改善活動に取り組んでいます。
その中の一つがAIとカメラを活用した荷量算出システムです。
生産管理部は「開発内容に人の知恵・経験をどう加えるか」の視点で提案し、運用後は実務上での改善点を開発チームに随時伝えることにより、積載率向上に向けた運用を確立し、一定の効果を得ることができました。今後はスマホの3Dセンサの活用を進め、今までの経験を活かし、更なる効果を狙い、最適な物流を構築していきたいと考えています。

生産管理部 物流管理室長 白井 克芳

開発者の声

自動化・DXを活用して省人化・トラック輸送の効率化を実現

物流における人手不足への対応、トラック輸送の効率化は必達の課題です。
AI活用による荷量測定の自動化や、LiDAR(モバイル端末)による荷姿3D化などの
スピーディな開発でDX化を推進し、物流業務の改善に貢献していきたいと考えています。

ITデジタルプラットフォーム部 主監 古山 剛

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■AIを活用したトラックの積載率向上で物流時のCO2排出量を低減(2023年08月30日)
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~スマホの3Dセンサを活用し、製品納入時の輸送効率向上へ~
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